2019/10/04

品質工学シンポジウム2019 in おおさか(2019.10.4)ルポ4

■発表2 AI機械学習予測モデルのコンピュータ実験による量産プロセスの許容差設計
ローム株式会社 山中氏

実物実験(内乱が振りにくい)、量産前にはウエハ1ロット(25枚)しか流せない実験環境、制御因子が数10もあるという制約下で、量産データを使った回帰(機械学習)でモデルをつくり、許容差設計やパラメータ設計を実施。

本来は上流でロバスト設計すべきだが、そこは批判はしない。ここでは上記の制約を認めたうえで、今回の事例では量産に入ってからの検討であったが、今回の知見を次回の設計の前始末には使えばよいと思う。

品質工学シンポジウム2019 in おおさか(2019.10.4)ルポ3

■基調講演 AIによる品質・AIの品質~ソフトウェア工学視点からの動向紹介~
国立情報学研究所 石川氏

刺激になる内容。以下興味を持った点をメモ。

・人間が期待するような規則を学んでいるとは限らない。それでいいのか、よくないのか?
・AIソフトウェアの場合、事前に仕様を決めきることはほぼ不可能、完全なテストもほぼ不可能。人間が難しい、苦手だと感じているパターンがAIが苦手とは限らない。また人間が簡単にできるからと言ってAIでも簡単にできるとは限らない。
・内部の判別プロセスや結果が、プログラマにも予測不能。Software2.0
・技術的負債。高利息のクレジットカード。「なんとかVer.1.0リリース」は借金の始まり・・・H/W設計の悪魔のサイクル、フロントローディングの話にもつながる。
・本当の要求ではなく、動作や手段を仕様として作りに行ってしまいがち。
・最適なテストスイートを最適化技術(GA)を使って生成。
・バグの自動修正ツール!実はランダム的に(あるいはある規則で)手あたり次第コードを変更して、テストスイートをパスすればよいという考え方。治ってから人間が変更内容を理解すればよい。


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品質工学シンポジウム2019 in おおさか(2019.10.4)ルポ2

■発表1 IoTの取り組みで分かってきた技術課題解決の難しさ
株式会社エクセディ 薮田氏

社内の生産/品質情報システムの紹介。このようなシステムは見える化、帳票作業の自動化以上のアウトプットが見えにくい。ERP,MESによる効率化は前からあり、新規性がない。
この事例は情報システムありき、データ収集ありきとなっている。どういうビジネスモデルで付加価値を出していくかが重要。

90年代に以下の疑問をもった。悪い品質を作りこんでおいて、量産してから情報システムでもってデータを収集・解析し、問題点や原因を見つけ、それを直すということにひどい非効率を感じた。これが品質つくりこみをフロントローディングするQEをやるきっかけになったのだ。

検査の自動化は、「人がやっていること」の機械への置き換えではない。
より機械が得意で情報量の多い代替特性の考案やデータ処理・解析技術が必要。

誤検知する4%の領域はOKでもNGでもないグレーゾーンとし、その分だけ人がやっても25倍効率化できる。判別技術だけで誤検知0を目指すのが経済的とは限らない。

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品質工学シンポジウム2019 in おおさか(2019.10.4)ルポ1

■講演1 単位空間を動的に生成することによる機械設備・プラント異常診断の精度向上
株式会社IHI 茂木氏

RQES2019で発表された内容で、詳細はそちらをを参照されたい。
要するに、わかりやすい例では自動車の場合、走っているときも止まっているときも「正常」には違いないが、その状態は全く異なるので、別々の正常状態(単位空間)を定義して、適宜使い分けましょうということ。
個人的には今年のRQESでは最もよかった発表。

あらためて発表を聞くと、運転状態と単位空間の紐づけについて興味や疑問があり、以下2点を質疑。

Q.運転状態項目の選択方法は?
→A.基本的には技術的、固有技術的問題。
Q.同じ仲間の単位空間というのはどう判断しているのか?
→A.物理の因果関係(入出力)状態が類似していること。運転状態項目のクラスタリングではない。

あっさりとメモしたが、2つ目の議論は少し目からうろこ。

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