2016/12/25

「株式会社ジェダイト」を設立し、独立開業します

 平素は、品質工学をはじめとするお付き合いの中で、皆様には大変お世話になっております。
私こと、
23年勤めた現職を退き、12月15日に「株式会社ジェダイト(JADEITE Inc.)」を設立、2017年1月より開業いたします。※JADEITE=JApan Data Engineering InstituTE

 弊社では品質工学をはじめとする技術コンサルティング、研修、講演、執筆などを中心に活動してまいります。

 すでにいくつかお引き合いやお問い合わせをいただいており、まずはなんとかスタートをきれそうです。

 近日中に会社ホームページも立ち上げる予定ですので、その折は会社や事業の詳細をご笑覧いただけると幸いです。取り急ぎ、名刺を作成しましたので、ご確認いただければ幸いです(実物は2つ折り4ページ)。皆様とお会いしたときに、お渡しできればと思います。

※前職の会社のメールアドレスから以下に変更ください(●を@に変更)。

  新しい連絡先:  tsuruta●data-engineering.co.jp

 本ブログは会社とは別に個人用として引き続き運用してまいります。
 今後ともよろしくお願いいたします。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/12/20

【今日の言葉141】

最後に残るのは「人の縁」ぐらいしかない

( 株式 会社アイティマネジメント会長 岡崎太郎)

上の言葉は以下のようにつづく。

人との出会いで人生が動き始め、本番の幕が上がる。
縁によって、信じられない金銭的なサポートがもらえたり、人を仕事を紹介してもらえたり、環境を整備してもらえたり、それも抜群のタイミングで、必要な分量の力がきちんと作用する。縁を疑わずに、前向きに受け取り、自分の人生に追加していく。前向きな変化のエネルギーにする。自分の人生をプラスすると決める。(中略)すると、いつでも「ありがとう」という気持ち、想いがでてきます。

岡崎氏の著書「夢が見つからない人のためのシンプルな習慣 1日3分「夢」実現ノート」を2004年に読み、本書で推奨されているモチベーションシート式の手帳をもう12年も続けています(2年目以降はフォーマットを自分流にアレンジしたものを使用 :-P)。それまで日記すらつけたことがないのに、よく続いたものだとおもいます。ここには12年分の行動記録、よかった出来事、またまた強く思ったことなどが書き綴られ、それによって自然と行動が生まれ、それによってさまざまな結果が生まれ、現在にいきつきました。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/12/04

損失関数とSN比

 日科技連出版社から「エネルギー比型SN比―技術クオリティを見える化する新しい指標」を上梓したが、ここにはあえてSN比と損失関数の関係についてはふれなかった(あえて、と言っているように、当然全書「これでわかった! 超実践 品質工学 ~絶対はずしてはいけない 機能・ノイズ・SN比の急所~」でも損失関数には踏み込んでいない)。

 理由はいくつかあるが、もっとも大きな理由は、損失関数を文献の記載では理解できても、下名自身の事例でまだ検証できておらず、損失関数とリアルな経済の関係が信じ切れていないからである。自分が得心のいかないことを指導、コンサルティングするのは、意に反するのである。
 他社の研究会メンバーに聞いても、社内で活用できているとことは非常に少ない(計算するだけならいくらでもできるだろうけど)。田口氏の主張を否定するわけではないが(否定する材料もない)、自分で実証も得心もしていないことを、受け売りで書くことは、信念としてできなかったわけだ。田口氏の損失関数に関する提案(予測)の証明には、実際の社会の損失とよい一致を示す事例の蓄積が必要である。

 さて昨日12月度の関西品質工学研究会で、動特性のSN比と損失関数の関係が議論された。SN比とはもともと、βを目標値に調整したときの、誤差分散σ^2という定義である(ここには、誤差分散σ^2がβ^2に比例するという前提が置かれている)。したがって損失関数をSN比から求める際には、その損失はβ調整後のものであり、目標値からのカタヨリ(偏差)による損失は含まれていないことに注意する(逆にカタヨリによる損失を含めたい場合はSN比ではなく、目標値からの誤算分散を求めることになる)、ということが再確認された。なお、ここでのSN比は、無次元であるエネルギー比型SN比ηEの真数を用いる必要がある(田口氏の動特性のSN比では信号の-2乗の次元が残っているため、具合が悪い)。

 研究会で「あと2つほど論点があるが、時間がないのでまた話しましょう」としたことをここで予告しておこう。

 1つ目は、市場での実際の損失(絶対値)を知るためには、SN比計算に用いるデータのノイズ因子の水準は、市場と等価である必要があるということである。これはかなり厳しい要求である。逆にいえば、SN比を相対比較の指標として求めた場合、そこから損失関数を求めてもやはり相対的な数値となってしまい、損失関数の利得にしか意味をもたない(しかも差ではなく、比としての比較しか意味をもたないので使いにくい:1億円が5000万円になるのと、100円が50円になるのとでは大違いだ)。これでは実際の経済(例えば部品精度を向上させるためのコストなど)とリンクすることができない。

 2つ目は、「β調整後」と言っているように、対象となる機能のβは調整可能でなくてはならない。そのためには対象機能は、下名が命名したとことの「制御的機能」でないといけない。ここでも、機能の重要な分類である「エネルギー変換機能」と「制御的機能」の分類が出てくるわけだ。そうとうなベテランの方でも、エネルギー変換機能のβ(効率)を2段階目で自由に調整できるかのように思い込んでおられる方もいるので、要注意である。ぜひ、拙書「これならわかる~」のp.84以降を参照してほしい。エネルギー変換機能のβは、品質工学よりも前の段階(システム選択、機能設計)で、性能の確保として行っておく問題である。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/11/30

