2024/04/30

【超実践品質工学】設計・開発業務でこんなこと起こっていませんか~悪魔のサイクル~②

  設計・開発業務でこんなこと起こっていませんか~悪魔のサイクル~②(つづき) 

 設計が(一応)完了すれば,製品の試作を行い,信頼性試験や耐久試験などの規定に則った試験を行います.1.5節でも触れますが,このような試験は目標寿命に対する判定を行ったり,故障が発生するまで試験したりするため非常に時間がかかります.しかし規定にのっとった試験のため必ず実施する必要があります.1回目の試験で合格すればまだいいのですが,不合格になるとその原因を調べて,設計を手直しするという手戻りが発生します.試験はもう一度実施する必要がありますので,このロスは非常に大きなものです.

 開発期間が延びて,納期が迫ってきます.納期までに「設計した品質」が「設計すべき設計」の目標値を達成できない場合は,納期が守れなくなります.お客様に迷惑がかかるか,あるいは季節商品の場合は市場投入ができずに商機を逃すこともありえます.あるいは,納期必達の場合は,当初の目標としていたスペックを落としたり,お客様の使用条件や使用環境を制限する形で製品を出荷することになります.あるいは,改修不能でこのままでは製品にできないという場合は,開発自体を断念する場合もあります.これらはお客様に迷惑をかけるだけでなく,大きく経営上のリスクとしてのしかかってきます.





図表1.4.1 設計・開発における「悪魔のサイクル」

 製品が合格品として出荷されますが,製品の出来によっては,お客様の使用段階で不具合(故障,機能低下)が発生します.出荷前の試験で合格したのにもかかわらず,不具合が起こるのです.「設計した品質」のレベルが不十分であると,温度変化や繰り返し加わる力,長期間の使用による劣化などによって,製品の働きである機能が変動したり,ばらついたりして,最終的には故障にいたります.形ある製品は,いつかは壊れるものですが,お客様が期待していた寿命よりも短期間で壊れてしまっては迷惑がかかり,クレームとなります.(つづく)


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