2024/04/27

【超実践品質工学】「設計品質」とは何だ?②

  「設計品質」とは何だ?②(つづき)

 ところが,そのような「設計すべき」ものである「ねらい」がどのくらい設計図面に反映されたか,という品質もあります.これは品質目標ではなく,設計の結果です.この品質の中核となるものが,さまざまな使用条件や環境に対する機能の安定性です.いくら製造が図面通り正確に作ったとしても,この機能の安定性が設計で確保されていなければ,安定性の悪い製品が量産されて大量に出ていくだけです.そのあと,これらがお客様の使用段階で不具合を発生させます.

 製造段階の検査でわかるのは,部品の寸法や外観,完成品の性能的な特性(定格出力,騒音など)だけです.「設計した品質」が正しいかどうかは,製造現場では図面が正しいとしていますので,わかりません.「設計した品質」の確認や確保は設計・開発段階でしかできません(あるいは,使用段階で露呈するかです).つまり外観や性能だけでなく,機能の安定性まで確保した設計を,図面に反映させておかなければならないのです.

 そうしますと,一言で設計品質といっても,市場やお客様の要求を反映した企画としての設計品質は「ねらいの品質」,「品質目標」,「設計すべき品質」といえますし,設計した結果(図面)がどれくらいねらいに当たっているのか,その図面通りに作られた製品の品質は,「設計のできばえの品質」,「設計した品質」といって区別するとわかりやすくなります(図表1.3.1).設計した結果得られる機能の安定性は「設計した品質」の一部を指しています.断りなく「設計品質」といえば,「設計段階で決まる品質」程度の広い意味を表すこととします.

図表1.3.1 設計品質の分類と定義(筆者による分類)




0 件のコメント: