2022/08/30

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」⑤

  4.4 ノイズ因子の種類・水準・組み合わせの設定

機能性評価の手順②のばらつき要因を考える際に,外乱と内乱の区別が有用である.外乱とは対象の外側からくるばらつき要因のことで,お客様の

(a)環境条件や,(b)使用条件であり,機能を変動させるおおもとの原因となる.(a)環境条件の例としては,環境温度や湿度の違い,振動や衝撃,腐食性のガスの存在などがある.また(b)使用条件は,自動車の例では,渋滞が多い街中での走行なのか空いている高速道路での走行なのか,同乗者はどこに座っているのか,などの使用者の条件の違いである.

対象が外乱にさらされることによって,対象の内部で起きる変化のことを内乱という.外乱と内乱は,原因と結果の関係にある.たとえば,外乱である環境温度が高い場合は,製品内部の部品は寸法が変化したり,電気回路の素子や配線の抵抗値が大きくなったりする.長期間の外乱にさらされることによる材料や部品の劣化も内乱の一部である.

 ばらつき要因を考えて列挙する際には,外乱(環境条件,使用条件),内乱(変動,劣化)に分けて特性要因図や系統図で整理し、レビューするとよい.知識が共有されるだけでなく,抜けや漏れに気が付きやすくなる.なお,広範囲な電気・機械製品で考えうる外乱,内乱についての網羅的なリストを著書〔1〕(p.127)に掲載した.ばらつき要因の抜けがないかのチェック等に有効活用してほしい.

特性要因図に取り上げた多数のばらつき要因から,重要な要因を取り上げ,ノイズ因子とする.ノイズ因子はその厳しさ(水準)を決めて,ばらつき要因とその水準を組み合わせて複合的に与えて評価する.ここが信頼性試験と大きく異なる.

ばらつき要因からノイズ因子を選定するガイドラン,ノイズ因子の厳しさ(水準)の決め方,ノイズ因子の組み合わせ方は,著書〔1〕(pp.131-155)に詳しく解説した.


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超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」(6ページ)

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2022/08/29

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」④

 4.3 機能の定義方法

 機能とは対象に備わっている働きや,お客様のニーズと考えればよい.そして,それを引き出すための入力が何かを考えてみればよい.例えば電球の場合,お客様のニーズは明るさである.この明るさを自由に変えたい場合,お客様は入力の供給電力を変化させる.このような入力と出力を考える. 

 つぎに入出力の関係が,どうなっていれば理想的かを考える.この理想状態はバーチャルなもので,実製品で実現させる目標とは異なる.電球の場合,入力(電力)と出力(明るさ)の関係は,ロスがなく効率100%というのが理想である(図2).すなわち入力と出力は単位が同じなら傾き1の比例直線になる.このような入出力の関係と,その理想状態を定義することを機能定義という.

図2 電球(照明)の機能定義

 機能はお客様が欲しい状態を示すので,機能を理想状態に近づけて,ばらつきや変動も小さくするような設計にすることが,お客様のニーズを満たすことにつながり,ひいてはクレームや手戻りなどのロスを減らすことになる.
 具体的に業務で機能を表現する場合には,以下の文章に当てはめて考えるとよい. 

   [①対象:    ]の機能は,
    お客様が意図した[②入力:   ]に応じて,
     お客様が欲しい[③出力:   ]を得る.

 お客様が欲しい出力を得るためには,お客様は何か行動を起こす必要がある.車のステアリングを回さなければ車は曲がって行かないし,コピー機には原稿画像の情報を与えないと所望の画像出力が得らない.そのような,お客様の欲しい出力を得られる,また変えられるような,お客様の使用条件を入力とする.これを信号ともいう.入力は設計者が決める設計パラメータ(制御因子)と混同しないことが大切である.まとめると図3にようになる. 


図3 機能定義の考え方

 機能定義についてのさらに有用なコツとして,二つの機能のパターン(エネルギー変換機能と制御的機能)について著書〔1〕(pp.81-106)で解説した.また実務では製品の一部分(サブシステム)を選択して評価や設計を実施することも多い.そのような方法(機能ブロック図,スコーピング)についても著書〔1〕(pp.111-117)で説明した.

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2022/08/28

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」③

4. 機能性評価(機能の安定性評価)

4.1    「より早く,より速く」品質の評価を

対象(製品,部品,工程)に備わっている働きを機能といい,機能の安定性のことを機能性という.機能性評価とは,製品がお客様の手に渡って使用される段階で,機能がどの程度ばらつき・変化なく発揮できるかの実力,すなわち未来の品質を評価(予測)する方法をいう.

