品質工学で扱う「品質」とは①
普段,私たちが「品質がよい」というとき,それは何を意味しているのでしょうか.インターネットの表現からいくつか例を引いてみましょう.
「○万円のインプラント治療.安くても品質が良い理由」
「○○県の農作物は品質が良い」
「テレビ・ラジオの受信品質が良い」
「飲み物の品質が良い,○○ホテルのリバーサイドカフェ」
「品質が良い日本製シルバーメタリック○○(製品名)」
「品質がよいみんなのウェディング」
「○○(放送局)の情報は品質がよいのでしょうか」
「○○(宿泊施設)の温泉の品質が良い」
・・・いやはや,いろんなものに対して,品質が良いといえるものです.その製品を手にしたり,サービスを受けたりしたときに,他より感じが良くて,コスト的にも満足である,安心できる,自分の要求や好みに合っている…というのが全体的な意味でしょうか.
携帯ミュージックプレイヤーやタブレットコンピュータ,携帯電話などで,必ずA社の製品を選ぶというファンが一定数いますね.その製品のデザイン(外観),ユーザビリティ(使いやすさ),持ったときの感覚,A社の製品に対する考え方…等々に魅力を感じて,多少他の部分―――価格が高いことや,一部の機能がついてないこと,あるいは耐久性が弱いことなど―――は目をつむってもA社の製品のお客様であることに満足を覚えるのでしょう.あるいはそのような自分に満足を覚える人もいるでしょう.高級車やバッグでも特定のブランドのファンである人がいますが,これも似たような感覚なのかもしれません.
このような意味での品質を「魅力的品質」といいます.魅力的品質は,好みは百人百様であり,これが正解とよべるものありません.これは,どんな製品を企画して市場に投入するか,どんなイメージ戦略で売るのか,高級感を出した方がよいのか,デザイン,風合い,使い勝手などの差別化は…といったことがポイントとなる品質です.どちらかというと,マーケティング部門や製品企画部門に関係がある内容で,設計・開発の方には「あまり関係ないな」と感じる分野かもしれません.魅力的品質の一つの特徴は,それを洗練,高度化させることで,大きくお客様の満足度を上げられることにあります.(つづく)
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