2010/09/26

評価尺度としてのSN比が加法性を担保しているのは

 評価尺度としてのSN比が加法性を担保している理由は何なのであろうか。

 例えば、実験計画法第3版p.618に「いろいろな計測法のSN比の比較をしたい場合は、生の値よりは、その常用対数の10倍であるデシベル値を用いるのが便利である」と書いてある。単なる比較であれば、生のデータとデシベル値では逆転することはないので、この点においてはデシベル変換が便利であるというのは本質的でない。

 SN比に限らず、生データで解析するよりも対数変化したSN比のほうが加法性が高いという点がある。ではなぜ加法性が高くなるのであろうか。SN比について、その尺度そのものが加法性が高いという本質的な根拠は何なのであろうか。

 一方で生データに何をとるとよいか=エネルギーの平方根がよい、という品質工学における議論がある。2乗で計算したときにエネルギーになり、エネルギーは保存則により物理的に加法性があるのでという議論であるが、それは感度、それも真数の話である。2次のモーメントであるSN比の加法性も高いのかどうかという本質的な根拠を下名は聞いたことがない。

 このように考えると、対数をとることによって数値の範囲は-∞~+∞までとることができるという、SN比の性質に限らない一般的理由だけしかないのか、という気もしてくる。

 当初は評価尺度は変化率の生の値であった(例えば、田口,「統計解析」,p.26(1972))。その後、σ^2/β^2 という尺度になり、さらに対数をとってきた。ここになにか説明されていない、田口博士の仮説があるのかもしれない。ご存知の方はご教授をお願いします。

ラウカ・シャルドネ・リゼルヴァ(白)とポークソテーなど



ワインはチリ産のラウカ・シャルドネ・リゼルヴァ(白)。近くのショップで半額。

写真は右からポークソテー(ゆず胡椒で)、アボカドとルビーグレープフルーツのマリネ、トマトとバジルの冷製パスタ。

少し前までは猛暑日でこういう冷たいワインがおいしかったですが、最近は急に涼しくなってきましたね。

2010/09/21

気になる報文「データ空間の観点からの基本理論に関する考察」

QES2008でエネルギー比型SN比に関する「新SN比の研究(1)~(5)」を発表したあとに、QES2000で発表された、「データ空間の観点からの基本理論に関する考察」(クラレ田中善喜ら)を発見した。筆者のHPも見つけた。
http://www1.megaegg.ne.jp/~tanakaqeq/

例によって学会では全く議論されていない。これが数学的な厳密な議論なのか、はたまた著者の提案や独創の類なのかはよくわからない。(キーワードである”不偏データ空間”、”変動保存原理”などをGoogleで調べても全くヒットしない)

読み取れた要旨は以下:田口のSN比の分子には-Veの修正項があるためSN比がマイナスになる場合があり、SN比の定義に反する。この矛盾は、変動の分解を異なるデータ空間にまたがって行っているためで、”不偏データ空間”を導入すると、そこでは不偏SN比が定義でき、その分子からは-Veが消える。結果的にSN比は、β^2/VN のような形で表され、-Veが消える。また動特性と静特性のSN比を同一の原理で論じることができる。

β^2/VN=Sβ/nr/VN と考えるとこれは20世紀型のSN比である。21世紀型では分子をnrで除して Sβ/VN=Sβ/{SN/(nk-1)} となるのであろう。さらにデータ数の影響が出る分母の自由度nk-1を補正すれば、Sβ/SNというエネルギー比型SN比になる。

エネルギー比型SN比の説明において、上記理論で-Veが基礎的な部分で解消できるのであれば面白いと思うのであるが・・・。

2010/09/19

QES2010で発表した「総合損失SN比」の狙い

 QES2010「微小信号の機能性が重要な場合の評価方法」で機能性評価データの変化率を重視した評価指標を提案した。このなかの質疑応答で、「変化率を重視したい場合、データの対数をとって従来の計算方法を行う方法も考えられそうだが、いかがか」との質問をいただいた。その点について、今回発表の狙いも含めてお答えしたい。

 変化率を重視して評価する方法はいくつかある。田口玄一博士の「品質工学の数理」p.37の解析方法、河村敏彦先生の「平均2乗対数損失に基づく SN 比」もその例である。今回の発表は提案の評価尺度のユニーク性を主張したいのではなく、

