2009/08/03

T法と過飽和実験計画 (2)

 先日の関西品質工学研究会で、QES2009のNo.80,No.83で発表された「欠番直交表」が紹介、議論された。S/Wデバッグに、欠番直交表、つまりL36直交表などの一部の行のみを実施して、できるだけ網羅率は維持したまま実験数を減らす方法である。

 たとえばL36-12といわれる欠番直交表は、第12列が第1水準である行(No.1,4,7,10・・・)を選択したものであり、これは以前紹介した、過飽和計画とよばれるものである。直交表の一部を実施する方法は、Lin(1993)によって提唱されている。ネットで入手できる日本語の文献としては、以下のリンクを参照されたい。
 L12から導かれる2水準過飽和実験の構成 , 応用統計学 ,1995/03
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/jnlabstract_ja.php?cdjournal=jappstat1971&cdvol=23&noissue=3&startpage=147

 この論文では、筆者(飯田先生)が提言する過飽和計画表のつくりかたが分かる。p151の表2にある計画表(12行-36列)は、実験No.1,2が見事に水準1と2に分かれているので、予備実験の予備実験(2通りだけ当たってみる)のによいかもしれない。

 QES2009の論文は、S/Wデバッグへのアプリケーションとして価値があると思うし、田口博士もこのような方法は否定はしないと思うが、実験計画法の範疇の議論なので、田口博士としてはS/Wデバッグで直交表を重複させる程度しか扱っていないのかもしれない。

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