設計・開発業務でこんなこと起こっていませんか~悪魔のサイクル~③ (つづき)
お客様のところで不具合となった製品は,交換や修理という形で処理がとられます.設計起因の不具合の場合は,まだ不具合が発生していない多数の製品についても将来不具合が波及する可能性がありますので,メンテナンスや改修を行ったり,場合によってはリコールで製品を回収する場合もあります.応急の処置後は,その不具合の発生原因を究明する必要があります.もともと不具合を出そうとは思ってはいないわけですから,未知,無知,想定外の要因であることも多く,原因究明に時間がかかります.
不具合の原因がみつかれば,それをこれまでの経験や知識を使って改善します.いわゆる職人的な経験や技能によって修正しなければならないこともあるかもしれません.発生した不具合についてはこれでいったん治まったように見えます.しかし注意しなければならないのは,今回の対策は「発生した不具合」に対してのみ有効だということです.それ以外の故障モード(壊れ方)や,原因に対しては十分に対策が打てていないのです.本質的な設計改善になっていないという心の傷を持ちながらも,その設計が次の開発のベースモデルとなります.つまり不具合の「種」は仕込まれたまま,次の市場での不具合発生の機会をうかがっているのです.試験でわからない不具合の種は,さまざまな条件で多数のお客様が使用した結果,初めてわかることになるのです.
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