(1)変化率を重視すべき機能――この発表では「機能 B」と称している――の場合でも機械的に従来 SN比を用いている事例が多いことに対する注意喚起と、
(2)どのような場合に使い分けが必要かを明確にしたところに力点がある。

 また今回必ずしも成功はしていないが、
(3)このような新しい評価方法の提案に対してどの方法がよいのかを客観的に判断できる「評価尺度の評価尺度」つまり「メタ評価尺度」の必要性を訴えたことである。

 ただし、あえて今回提案の「総合損失 SN 比」の優位性を述べるとすれば、
①田口博士の損失関数とシームレスにつながっているので品質工学の体系に大幅な変更を必要としない、
②損失関数を元とした尺度であるので経済的な合理性がある、
③SN 比は従来同様対数をとった db 単位で用いるため、評価尺度としての加法性が担保されやすい、
④2 乗和分解や自由度の概念が不要で理解しやすい、
などであると言える。

 学会ではまだ「エネルギー比型SN比」の議論が始まったところであるが、QES2010の発表内容ではそれをもすでに否定(というより、使用できる範囲を制約)している部分もある。一読いただければ幸いである。

2010/09/16

品質工学と信頼性工学の接点

第40回信頼性・保全性シンポジウム(2010/7/15-16)
http://www.juse.or.jp/reliability/88/#8
にて、「信頼性に関わるデータ解析へのSN比の応用」(松岡敏成氏、三菱電機コントロールソフトウェア)が発表された。

氏はSQCや信頼性工学に関する碩学であるが、最近、社内で品質工学に対する議論にも参加しており、懇意にしていただいている。

発表では、ワイブル分析を用いて、「品質工学を使うことでなぜ品質改善につながる」かというしくみを説明している。
また、劣化の加速モデル式と実験データの適合性をSN比を用いて評価している。これはMTシステムで総合推定精度をSN比で評価する考え方に似ているが、信頼性工学の分野のなかでSN比を用いたユニークな例である。品質工学に対する誤解も一部にはあるが、興味を引く発表である。

なお、同シンポジウムの「品質工学と信頼性」セッションでは、長谷部光雄氏が「信頼性テストのパフォーマンス向上に関する試み」を発表している。
品質工学と信頼性工学は相容れない、という一部の意見もあるが、お互いをより深く知ることで議論が深まるのではないだろうか。

北海道旅行(4)


8/10
快晴。絶好の撮影日和。美瑛の四季彩の丘、上富良野の千望峠などをめぐって、TVでも有名な富良野のラーメン屋支那虎へ(公式HPなし)。3種類(しょうゆ、塩、こげ塩)を頼んだが、やはりしょうゆ(支那そば)が一番うまい。こげ塩は年寄りにはきつめ。
その後、麓郷展望台などを回わる。
その後、一路小樽方面へ。富良野は高速道路へのアクセル悪し。なんとかならないものか。
小樽の運河の宿ふる川にチェックインして、中の風呂をいただいてから、夜の散策へ。
おすすめは、若鶏定食ニューなると 出抜小路店の若鶏のまる揚げ。
デザートはあまとう運河店のクリームぜんざい。

8/11
最終日。本州では台風接近の情報。
早朝から散歩がてら徒歩で鱗友朝市ののんのんへ。海鮮丼などを食す。
午前はまず、海鳴楼でオリジナルオルゴール作り。曲目は昨年のLove so sweetに引き続き、One Love。
そのあと、北一ガラス、ふうど館、ルタオ、北菓楼、六花亭(Again)などを回っておみやげを買いあさり。
昼は回転寿司と侮るなかれとっぴーですまして(残念ながら宝寿司は定休日)、千歳空港へ。
夜19:00すぎには伊丹空港に無事到着。

家に帰って風呂にはいって、体重計へ。はい、2.5kg増えていました。

北海道旅行(3)


8/8
延期した雲海テラスは雨天中止!残念。
屋内イベントということで、缶ふりアイスクリームとパン作りの体験に娘を連れて。
昼前にトマムを出発して、富良野方面へ。
占冠~夕張区間だけまだ高速が開通していないので注意。
富良野のファーム富田はスルーして、町営ラベンダー園に。リフトにのると富良野の町が一望できる。
そのあと、十勝岳温泉の白銀荘へ。泉質もさることながら、水着を着て入れる露天温泉プールもあり、子供連れにおすすめ。
白金街道から美瑛方面に向かう途中の青い池を散策。かつては写真家しかしらない場所だったが、駐車場ができて観光地化。雨天のため濁っていて青さは拝めず。
美瑛丘の宿四季に宿泊。夕食時に赤白ハーフ&ハーフで空ける。夜は宿の前で花火。

