2022/12/12

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」⑧

5. 品質工学の推進と展開

5.1 社内推進がうまくいっていない組織の特徴

品質工学を社内で推進しようとしても,腰が重い,実施したとしてもリピートや定着に繋がらないなどの問題を散見する.以下筆者の指導経験に基づき,活用や推進がうまくいっていない組織の特徴についてまとめた.

手段ありきで,目的や必要性が分からずに「手法を適用」している.やらされ感ばかりでやる気が出ず,リピートにつながらない.その結果,活動が成果に結びついていない.

品質工学といえばすぐに直交表実験と考え,それを強要しがち.教育研修でも,直交表実験の手順を教える傾向が強い.

定義や意味をよく考えずに専門用語を濫用している(特に「基本機能」,「設計品質」など),田口玄一の言説を受け売りする推進者・講師.「失敗したことが成果」,「技術力がない証拠」などと場をしらけさせ,実践者のやる気をなくさせる.

講師の実践経験,知識体系化レベルが低く,手法の表面的な説明や,天下り的な教科書の説明に終始.明示的な手順や数式以外は,「担当者が考えること」と責任を丸投げしてしまう.

田口のSN比にこだわる(あるいはそれしか知らない)ため,自由度,期待値,純変動といった,設計・評価の実務には無用な知識を説明しなければならず,講座が冗長・退屈になる.その結果,教育に時間を浪費し,受講生は数理が理解できず挫折したり,品質工学は難解という印象をもってやらなくなったりする.

計画時にテーマの位置づけや目標値が明確化されないまま,目先の困っているテーマでもって,見切り発車のまま手法を当てはめる進め方が目立つ.「なんとなく良くなった」レベルで終わっている.経営幹部に成果が見えていないので活動に対して半信半疑である.

しくみがない.ボトムアップでは,推進者と担当者の直接取引のような形で,職制が関知しないまま実施するため,進捗が職制としてフォローされず,他の仕事が優先されるなどしていずれやらなくなる.トップダウンの形をとっている場合においても,特に中間管理職層で腹落ちできておらず,形だけ担当者にやらせる状況に陥る.その結果,よほどマインドに優れた担当者,職制でないと自主的なリピートや展開につながらない.

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超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」(6ページ)

(日本経営工学会の了承済)。

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