2024/04/16

【超実践品質工学】設計・開発プロセスのここが問題!目指すべきプロセスとは?②(つづき)

  設計・開発プロセスのここが問題!目指すべきプロセスとは?②(つづき)

 製造段階での「品質管理」は,戦後に活発化した組織的な活動や統計的な手法の活用によって,世界一といえるレベルに到達・成熟してきました.また製造の自動化・IT化,さまざまなフェールセーフ,エラープルーフ などの対策により,人による作業のばらつきやミス,勘違いなどによる不具合も起こりにくくなりました.それでも製造の間違いやミスが多いとすれば,それは製造しにくい設計がまずいからと考えるべきです.品質保証部門や品質管理部門で行われる製品や半製品の検査についても,検査にパスした「合格品」が使用段階でトラブルを起こしていることから,検査が漏れているのではなく,そもそも「合格品」の定義が間違っているということでしょう.合格したものはお客様の使用段階で不具合とならないように設計しておく必要があります.どのような状態を合格品として,何を(どんな特性値を),いくらの範囲で(どのような合否基準で)検査するのかを決定するのは,図面や仕様書を規定すべき,ほかならぬ設計・開発部門です.購入部品が起こしたトラブルについても,部品の評価基準を決めて,部品を選定した設計・開発部門です.部品評価の実務は専門の部隊が行っている場合も多いですが,その基準(方法やスペック)を決めるのは,やはり製品設計に精通した設計・開発部門の役割が大きいといえます.これらをまとめたのが,図表1.1.2です.

 このように,設計・開発部門は製品の性能,品質,コストなどについて,大本のところで大きな責任を担っていることがわかります.そのため,使用段階での不具合の要因を整理すると,冒頭のようにほとんどが設計・開発段階に起因したものになるわけです.未知の事柄も多く,検討すべきことが多い上に,不具合が起こったときには現在の開発を置いても対応に駆り出されるのですから,設計・開発部門の方が忙しいのもうなずけます.

図表1.1.2 不具合の発生要因と設計・開発部門の役割


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