(つづき)
■信頼性試験における三つの壁
さいごは「時間の壁」です.信頼性試験のなかには,数千時間の試験時間が必要なものが少なくありません.信頼性試験では使用段階の実時間(たとえば10年=87660時間)を加速 という考え方を使って,数百~数千時間に短縮しているにも関わらずです.そもそもなぜこんなに長い試験時間を必要とするのでしょうか.「数の壁」のところでも述べましたが,信頼性試験では寿命や故障(率)を対象にします.つまり品質を定量化するためには,寿命が来るまで,つまり故障するまでの試験が必要なのです.2.4節で紹介する購入電子部品では,従来は10,000時間以上の試験を実施していたのです.時間がかかっても合格すれば次のステップに進めて報われますが,試験の結果不合格になるとどうでしょうか.もう一度部品の選定をやりなおしたり,設計を変更したりして,また長時間の試験を実施する必要があります.設計変更や修正を速く行って,短時間に品質を確保したい設計・開発の現場にとっては,このような時間のかかる試験を設計・開発段階で繰り返し実施することはできません.したがって,ここでも何か工夫をして,短時間の試験で品質をチェックする方法が必要となります.
まとめると,設計・開発の初期段階で用いる品質チェックの方法として,信頼性試験に代わる,「使用段階の条件を模擬した複合的な条件で」「少ないサンプルで」「短時間で」実施できるような新しい品質のチェック方法が求められている,ということが理解できたかと思います.
0 件のコメント:
コメントを投稿