2016/04/03

國井氏の「品質工学」論

技術者としての見識を広げるためにいろいろ本を読んでいる。その中で、技術士であり、設計コンサルタントの國井良昌氏の「ついてきなぁ!」シリーズに以下のような一節があったので紹介する。ただしこのシリーズは中小企業向けに書かれたものであることを、まえがきなどで断っているものである。

(引用ここから:品質工学以外の引用部は省略)

品質工学の賢い導入方法

(品質工学などは)どれも価値ある有効な手法ですが、とくに日本の大企業では「品質工学オタク」がが出現しています。「すべては品質工学」「品質工学を中心に地球がまわる」「すべての商品開発には、品質工学が不可欠」などと説き、企業の開発部門や生産現場や、若手技術者を混乱させています。

彼らの共通点は実直なこと。実直ゆえに、それしか見えなくなってしまうのかもしれません。その結果、彼らが推進する各手法は、その企業ではほとんど普及せず、また役に立っていません。(中略)

その反面、すばらしい企業も存在します。オタクではなく、現場や若手技術者とのヒヤリングを繰り返し、「管理者の、管理者による、管理者のための品質工学」ではなく、「技術者の、技術者による、技術者のための品質工学」のための指導者がいる企業では大きく躍進していました。

各企業においては、様々な手法の指導者は「オタク」にならないような適任者を指名することが、最大のキーポイントです。

(引用おわり)

まったく、その通りだと思いますね。
品質工学の適用ありきの議論にならないように注意する必要があります。

しかし、、、同書の以下の発言には首肯しがたいものがあります。技術士として、あまり誤解のないような表現をお願いしたいですね。

(引用ここから)
品質工学は、「なんでもあり!」や、客が望まない「多機能化」の商品開発を是正してくれる開発手法である。

(中略)

今や、品質工学はエクセルやワードやその他アプリケーションと同様に、ソフトウェアの操作方法を理解するだけのことです。

(引用おわり)

本当にその理解でいいの?と心配してしまいますが。。。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)