照明器具であればその明るさが,どのような使用条件,使用環境でも新品と同じようにいつまでも維持される,というのが望ましい性質である.このような使用段階での実力を,「より早く」(設計・開発の初期の段階で),「より速く」(短期間で)見える化したい.そして設計に弱点があれば,設計変更の自由度が高く,試作規模や手戻りが小さい段階で修正しておきたい.このように「短時間での実力の見える化⇔設計改善」の小さいサイクルを繰り返すことで,自信がもてる設計に近づけていくのが,目指すべき設計・開発プロセスである(図1参照).機能性評価でなぜ短時間の評価が可能になるのかについては,著書〔1〕(pp.47-51)に詳説した.

4.2    機能性評価の手順

機能性評価を行う段階では,「何を作るべきか(企画の問題)」,「それをどう実現すべきか(システム選択・機能設計の問題)」,「評価サンプル(またはシミュレーションモデル)の準備」は完了しているものとする.以下に機能性評価の概略手順を示す.

対象(製品,部品,工程)の働きである機能を入力と出力の関係で表現する.

その機能の入出力関係が,製品使用段階で変動する,ばらつくような要因(ばらつき要因)を多数検討して取り上げる.

ばらつき要因の中から重要な要因としてノイズ因子(誤差因子)を選択して,その条件の水準(厳しさ)と組合せを決める.

組み合わせたノイズ因子の条件のもとで,対象の機能がどれくらい変動するのかを観察してSN比で定量化する. 

ノイズ因子に対する弱みがあれば対策を講じて,設計を改善する(必要に応じてパラメータ設計すなわち直交表を用いた機能の安定性設計も適用する).


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2022/08/22

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」②

 3. 従来の品質検証方法の問題点

設計した製品や購入部品の品質が確保されているかを調べたるために従来,信頼性試験を実施してきた.しかし,設計・開発の初期段階で未来の品質をチェックするための方法としては,以下のような問題点を抱えている.

(1)複雑さの壁(品質面の問題)

信頼性試験で合格して,出荷前の検査も合格したはずの製品が,期待に反して短い使用期間で故障したり性能が低下したりする.これは,信頼性試験では実際の複雑な環境や使用条件を模擬できていないからである.使用段階の条件に合うような複雑な条件で製品の品質の実力を調べる必要がある.

(2)数の壁(コスト面・先行性の問題)

信頼性試験では,統計学を援用するため多数のサンプルを必要とする.これは試作・評価コスト面だけでなく,設計・開発の初期段階ではサンプル数を多く準備できないという面でも問題である.

(3)時間の壁(開発期間面の問題)

故障率や平均寿命を定量化するためには,故障するまでの試験(数100~数1000時間)を実施する必要がある.設計改善や修正を速く行って短時間に品質を確保したいという要望に対して,時間のかかる試験を繰り返すことは難しい.このことから,短時間に品質をチェックする方法が必要である.

このような3つの問題を克服できる評価方法として,機能性評価(機能の安定性評価)がある.

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2022/08/21

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」①

1. はじめに*

 品質工学やオペレーティングリサーチ,トヨタ生産システムなどのさまざまな経営工学技術は,仕事の効率化,品質向上を図るうえで非常に有用である.あらゆるムダを減らすことで技術者らの価値創出のための時間を作り出し,また創造性を発揮する手助けすることが経営工学技術の役割である.本稿では特に品質工学に焦点を絞り,著書「これでわかった!超実践品質工学」〔1〕で体系化した実践方法の一部を紹介する.また,とかく難しいと言われている品質工学の実践・推進の問題点について明らかにし,その解決のポイントを示す.

2. 品質の見える化の必要性

 以下は企画段階に関係する価値の問題ではなく,市場クレームや開発手戻りなどの損失(ムダや生産性悪化)に関係する品質の問題を取り扱う.すなわち性能の低下や故障などに関わる,機能のばらつきや信頼性の問題である.製品の市場クレームの大半は設計・開発責任(購入部品の選定を含む)という統計がある.このことは,出荷時に良品であったはずの製品が,使用段階の発生させる問題は,設計・開発段階で対処しておく必要があることを示している.しかし,製造段階の品質問題に比べると,使用段階で発生する問題のほうが見つけにくく,またその原因を事前に想定して,対策することは一般に困難である.

また,設計・開発段階で不具合を見つけ出せた場合の対策コスト(図面修正等)に比べると,量産開始後(金型修正,製法変更)や市場出荷後(クレーム処理,リコール)ではより甚大な対策コストがかかる .これらのことから,品質への対応はできるだけ早い段階で行っておきたい.そこで設計・開発の初期段階で,使用段階における”未来の品質”の見える化が重要となる(図1右上).

このための方法論として,品質工学の「機能性評価(機能の安定性評価)」がある.