京都品質工学研究会で講演(11/22)

京都品質工学研究会での講演を3年連続で行ってまいりました!
著書と同タイトルの「これで分かった!超実践 品質工学」と題して、約30名の方々に聴講していただきました。

やはり普段は、パラメータ設計からの話や、大上段のプロセス改革が多いためか、下名の「まず製品開発や品質改善のフェーズでよいので、品質見える化のために機能性評価を使ってみよう」という一貫した主張が、わかりやすい、やれそうだ、という感想につながったようです。持ち込んだ著書も完売しました。「因子(飲酒)が重要!」という新しいネタも受けましたよ。

毎年11月の京都に呼んでいただけるおかげで、午前は京都散策を楽しむことができました。今年は山科から醍醐までいって、醍醐寺と隋心院の紅葉を堪能しました!

来年もよろしくお願いしますねー。(^_^)

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/11/03

新刊「エネルギー比型SN比」

 11月8日に、日科技連出版社から「エネルギー比型SN比 ― 技術クオリティを見える化する新しい指標」を上梓します。エネルギー比型SN比に関する単行本は、これが世界初となります。

 前著「これでわかった!超実践 品質工学」ではエネルギー比型SN比の考え方の概要と、基本的なデータ形式での計算方法を紹介し、従来型SN比からの優位性を示しました。本書ではエネルギー比型SN比を一から理解できるような丁寧な解説に加えて、さまざまなデータ形式(標示因子がある場合、データ数が不ぞろいの場合、標準SN比、静特性、デジタルのSN比)について計算方法を詳しく解説しています。また例題による数値例を示すことで計算方法をより具体的に理解できるようにしています。

 また、書名にあえて「入門」とは入れず、品質工学研究者向けに、エネルギー比型SN比で議論されている論点を網羅し、「アドバンストノート」や脚注ではかなり専門的な議論も展開しています。コンサルタントの方にもおすすめです。

 すぐに実務でエネルギー比型SN比が用いられるように、本書で紹介したすべてのデータ形式に対応できる、ダウンロード版Excel計算シート(演習問題回答付き)を無償使用できる付録もお付けしました。

 立林和夫先生に下記にようなお勧めの言葉もいただいております。
「従来型SN比の問題点を一挙に解決。これ以上ないというほど、わかりやすく解説されている」



株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/10/15

「標準化と品質管理」誌2016年11月号に記事が掲載

10月15日発売の「標準化と品質管理」誌11月号に、「これでわかった!超実践 品質工学」の小論を寄稿しました。

こちらで「ちら見」できます。
http://www.fujisan.co.jp/library/viewer/1425077/sample

同名の書籍のエッセンスが数ページにまとまっていますので、書籍を買うほどではないがさっと概要をつかみたい方、書籍を買おうかどうか迷っている方、書籍内容を上司や研修担当に手っ取り早く紹介したい方、新人や部下などにまずさっと超実践 品質工学の内容をつかんでもらおうと思っている方、などに活用していただけるのではないかと思います。いきなり直交表!ではない切り口は、べテランの方や、コンサルタントの方にも気づきのある内容になっていると自負しています。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/10/08

標準化と品質管理全国大会2016 終了

 2016年10月6日、7日の2日間で盛大におこなわれました標準化と品質管理全国大会2016 が成功裏に終了しました。話では、1300名もの参加申し込みがあったとのことです。

 下名は2日目の11:30~12:40の品質セッションに参加。「これでわかった! 超実践 品質工学」と題して講演を行いました。350名定員のホールが満員となり、お蔭さまで大盛況でした。講演では、開発設計現場に寄り添った品質工学の進め方の紹介を中心に、機能性評価(開発設計上流での品質の見える化)における機能定義とノイズ因子抽出の重要性を紹介しました。

 ■当日のスライド講演資料は後日、上記大会のHPに掲載される予定です。

 質疑応答はメーカやコンサルティングファームの方から、計3件でした。①ソフトウェアや、ソフトウェアと連携して動くハードウエアの評価方法について、②三菱電機における品質工学の推進方法の工夫について、③自動化できる部分とできない部分の区別と後者の場合の対応方法について、でした。

 セッションの司会は、リコーの細川さんに行っていただきました。おかげ様で大会場でもリラックスして講演を進めることができました。さらに、手島さんやのっぽさんなど、数多くの品質工学関係者の方にもご参席いただきました。あわせて御礼申し上げます。

 講演後は、書籍売り場に出向いて販売支援を・・・と思い講演後すぐに駆け付けたのですが、うれしいことに、下名が到着したときには、著書は完売しており、郵送販売のみになっていました。新聞掲載以来、アマゾンのほうも売り切れとなっている状態で、すぐに読まれたい方には申し訳なかったですが、うれしい悲鳴でもありました。たくさんの聴講者のかたから「わかりやすかった」「当社でも実施していかなくてはならないと感じた」などのご感想をいただき、名刺交換や、今後のおつきあいの話などいろいろと発展がありました。非常に有意義な大会だったと思います。

 最後になりましたが、非常に大きな大会で日本規格協会の方々のご準備は大変なものであったと想像します。理事や役員クラスの方から多数のご挨拶もいただきました。ここに御礼申し上げます。

