2016/05/03

品質工学セミナー入門コース(6/6~7@大阪)

 恒例の、日本規格協会の「品質工学セミナー入門コース」の大阪開催のお知らせです。


初心者のかたにとっては易しく、経験者・上級者のかたにとっては「今さら聞けない!」がたくさん詰まっています。

 今回から、下名が2日間とも担当します。2日目の最後の受講生のみなさんの「やるぞ」「わかってスッキリ」となったお顔を拝見するのを楽しみにしています。

 本セミナーは品質工学の初心者の方だけでなく、経験はあるけど挫折した、あるいはシックリと理解できておらずモヤモヤしている中級者の方、社内で品質工学や設計品質の教育や展開普及を行っているが、いまいち社員に伝え切れていないと感じる推進者・上級者の方にも満足いただける内容と自負しております。

 なぜなら、本品質工学セミナーでは、下名が総合電機メーカで20年間以上、品質工学の研究開発、生産技術開発、マネジメント、社内展開などの業務をとおして試行錯誤した中から得られた、現場目線の発想や説明を中心としているからです。もちろん、ベテランやコンサルタントの方々がお聞きになっても気づきが得られると自負しています。

講師 株式会社ジェダイト 代表取締役 技術士 鶴田明三

◆◆◆他のセミナーにはないオリジナルのコンテンツ(一部)◆◆◆

 ・なぜ品質工学(機能性評価)を用いるのか。
  開発フローがどう変わるのか。
 ・理解や自己発想が困難だった「(基本)機能の定義」が、
  講師オリジナルの「2つのパターン」でスッキリ理解。
  今日からすぐ機能定義ができます。
  また、機能が定義(計測)できない場合の、奥の手も公開。
 ・ノイズ因子(お客様の使用条件)の種類、水準(厳しさ)、
  組み合わせ方の具体的なガイドラインとは?
 ・サンプル1つで機能性評価する方法。
 ・ノイズ因子に対する対策の種類。
  機能性評価(パラメータ設計)だけのものではありません!
 ・デザインレビューに有用な、機能性評価の計画(事前検討)
  のまとめかた。
 ・統計の考え方や、ケースバイケースでの使いかたが
  難解だった「SN比」は、
  簡単なのに正しく評価できる「エネルギー比型SN比」で解決。
 ・手上げ式の質問以外に、アンケート形式での質問にもすべて
  公開で答える対応で、個別内容から応用までしっかり理解して
  帰っていただけます。
 ・すぐ使える実験計画用シート、SN比・パラメータ設計
  (直交表)解析ツールを受講者全員にプレゼント。
 ・テキストには印刷できない、体験談・秘話も聞けるかも・・・

パンフレットも一新しましたので、下記をご覧ください。
8月には福岡でも開催しますので、よろしくお願いします。
(※東京、名古屋、仙台開催の同セミナーは、講師、内容が異なりますのでご注意ください。両方を聞き比べてみるのもよいかもしれません)


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

JUSEパッケージシンポジウムのルポと講演資料

 去る2016年1月26日(火)に、日科技連主催第25回 JUSEパッケージ活用事例シンポジウム」が、東京(代々木、SYDビル)で開催された。公式の参加人数は114名。

 下名からは、「StatWorks/V5(品質工学編)の新機能”エネルギー比型SN比”を用いた設計品質の評価」なるタイトルで講演を行った(前の投稿をご参照)。


 その様子をルポとして、日科技連のHPに掲載いただいているので、ここで紹介する。
https://www.i-juse.co.jp/statistics/jirei/sympo/25/report.html

 また、エネルギー比型SN比について事例をもちいて、まとまった解説を予稿集にて行っている。その資料についても下記から入手可能だ。
https://www.i-juse.co.jp/statistics/xdata/sympo25-tsuruta-document.pdf

エネルギー比型SN比の研究や教育等に活用いただければ幸いである。
(他の講演のルポおよび講演資料も入手可能)




アンナ・カレーニナと機能性評価

 会社は10連休。ここ数日は出ずっぱりだったので、久々にブログへ投稿しますね。

 MTシステムの説明で田口玄一先生が引き合いに出された、トルストイの「アンナ・カレーニナ」の一節。

”幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である。”

 つまり、MTシステムおける正常な空間(単位空間)は均一でそろっているが、異常な空間(信号空間)はその様相がさまざまであるということに対するたとえ話である。

 様相がさまざまであるということは、事前にすべてのパターンを予測することが難しい(というか、不可能に近い)であるということだ。MTシステムでは、こちらの異常な空間のデータベースを作っておくのではなく、事前に予測しやすい、定義しやすい正常な空間のデータベースを作っておいて、その正常な空間からの差で、異常かどうかを定量的に識別しようとした。

 つまり人の体調でたとえると、健全状態(正常)と疾病状態(異常)では前者は均一でばらつきやパターンが少ないため、これを基準として、後者の度合いを計測しようというのだ。(本稿では異常な様相の”種類”の判別については論じない:MTシステムにはその方法も用意されている)

 さて、MTシステムではよく引き合いにだされる上記の話だが、これはハードウェアの品質計測法である機能性評価でも同じだと考えることができる。

 製品が設計・製造・出荷されたのち、機能(お客さまがほしい出力)の変動や、悪い場合は故障などの不具合に見舞われることがある。これは使用段階でさまざまな環境条件や使用条件にさらされる影響からである。これらからの影響が少ないほど、安定で安心して使える製品であることは明らかであるため、製品出荷前までの段階で、これらの影響に対して何らかの対応をしたいわけだ。

 ところが、不具合が発生する原因(外乱)や、それによって引き起こされる製品内部の変化(内乱、故障モード)は、お客さまや仕向け先などによってさまざまで、特に前者の場合はすべてを事前に予測するのは不可能に近い。たいがいは、予測できる範囲の試験や対策をへて、製品を出荷させているのである。

 そこでこう考えてはどうか。製品の(機能の)あるべき姿や理想状態というのは、正常な空間であり、均一で定義しやすい。田口玄一先生が唱えた、ゼロ点比例式もその1つである。そのような、機能のあるべき姿からの変動(ずれやばらつき)が発生するように故意にノイズ因子(誤差因子)を与えて、その変動の大きさを定量化することで、使用段階での製品品質の実力を評価する。これがSN比である。

 このようなアナロジー(類比)で見ていくと、品質工学におけるMTシステム(パターン認識、ソフトウェアの設計)と、機能性評価(ハードウェアの安定性の評価)の根本は同じ考え方であることが見えてくる。

 これを田口先生はいみじくも、「品質工学は計測法」とおっしゃったのである。すなわち、計測法とはものさしの定義であり、それは原点・ゼロ点(正常な空間)の定義と、単位量(1目盛りの大きさ)の定義にほかならないということである。

 以上、下名なりに品質工学が計測法であることの説明を試みたしだいである。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)