図1 めざすべき設計・開発プロセス

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2022/08/20

設計品質改善のコンサルティングや人材育成ならジェダイト

 株式会社ジェダイトでは設計品質やデータ解析にかかわる、コンサルティング顧問契約、設計品質リーダ育成、社内研修、各種セミナー講演、解析ソフトウェアのご紹介・販売まで、多岐にサポートいたします。

 Amazonの経営工学カテゴリで1位となった「これでわかった!超実践品質工学」(増刷継続中)の著者で技術士の、つるぞうこと鶴田明三が直接指導。

 前職の大手電機メーカから28年間培った経験とオリジナルのノウハウ・メソッドで、数々の品質改善、生産性向上、約1000名の設計品質リーダ育成の実績を挙げてまいりました。

 これまでのコンサルやおセミナーでは、数々の肯定的な評価をいただいております。オンラインセミナーも実施中。

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2022/08/16

強い経営実行部隊の育成こそが生き残りのカギ

 株式会社ジェダイトでは目先の問題解決だけでなく、設計品質推進リーダーを育成することを念頭においたお手伝いしています(その中で必ず定量的な効果も示していく)。

 設計品質推進リーダーとは自ら課題が設定でき、その解決にむけて適切な手段を用いながら自ら実践、周囲を牽引できる人で、後進を育成できる人のことを指しています。その条件として、以下を挙げています。

 ①設計品質改善へのマインドがあり、後進育成の意欲があること。
 ②自ら設計品質改善活動(現状分析~提言~解決のPDCA)を経験したことがあり、さらにそれを継続していること。成功体験も重要だが、途中での失敗トラブルにあたり、考え抜き、それを最終的には打破すること。
 ③解決のための豊富な知識(手法や社内・社外の相談窓口・リソース等)を持ち、それを生かせること。

 一般的には上記の条件を満たすような人財は中々おりません。放っておいても伸びる人はごく一部です。そこで、リーダー候補をトップダウンで任命し、計画的な教育を中期的、継続的に実施していくことが必要になるわけです。

 上記①~③のマインドとスキルを身に着けるためには、ひとことで言えば「経験」と「気づき」を得られるようなプログラム(講演、セミナー、実習、課題調査、実践指導)が必要です。

 またこのような活動を継続していくためには、社内での大目的の共有と各階層での得心、しくみの構築、成果見える化が必要となる。つまり1期単位の成果を数値(金額)で示し、それを積み上げていくことにより、幹部に活動の理解を得て、活動リソースを継続的に供給いただくことが必要なため、そのようなサポートも行っています。

 このような活動を真剣に取り組みたい会社さんと、ご一緒に頑張りたいと思います。
ご興味あるかたはご連絡をお願いいたします。


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2022/08/15

【市販解析S/Wライセンス付き】MTシステム 入門・演習コース ※追加ライセンスも割引価格でご提供

  AI/IoT時代に必修といえる、工程の異常管理や予知、官能検査の自動化などに最適なパターン認識手法「MTシステム(マハラノビス・タグチシステム)」を、御社内で入門から学べます。また、高速・高精度解析ソフトウエアを用いての演習も行えます。

さらに、実務ですぐに活用できるように、演習で使用している、アングルトライ社の高精度高速解析ソフト(127項目・10,000データ版、定価125,000円税別)を1ライセンス進呈の限定特典つき。オンラインセミナーも実施中。
こちらからパンフレットをダウンロードいただけます。

実施形式 講義形式、15名様程度まで受講可能。Excel付きのPCを1~2名に一台ご用意いただきます。
特 典(数量限定) すぐに実務で活かせる!演習で使用した、アングルトライ社の高精度高速解析ソフト(127項目・10,000データ版、定価125,000円)を1ライセンス進呈。その他、多数特典あり。詳細パンフレットにて。
費 用 315,000円(1日間)+消費税+旅費実費。テキスト・ツール類費用、日当等の一切の費用を含みます。見積書をお問合せフォームよりご用命ください。
ご希望により、事例相談(スポットコンサル)を通常料金の半額で追加することができます 。


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2022/08/12

その製品やサービスがお客様に受け入れられて、製品が売れ、もうかるのかどうか

 事業改善、実践テーマを設定するときに事なことは、より上位のレベルがないがしろにされ、手法の枝葉末節議論や、目的と手段のはき違えになっていないかに留意すべきということである。いくら性能や良く、ばらつきの少ない製品を効率よく作ったとしても、それが売れなければ全く意味がないのだから。


LEVEL1 事業性の問題・・・コンセプトデザイン
 その製品やサービスがお客様に受け入れられて、製品が売れ、もうかるのかどうか、事業が継続できるのかどうか。つまり、企画の問題である。「よい品質」とは、顧客の要求に合致していることに他ならないので、すべてのスタート点はここにある。手段ではなく、どのような機能、どのような効用の製品やサービスを提供していくのかというテーマである。管理技術ではQFD(品質機能展開)、アイデア発想法、企画の7つ道具などがそのツールとなる。市場調査の手段として、IoT、ビッグデータ、AIを活用するデータサイエンスの分野も喧しい。なお、品質工学では「よい品質」における「価値・効用」の部分、すなわち「機能そのもの」は扱っていない。

LEVEL2 実現性の問題・・・システムデザイン
 顧客の要求が分かり(あるいは想定でき)、目標とする製品やサービスが定義できれば、次にそれを技術的に実現する必要がある。いわゆる研究開発による機能の実現、性能・エネルギー効率の確保の問題である(要求性能に信頼性やコストや環境性等が含まれることも多い)。これはできるだけ企画に先行するほうがよい。新しい方式を立案(発明、流用)し、どのような方式が良いのかを比較検討する。コンピュータシミュレーションや部分的なプロトタイプによる実験も含む。技術者の固有技術、知識、経験、センス、意欲などがモノをいう世界だ。最終的には特許などの知的財産権の独占につながるのだから、手法だけで答えが出る世界でないのは明らかだ。管理技術では、TRIZ、アイデア発想法などがそのツールとなる。信頼性の机上検討ではFMEA、FTAなどの信頼性工学を活用する。原理やメカニズムを解明するフェーズでは実験計画法や統計的手法を用いることもある。

LEVEL3 評価の効率化の問題・・・機能性評価
 考えたシステムの妥当性(特に機能の安定性)を効率よく確認できなければ、それを効率よく比較・改善することはできない。また、開発・設計の初期段階では、性能は見えても信頼性や寿命が分からないことは多い。長時間の信頼性試験、寿命試験に頼らずにこれらを短期間で見極めることは、開発の効率化に大きく寄与する。また、規定の開発期間内に多くのトライアンドエラーが可能となり、性能や信頼性のレベル向上にも寄与する。管理技術では品質工学の機能性評価(機能定義、ノイズ因子、SN比)がそのツールとなる。

LEVEL4 改善の効率化の問題・・・パラメータ設計
 同じシステム内においても、寸法や材料などの設計パラメータの条件変更により特性(ばらつきや平均値)を改善できる場合が多い(特に初めて採用したシステムの場合)。設計パラメータの条件の組合せの評価を効率的に行いたいというニーズがある。そのため直交表を用いることが多いが、一部実施実験である直交表での最適条件(候補)がはたして、実際の(仮想的には全条件を実施した場合の)最適条件と一致するのかどうかが問題となる。これを再現性という。すなわち、どこまで改善できるかはLEVEL2の基本設計にかかっているが、それを効率よく改善できるかどうかは、LEVEL3の評価の問題と、LEVEL4の再現性の問題である。管理技術では品質工学のパラメータ設計(機能性評価に加えて、直交表、要因効果図、確認実験、その他再現性確保のための手法)などがそのツールとなる。品質工学の研究会等ではいきなりこのレベルの話から入ることが多いと感じる(もちろん前提がきちんとあって、説明できるのなら問題はないのだが、直交表などのツールに振り回されているものも散見される)。

 これ以外にも詳細設計に入ってからの各スペックのバランスやトレードオフの問題もある。これらはLEVEL1,2に問題があることも多いが、多目的最適化や許容差設計の分野となる。事業ありき、システムありきでの仕事が中心の場合、このレベルの課題が出てくることは確かである。詳しく知りたい方は弊社のセミナーやコンサルを利用いただきたい。

2022/08/10

年間20数億円の効果を上げる人財育成:設計品質リーダー育成コース ※現在新規開講はお待ちいただいております

 機械系や化学系メーカー様で、設計品質リーダー育成コースを実施中! 先日、経営幹部様の前で成果報告会をさせていただきました。

品質ロス削減、開発工数削減、売上利益増、客先価値向上の成果金額の単年度試算合計の一例は10名で20数億円です。これは他社様での同様の活動と同レベルの平均的な金額です。
幹部様より「活動にブレがない」とのお言葉をいただきました。
今後は、活動で浮いたリソースを企画やR&Dという価値創出に向けていくことになります。



<前職から15年以上運営の実績!> 前職の設計品質(品質工学)を中心としたプロジェクト活動では、6年間で約900人のリーダを育成。ジェダイトではすでに大手製造業様5社、80名の塾生を育成(現塾生を含む)。 特に計画段階での、実践テーマの提言書作成指導が目玉です。 マインド醸成+スキルアップ(管理技術の講座)+実施提言書作成+実践 による人財育成(1年間+事後フォロー) 1期10名の成果試算金額は、数億~20億円程度の実績。 卒塾後は、実践活動の継続と後進育成。 このような活動を真剣に取り組みたい会社さんと、ご一緒に頑張りたいと思います。 冷やかし厳禁!意欲のある会社様のみご連絡をお願いいたします!