 今回の講演を聞き逃した方は、11/22(火)の京都品質工学研究会にて今回講演の拡大版(2時間以上)の内容で講演いたしますので、ご興味のある方は下記までお問合せください。

京都品質工学研究会事務局
京都府中小企業技術センター 基盤技術課(山口)

TEL 075-315-8633 FAX 075-315-9497
E-mail qe@mtc.pref.kyoto.lg.jp

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/10/06

品質工学シンポジウムinおおさか 終了

 本日10月6日、エルおおさかで「品質工学シンポジウム in おおさか」が盛大に開催され、成功裏に終了いたしました。・・・いや、まだ懇親会は続いていますね。

 いま、伊丹空港で羽田行きの飛行機を待っているところです。明日7日の「標準化と品質管理全国大会」で講演があるため、後ろ髪を引かれながら上記懇親会を30分で抜け出してきたところです(泣)。

 さてそのシンポジウム。今回はそれぞれに面白いテーマがそろい、質疑応答も時間ぎれ続出で大変盛り上がったのではないかと思います。

 もうすぐ搭乗時刻ですので、個々のテーマのコメントは別便にて。。。



------------------

10/8追記
下記の5事例と出版記念講演が発表された。概要と感想を簡単に示しておく。

招待事例
「むき身カキの鮮度保持技術の開発」 高辻 英之     広島県立総合技術研究所

鮮度低下の速いむき身カキの流通範囲拡大を狙い、カキの鮮度評価技術開発と、鮮度保持設計を実施した事例。個別の研究としてはユニークで評価できる。最後に損失関数による改善効果が示されていたが、カキの冷却や遠隔地までの輸送などのエネルギー損失まで計算に入れておけばより「マクロな視点」の研究になったのではないか。

中部品質工学研究会
「MTシステムへの1提案-APRT法の考え方と手順-」 出島 和宏  ブラザー工業
「APRT法のメリットと適用例」 井上 清和  アイテックインターナショナル

コンサルティングファームを経営されている井上社長から、主成分の分布と特徴に活用した新しいMTシステムの一提案が示された。さまざまな事例で優位性が示されており、解析の1つの選択肢になりそうだ。解析の最終ステップでRT法を用いるために、特徴データ(主成分得点Z/固有値λ)を累積しているが、累積はデータを平均化させる作用があり情報損失につながるのではないかと考える。単位空間のZ/λを信号として素直に動特性で評価したらどうなるのか、興味をひいた。

出版記念講演
 「ロバストネスの最適化による開発期間の短縮とコスト低減」 田口 伸    ASI

新刊「タグチメソッドメソッド入門」によせた講演。さまざまな話が展開されたなかで、下名からは「開発期間の短縮達成のための考え方」の「単に要求を測って要求を満たすのではなく、機能を測って機能の効率とロバストネスを最適化する」の部分について質問した(他の聴講者が少し疑問に思ってるのではないかと思う内容を、先回りしてあえて質問させていただいた)。おおかたの開発設計現場では「単に要求を満たす」のが大変だからである。開発設計期間の大半が、機能設計や性能確保に追われ、開発終盤で発現する不具合に悩んでいるのである。リソースが限られたなかでなかなかパラメータ設計という直交表の実験は行いにくい。これに対してどうすればよいかということである。田口伸氏は「理想論だが」と前置きした回答(省略)であったが、そのうえで下名としてはどうすればよいかを考えていきたいのである。

滋賀品質工学研究会
 「エアーブローの機能性評価」 日指英雄  村田製作所

圧電素子デバイスの金属接着部分の剥離不良を撲滅するために、金属接着部の荷重変異特性の変化の計測で評価時間を大幅に減らした事例。王道の機能性評価のテーマである。少し気になったのは、繰り返し荷重で剥離不良がでたので、ノイズも繰り返し荷重としているが、これでは再発防止にしかならない。接着剤の変更をともなっているので、温度や湿度の影響、新しい接着剤からのアウトガスによる回りの部品に対する影響など、変更点に対して留意しておくべき点はいくつかあったように思う。

京都品質工学研究会
 「経営戦略としての品質工学」 芝野 広志  京都府中小企業特別技術指導員 TM実践塾

MTシステムを用いて、業績を予測したり、また業績をロバストにするための設計を検討した研究。研究テーマじたいが壮大で早々に成果がでるものではないため、研究は緒に就いたところである。後半の設計の部分よりも、まずは前半の予測をできるようにすることが先決であろう。本ブログの投稿にも書いたが、予測精度は少なくとも「前期と同じ」と予測した場合よりもよくなければならない。「前期と同じ」と予測した場合でも、業績の真値と予測値の相関はある程度高くなってしまうのである。「前期とくらべてどれだけ業績が変化するか」を予測するのが正解である。

関西品質工学研究会
「SKYACTIV開発への品質工学の適用」  武重 伸秀  マツダ

HV、EV自動車全盛の時代に、内燃機関エンジンのパフォーマンス向上に品質工学などの管理技術を総動員してSKYAVTIVを開発、上市し、業績をV字回復させた。ポイントは、エンジンが有効な仕事をできるように、4つの低減すべき損失から、7つの開発すべき基本技術にばらしたところ、さらにその技術をシミュレーションで検討できるようにしたところである。これにより技術開発がめざすべき方向が明らかになり、個々の技術を品質工学などで高めることで、高効率なエンジンを達成できた。この成功には、エンジン全体の技術を見渡せる優秀なプロジェクトリーダー(担当役員)の存在も見逃せないだろう。品質工学を活用した、大きな開発の成功事例として、さらに情報の開示を望みたい事例である。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)


2016/10/03

日刊工業新聞に掲載されました

 本日10/3付けの日刊工業新聞の「著者登場」のコーナーで、「これでわかった!超実践 品質工学」の発刊に寄せたインタビューが掲載されました(リンクの電子版で、無料登録すると全文が閲覧できます)。もう少し先の掲載と聞いていたのですが、FacebookでKさんに教えていただき、青天の霹靂でした。



 お蔭さまで本日の、Amazonの売上ランキング(経営工学カテゴリ)で1位をいただきました(瞬間最大風速・・・笑)。



2016/10/01

【告知】品質工学シンポジウム in おおさか 10/6(木)

もう来週になりましたが、再度告知です。
ASIコンサルティンググループの田口伸先生をお呼びして、盛大に開催されます。
伸先生のご講演はもちろん、マツダからSkyactive開発への品質工学適用、中部QE研より新しいRT法の提案など、盛りだくさんの内容です。
ぜひご参加ください。会場でお会いしましょう!
(詳細は下記リンクをクリック)

―田口伸「タグチメソッド入門」出版記念―
主催: 関西品質工学研究会
共催: 中部品質工学研究会 滋賀県品質工学研究会    京都品質工学研究会
後援: 一般財団法人 日本規格協会
         株式会社 日刊工業新聞社大阪支社

日時  2016年10月6日(木) 10:00~17:00
(受付開始 9:30、懇親会 18:00~20:00)
場所 :エル・おおさか 南館ホール
(懇親会はエルおおさか本館10階 宴会場)
〒540-0031 大阪市中央区北浜東3-14     TEL(06)6942-0001
参加費(資料代):一般参加:\5,000 関西品質工学研究会会員:無料
懇親会:一般:\4,000  関西品質工学研究会会員は無料(ただし、法人会員の同行者は\4,000)
                    支払いは当日会場受付にてお願いします
10:00~10:10 開会
10:10~10:55 招待事例 「むき身カキの鮮度保持技術の開発」
                                     高辻 英之     広島県立総合技術研究所
10:55~11:40 中部事例 「MTシステムへの1提案」
                 -APRT法の考え方と手順-「APRT法のメリットと適用例」(中部品質工学研究会)
11:40~12:40       昼 食 ・ 休 憩
12:40~14:10 出版記念講演 「ロバストネスの最適化による開発期間の短縮とコスト低減」
                                      田口 伸    ASI
14:10~14:55 滋賀事例 「エアーブローの機能性評価」日指英雄(株式会社村田製作所)
14:55~15:40 京都事例 「経営戦略としての品質工学」芝野 広志 (京都府中小企業特別技術指導員TM実践塾)
15:40~15:55       休 憩
15:55~16:40 関西事例 「SKYACTIV開発への品質工学の適用」 武重 伸秀    マツダ(株)
16:40~16:55 まとめと講評     関西品質工学研究会顧問  原 和彦

2016/09/27

【告知】標準化と品質管理全国大会2016(10/6~7)

もっかい、告知です。(^_^)
---------------------------------------

 きたる2016年10月6日(木)、7日(金)に、日本規格協会主催で、標準化と品質管理全国大会2016が東京で開催されます。


 10/6(木)はデンソーの深谷相談役、経産省の末松産業技術環境局長の特別講演があります。10/7(金)は「標準」「品質」「安心・安全・環境」「ひとづくり」「審査・監査・レビュー」の5つのセッションに分かれて各4テーマの講演があります。

 下名は、10/7(金)11:30~12:40の「品質」セッションで、著書と同名のタイトル
「これでわかった!超実践 品質工学 
 ~絶対にはずしてはいけない 機能・ノイズ・SN比の急所~」
講演を行います。

講師 鶴田 明三 株式会社ジェダイト代表取締役・技術士

 参加有料(1日間5400円、2日間10800円、賛助会員は割引あり)ですが、研究会、シンポジウム等でお会いしたときに、参加の旨おっしゃっていただければ、無料招待券を差し上げます(手渡しの方限定)。

 興味深い講演内容が盛りだくさんですので、情報収集にぜひおすすめします。会場でお会いしましょう(下名は2日目の10/7(金)のみ参加です)!!


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)


2016/09/22

田口伸先生の出版記念講演@札幌に参加

 9月19日(月祝)の札幌出張にあわせて、20日(火)に開催された、ASIコンサルティンググループの田口伸先生の「タグチメソッド入門出版講演ITEQインターナショナル、北海道品質工学研究会共催@札幌すみれホテル)の聴講に参加しました。

 30名ほどの聴講があり、ドーナツから自動車まえさまざまな事例を交えた、初心者の方にもわかりやすい講演でした。会場からはパラメータ設計の方法に関する質問や、具体的な研究テーマに関する質問が出るなど、活発なディスカッションが展開されました。

 また、ゼロ点比例型SN比の見直しのご提案(いわゆる前田式SN比)で有名な前田誠先生ともお会いしてお話しすることができました。前田さんはもとソニーでブラウン管の設計製造技術の長をされていたということです。下名も時期が重なっていた2000年前後にCRTのキーパーツ(アパーチャグリル)の統計的品質管理から管理技術の世界にはいった経緯があり、当時の話などで盛り上がりました。

 懇親会では、伸先生の小学校時代からの旧友である、北海道大学医学部で皮膚科の世界的権威の清水宏先生もお呼びして、昔話もいろいろと聞かせていただきました。

 引き続き、10月6日(木)に関西品質工学シンポジウムでも1時間半程度の田口伸先生の講演がありますので、関西地区の方々を中心に、多くの参加をお待ちしています。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)



2016/09/11

【今日の言葉140】

仕事を通じて世の中の人々に喜んでもらったときに、自分の存在価値を認められたと感じる。それが「幸せ」なのです。

( 森川 亮「シンプルに考える」)

 筆者は日テレ、SONYを経て、ハンゲームジャパン(LINEの前身)に入社。LINEの開発を経て、昨年3月にLINE株式会社の社長を退任。
 「戦わない」「差別化は行わない」「計画はいらない」「偉い人はいらない」「自分を守らない」など、示唆に富む仕事の流儀を展開し、「ユーザのニーズに応える、という”本質”に全力を集中させる」ことを説く。忘れがちな原点に引き戻してくれる良書だ。

また、本書に下記のようなくだりがある。

 人はしばしば「今あるもの」に影響を受けてします。
  (中略)
 だから僕は常に、この問いかけを大切にしています。
 「そもそも、これは何なのか?」
 ややもすれば、”専門家”がバカにしがちな素朴な問いかけですが、
 この問いかけこそが、僕をものごとの本質に
 立ち返らせてくれるのです。

これはまさに品質工学でいう「機能で考えろ(お客様のほしいものは何か)」ですね。ややもすると専門家(技術屋)は手段をメカニズムを考えてしまいますが、まず要求される機能を正しく把握することが大切です。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/09/10

【今日の言葉139】

見栄や優越感を捨て、今自分が持っているものの中から必要ないものをバサッと捨ててみる。何かを捨てた分だけ、どこかで突き抜けることができる。

( 堀江貴文「99%の会社はいらない」)

 自分のやりたいことのために何が必要なのかをよーく考えて、そして行動することが大切なんだと思います。ゴルフはやらない。付き合いだけの懇親会にはいかない(飲み会は大好きです)。ほとんどテレビはみない。いまは自家用車はいらない。高級腕時計はもっといらない。成果にも成長にも楽しさにもつながらない仕事はやらない(「ライス」ワークとして、とっとを終わらせる)。メール・メッセージ類の着信音は鳴らさない。義理で「いいね」しない。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/08/27

近況

 投稿が空きましたが、盆休みとその前後は、忙しくも楽しく過ごしました。

 8/8(月)、9(火)は年1回恒例のJSA福岡支部での、品質工学入門コース。12名の方に参加いただけました。

 つづいての8/10(水)は同じくJSA福岡支部で、品質工学活用の仕方コース。今年度開設したコースで、今回は5名と少人数できめ細かいコンサルティングができたと思います。最初に機能性評価の復習を2時間ほど行い、共通の題材(掃除機)を用いて、機能ブロック図作成、機能定義、特製要因図によるばらつき要因の抽出、その中からノイズ因子の抽出と抽出しなかった因子への対応検討、ノイズ因子の水準決定、ノイズ因子の直交表への割り付けなどを演習を通じて行いました。少人数なので意見や質問も出やすく、和やかなムードで進められました。セミナー後も個別の事例に対するご質問にお答えしました。 

 つかのまの盆休みは、娘の夏休みの宿題(自由課題系)をみたり、12月ごろに出す本のゲラを構成したり、講演の準備をしたりでした。

 8/20(土)は技術士会近畿本部経営工学部会の例会で、「これでわかった!超実践 品質工学」の講演を2時間ほど行いました。技術士の先生、コンサルタントの方々から30分以上におよぶ、さまざまなご質問をいただき、こちらも大変勉強になりました。おかげさまで持参した著書10冊は完売しましたよ。(^_^)

 8/20(日)、21日(月)は月曜に休暇をとって、近場のるり渓温泉へ、一泊二日のグランピング(手ぶらで行けるお手軽なキャンプ)。山の中で天気も良く、特に朝夕はとても涼しかったです。自然の中でBBQをしたり、テントで寝たり、朝のコーヒーを飲んだり、好きなときに温泉に入ったり、ハンモックに揺られて雲を眺めたり、近場とは思えないほどリフレッシュできました。関西の方、ここはおすすめですよ(日生中央、園部よりシャトルバスで30分)。あんまりいい写真がありませんが、雰囲気だけでも伝われば…

 それとこの間、品質工学の関係者の方と4回のみに行ってますね。あすも品質工学(技術士)関係の方のご来客ありです。





2016/08/06

【報告】関西・中部地区合同 品質工学研究会

 8月5日(土)に、京都府中小企業技術センターで、関西(大阪)、京都、滋賀、中部の品質工学研究会が一同に会し、盛大に合同の品質工学研究会が開催されました(50~60人は参加されていたかと)。

 京都QE研より日東精工さんのトルクセンサーの改善事例、滋賀QE研よりSCREENセミコンダクターソリューソンズさんのシミュレーションを使ったエアーブローの最適化設計、中部QE研よりダイセルさんよりMTシステムを活用した半導体プロセス歩留まり改善、関西QE研からは三菱電機より社内教育方法の検討について、それぞれ発表がありました(守秘義務があり、詳細報告できずすみません)。

 いずれもコク十分の内容で、時間いっぱいまで議論が白熱しました。

 さいごは、8グループほどにメンバーが分かれてのグループ検討会で、品質工学に関するいろんな話題を議論して、研究会間の交流を図ることができました。

 研究会のあとはお待ちかねの懇親会。JR京都駅前の居酒屋でひきつづき大いに盛り上がり、さらなる交流を深めることができました。

 次回は10/6(木)に今回と同じ4研究会合同で、田口伸先生をお迎えしての「品質工学シンポジウム」が開催されます(詳細決まりしだい、また告知させていただきます)。ご参加をお待ちしております!お楽しみに!


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/07/24

【今日の言葉138】

士業の存在価値は、「いけると思います」ときっぱり言い切ること。

中途半端に言葉を濁したり、決断から逃げていたのでは、士業がいるメリットがない。

( 子育てママ税理士の原尚美「一生食っていくための士業の営業術」)

名称独占資格の技術士ならなおさら、技術的アドバイスは当然のこととして、お客様の迷いを共有して、最後に背中を一押しする人間力が重要なんですね。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/07/18

「機能」は自分で考えてはいけない

 前の投稿のアンチテーゼで、こちらも「○○してはいけない」としてみました。ただし、禅問答ではなく、ちゃんと説明しますね。

 品質工学に限らず、製品価値やコストパフォーマンスを高めたいとき(VE、価値工学)、お客様のニーズや要求をまとめてそれを技術課題に落とし込みたいとき(QFD、品質機能展開)など、技術や製品に求められる「機能」を考えることが最初の一歩となることが多いですね。

 このような設計や品質にかかわる業務のコンサルティングをするときに、やはり最初に悩むのも、この機能の定義なわけです。えてして、エンジニアはシーズ(技術)やメカニズム(からくり、解決手段)から物事を考えてしまいがちです。なので、「機能は何ですか」と尋ねても、答えに窮してしまうことが多いようです。

 機能とは単純に、「お客様の欲しいもの」と考えてはどうでしょう。蛍光灯や懐中電灯なら「周りと明るく照らしたい(光量を得る)」、コピー機なら「原稿と同じ画像や文字を等倍や拡大縮小で、紙に写し取りたい(原稿画像を転写する)」といった具合です。品質工学では、目的機能という難しい名前がついています。

 品質工学(機能の安定性の評価)では、ここでもう一工夫して、そのような「欲しいもの」を得たり、変化させたりするための「お客様がコントロールできるような入力」をともに考えます。蛍光灯ならワット数に応じて明るさを変えられるので、入力は電力などの電気的エネルギーです。コピー機なら、「原稿と同じ画像が移された紙」という欲しい結果に対して、お客様が入力するのは原稿画像ですね(たまに「コピーボタンを押す」という珍回答もありますが、そもそも原稿がないとほしい画像は得られませんね)。

 こうしてみると、出力は「お客様が欲しいもの」であり、入力も「その出力を得たり変化させたりするためのお客様がコントロールできるもの」なので、実はエンジニアが出る幕はないのですね。つまり、「機能は自分(エンジニア)が考えてはいけない」のです。お客様の声を聴き、時にはそれを先回りして考えることで、達成すべき、作りこむべき機能を定義できるわけです。これは既存製品や既存技術の評価や改善の場合でも同様です。

 こう書くと、機能の定義方法ってとっつきにくいなぁ、と思われるかもしれませんが、ご安心を。エンジニアが技術を評価したり、改善したりするときにちゃんと機能定義ができるように、「これでわかった! 超実践 品質工学」で、基本公式と2つのパターンを丁寧に説明しています。ご参照ください!(^_^)b ビシッ!!


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/07/03

「原因を探してはいけない」の真意は

 7/1(金)~7/2(土)にかけて、関西品質工学研究会の年1回のイベント、合宿研究会が神戸市の「しあわせの村」で開催されました。田口伸先生(ASIコンサルティンググループ)をお招きしての、あいかわらずの大激論でした。さて、初日のグループディスカッションの中で以下のようなご質問が出ました。品質工学ではこのような禅問答のようなことで、初学者の方を遠回りさせてしましますので、ここで解説しておきたいと思います。

質問
「品質工学ではメカニズムは考えない、原因を探さがしてはいけない、というがどういう意味なのでしょうか。私はコンピュータシミュレーションモデルで設計を行っているので、メカニズムがわからなければモデルさえ作れないのですが。」

答え
 まず「メカニズムを考えない」の部分ですが、もちろん、評価や改善のモデルを作ったり、システムの改善のアイデア(制御因子)を考えるときには、メカニズムが分かっていたほうが有利です(まったくの新システムではブラックボックスで進める方法もありますが、メカニズムに何もアテがないことは少ないはずです)。
 メカニズムを考えないのは、品質工学の機能性評価(機能の安定性の評価)において、お客様の立場(信号とノイズ)で評価するときのことです。お客様は製品のメカニズムは知らなくても製品の機能(働き)はほしいわけですから。
 もう1つ、メカニズムの追及という文脈では、平均値が大きくなるか小さくなるかの因果関係を精密に調べることを指しており、これは古典的なQCの統計手法(実験計画法や重回帰分析など)の領域だと言っているのです。科学的な研究の場合はこれが命で、できるだけ誤差やばらつきがないように気をつけて実験するわけです。品質工学ではモデルの精密化を目指すのではなく、逆に絶対値は合わなくても傾向が合う程度の粗いモデルでSN比を使って、相対比較によって安定性の改善ができるとしています(絶対値の合わせこみは後で行います)。
 「原因を探すな」というのも、因果関係の探求をするなと同じ意味です。製品の不具合が起こった原因を、統計手法を用いて調べて分かったとしても、従来はその原因をつぶそうとします(温度ばらつきが原因なら、温度を安定にしようとします)。品質工学ではそうしないと言っているのですね。温度のばらつきはそのままで、製品の機能(働き)のばらつきは小さくするような、そんな設計を目指していきましょうということです。うまくいかなかったモデルをノイズ(ばらつきの要因)別に統計手法で分析することは、原因を知り、安定な設計のアイデアを考えるためにはアリです。
 技術者は改善のアイデアを考えるときはメカニズムを考え、評価するときはお客様の立場でメカニズムを考えずに行うわけですから、一人二役の場合は頭の切り替えが大変ですね(笑)。

 さて、品質工学の言葉の中には、プロパガンダ(気を引くためのフレーズ)としていろんな理解しにくい文言が出てきます(そのような口ぶりで、田口玄一先生のマネをしている人には気を付けましょう。きっと初心者が目を白黒させるのを見て本人は溜飲が下がっているのでしょうから)。

 そのような禅問答の答えを自分なりに考え抜いて気が付くことも楽しいのですが、いまや「寿司を握れるようになれるのに10年」という時代ではありません。私はその時間を新しいシステムや制御因子のアイデア、社内推進の工夫のためのアイデア創出、家族や健康のための時間に使ってほしいと考えます。先人が苦労してつかんだ田口先生の真意(仮説)を、後進の方が同じ年数をかけて理解する必要はないのです。

 今回執筆した「これでわかった! 超実践 品質工学」では、そのような思いがあります。初心者の方は、本書を読んで最速で中級者になって実践してください。そこからまだまだ、考えたり勉強したりすることがありますので。後発の利を最大限に生かしましょう!人生の時間を大切に!


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

【今日の言葉137】

最悪を受け入れる覚悟があれば、大胆に行動できる。

そして、そうやって受け入れておけば、その「最悪の事態」は滅多にやってこないものなのです。
( メンタリストDaiGo「ネガティブな人ほど運がいい!?」)

KSKでないほうのDaiGoさんです。
「運」の正体を知りたい方は、これを読むとなるほどと思いますよ。スピリチュアル系ではありませんので、ご安心?を。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/06/24

QES2016終了

6/23-24に開催された第24回品質工学研究発表大会(QES2016)に参加してきました。
たくさんの品質工学の先生方や仲間にお会いすることができました。夜の懇親会も盛り上がりましたよ。

今回は、ポスターセッションの司会や、発表聴講、地方研究会懇親会などもさることながら、やはり下名の新刊の先行発売がうれしかったですね。初日の大ホールでの来賓あいさつで、日本規格協会の揖斐理事長より、ASIコンサルティンググループの田口伸先生の新刊とともに、下名の本も紹介していただき、サプライズでした。多くの方から「買ったよ」の声をいただきました。ありがとうございます。

田口伸先生の本「タグチメソッド入門」もフライングゲットし、サインもいただきました。こちらもジックリ読んで、また書評が書ければと思います。

今回改めて思ったことは、品質工学はトップランナーの技術開発と、成果の出る実践を含めた普及の両輪の立場があるということ。特に、大企業で推進を行っている下名の立場では、後者を重視することが多い。今回の著作も一人でも多く実践を、との思いで書いたものです。

特設HP(URLは本書に記載)から、本書に関する感想やメッセージを受け付けています。必ず返事を書きますので、ご意見をいただければさいわいです。

さあ、明日は技術士会(近畿本部・経営工学部会)に参加。ここでも新刊をPR予定です!


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/06/13

品質工学研究発表大会(QES2016)6/23-24

 ことしも、6/23(木)、24(金)と品質工学会の品質工学研究発表大会(QES2016)が開催されます。

 下名も発表こそありませんが、2日目の機械分野のポスターセッションの司会を務めたり、地方研究会の懇談会に参加します。

 それと、6/30(木)発売予定の下名の初となる著書「これでわかった! 超実践 品質工学」10%オフで先行販売いたしますので、この機会をお見逃しなく!!
 田口伸先生(ASIコンサルティンググループ)の新刊も同時発売ですので、あわせてよろしくお願いします。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/06/12

【8月福岡開催】品質工学入門セミナーと<新規>活用の仕方コース

 次回の品質工学入門セミナーは8月8日(月)~9日(火)に福岡地区で開催します。こちらも二日とも下名が講師を担当します。また今回の福岡開催ではさらに8月10日(水)にオプションとしてプラス1日の「活用の仕方コース」を新設で開催します。こちらでは、実際に品質工学の実験計画をフォーマットにのっとって作成し、その内容を実践的にコンサルティングします。つまり、講座のおわりには明日から職場で使える実験計画案が仕上がるわけです。ご興味のあるかたは下記をご参照ください。日本のものづくり、がんばっていきましょう!