8/9
快晴。絶好の美瑛の丘めぐりのあと、娘をポニーに乗せるため、ファームズ千代田へ。娘いわく、釧路の勝手丼とポニーの引き馬が今回旅行の双璧だったそうな。
昼は四季さんおすすめのカフェ・ド・ラ・ペで。細い細いダートをかき分けて進んでいくと林の中に一軒家が。この立地で駐車場は車でいっぱい。ここのタイカレーは絶品(かみさんは、人生で一番おいしいカレーと言っていた)。
白金温泉近くの美瑛川の上にある火山噴火時のシェルターの階段を上り、十勝岳火山砂防情報センターへ。周囲の景色はいいが、えらく立派過ぎる箱ものだ。これは蓮方の餌食か。
美瑛でいちばんおいしいと教えてもらった茶屋カーブのソフトクリームを食して、ペンションジャガタラへ。
夕食は炉端料理。貸切露天風呂(無料)が売り。

北海道旅行(2)


8/6
昨日につづき快晴。屈斜路湖の南端に突き出ている和琴半島を歩いて一周(2.4km)。湖の紺碧が美しい。
その後一路西へ。阿寒湖よりすこし西にある、昔は秘湖ではなくなったオンネトーへ。観光バスにも遭遇(!)。
JR池田駅前にあるステーキレストランよねくらにて、十勝牛ワイン漬けステーキ弁当(超おすすめ)を買い込み、十勝が丘公園で食す。とにかく暑い。この日北見で37℃を記録。
その足で、十勝が丘展望台へ。十勝平野が一望できるおすすめの場所。
車を帯広に進めて、六花亭本店でイートイン(コーヒー無料)。
幕別温泉悠湯館で風呂に入ってから、道東自動車道でトマムへ。社会実験中につき、高速料金は無料。

8/7
ゴンドラに乗って雲海テラスに行く予定だったが、視界不良との情報で明日に延期に。
早朝の園内散歩に変更。
VIZスパハウスでプール遊びしたあと、併設の入浴施設でひとっ風呂。
夜は、水の教会のナイトツアーに。美しい。
トマムに連泊。

北海道旅行(1)


写真の整理がなかなか追いつかず、このままではイカン、ということでとりあえず行程だけをアップすることにしました。写真はあとで付けていきますね。

7泊8日の旅行でしたので、とりあえず2日ずつに分けて紹介します。

8/4
正午前のANAで伊丹空港を出発。14時前に釧路空港に着く。
レンタカーを借りて、和商市場の勝手丼を食す。
丹頂鶴を見るため、釧路市丹頂鶴自然公園へ。運よく遅生まれの雛を見ることができた。
山花温泉リフレでひとっ風呂浴びて、釧路プリンスHにチェックイン。
夜は、幣舞橋ちかくの炉端焼き「鱗」(公式HPなし)へ。キンキ、カキ、ホッケなどに地酒福司を。

8/5
釧路湿原をめぐったあと、娘を馬に乗せるためにどさんこ牧場へ。しかしトレッキングツアー中のため時間が会わず空振り。
その後、昔はライダーの聖地と言われた多和平で360度の地平線を眺める。ここはスープカレーも有名で、当然ここで昼食を。
屈斜路湖に向かい、砂浜を掘ると温泉が出てきて入れる砂湯へ。
屈斜路湖を展望するのは美幌峠が有名だが、もう何回も行っているので、以前濃霧で空振りした藻琴峠のほうへ。きれいに見えた。
屈斜路原野YGHに宿泊。ここの宿主はもと日本料理人。懐石風料理にオプションで鹿肉の炭焼きを追加。

2010/09/04

日刊工業新聞に掲載されました

 9月3日付けの日刊工業新聞に、弊社品質工学センターの紹介記事が掲載されました。

ダイジェストはこちら
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320100903bbab.html

記者の田井さんは関西品質工学研究会でも懇意にさせていただいています。
購読されている方は、ご笑覧ください。