品質工学入門コース受講者コメント

 さる2016年6月6日~7日に日本規格協会関西支部で、品質工学入門セミナーが開催されました。関西をはじめ神奈川や愛知からも広い範囲から20名もの方々に参加いただき、感謝いたします。

 今回は関西ではひさびさに2日間とも下名一人で講師を受け持ったのですが、2日間ともたくさんの質疑応答を実施することができ、大変内容の濃いディスカッションができたと思います。

 下記、受講者の方々の終了後アンケートからの抜粋です。励みになるコメントを多数いただきました。

・本に載っていない基本的な事からの講義は非常にありがたかったです。ありがとうございました。
・一般教科書より分かりやすくて、ていねい。
・パラメータ設計の概要が分かりやすく理解できました。
・難しく使いづらいイメージがありましたが、かなり応用範囲が広いので使っていくべき内容と感じました。
・理論が難しい印象を持っていましたが、実務に応用できそうだと感じました。
・良品の作り込みだけでなく、業務効率改善にもつながることを知った。
・概念、考え方の説明は非常分かりやすかった。機能性評価、パラメータ設計は実践の重要性も分かりました。質疑応答の時間が充実していたのが良かったです。
・自社におけるノイズ因子の一覧表等のノウハウ蓄積は今回を機に作成していこうと思います。
・今後に生かすことができる内容だった。ノイズ因子の影響の見える化を行っていき、設計段階で不良を防げるようにする。
・理論分野と実践分野がバランスよくまとめられていて、非常に分かりやすかったです。パラメータ設計ツールの配布もうれしいです。
・直交表やパラメータ設計などが大事だと思っていたが、それ以上に大事な機能定義を知った。
・考え方が変わった。パラメータ設計の考え方が間違っていたので、過去に行って実験の見直しを行いたい。
・品質管理との区別がついていなかったのが理解できたので、意識が変わった。

 いっぽう、テキストがカラーのほうが見やすい、休憩がもっとあったほうがよいなどの反省点もいくつかご指摘いただきましたので、今後の改善課題とさせていただきたいと思います。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/06/05

出版予告(日程変更):「これでわかった!超実践 品質工学」

「これでわかった! 超実践 品質工学」6月30日発売。QES2016にて10%オフにて先行発売します!お見逃しなく!




株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

アブダクション思考と品質工学

昨日の関西品質工学研究会で、H社のSさんより「アブダクション思考」の紹介があった。概要を、かん吉さんの「わかった!ブログ」から部分的に引用する。

(引用ここから)
アブダクションとは?
「驚くべき事実Cが観察された。しかし、もし説明仮説Hが真であれば、Cは当然の事柄であろう。よって説明仮説Hが真であると考えるべき理由がある。」
via: これからの思考の教科書

1912年にドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーは『大陸移動説』を発表しました。彼は大学の図書館で世界地図を眺めていて思ったのです。
「アフリカ西岸と、南アメリカ東岸の形はあまりにそっくりだ。昔はいったいだったに違いない。大陸は移動するのだ!」「そう考えれば他の多くの謎も説明が付く!」。
via: われが神だ~仮説的推論(アブダクション)によるジャンプ

同世代の同じ化石が、世界中に点在しているという理由も、昔は世界はひとつの大陸だったという仮説で一発で解決するそうです。ものすごいパワフルな仮説ですよね。

おそらくこれまでの新発見のほとんどが、アブダクションから生まれているはずです。論理的思考からは、大胆な仮説は生まれません。
(引用おわり)

 研究会のSさんいわく、品質工学の機能の実現もアブダクション思考といえるのではないかということであった。つまり、「機能が理想的である(ありたい)」という事実に対して、「機能を設計するためのシステム・制御因子に関する工学的な知識」が前提としてあって、「考えたシステム・制御因子によって、機能が理想に近づく」という仮定を推論する。このプロセスがアブダクションである。

 したがって品質工学のパラメータ設計に入ってる利得の推定や、再現性の確認は、アブダクションではなく、帰納、演繹を用いた「科学的な」仮説検証の方法だと理解した(品質工学扱っている対象は「技術的」だが、その仮説検証方法は「科学的」ということ)。

 品質工学でアブダクション思考が可能となるのはない。またシステム選択や制御因子の考案は品質工学の範疇でもない。品質工学で可能なのは、アブダクション思考を用いた推論による発明・発見を、科学的検証方法によって「効率的」に検証することによって、評価の効率を高めることである。これによって、新しい時間を作り、その節約できた時間をまたアブダクション思考による発明・発見に活用できるようにすることで、技術開発の合理化に貢献するのである。

 なお、アブダクションを行うためにはたくさんの規則・知識を知っており、経験してるほうが有利である。特に大きなブレークスルーを必要としない99%の発明は既存の組み合わせの範囲である。過去の知識をデータベース化して発明・発見を手助けするツールがTRIZ(発明的問題解決理論)である。しかし、ヴェーゲナーや、万有引力のニュートンのような世紀の発明・発見はのこり1%のひらめきや天才的な創造力が必要とされるのであろう。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/05/03

品質工学セミナー入門コース(6/6~7@大阪)

 恒例の、日本規格協会の「品質工学セミナー入門コース」の大阪開催のお知らせです。


初心者のかたにとっては易しく、経験者・上級者のかたにとっては「今さら聞けない!」がたくさん詰まっています。

 今回から、下名が2日間とも担当します。2日目の最後の受講生のみなさんの「やるぞ」「わかってスッキリ」となったお顔を拝見するのを楽しみにしています。

 本セミナーは品質工学の初心者の方だけでなく、経験はあるけど挫折した、あるいはシックリと理解できておらずモヤモヤしている中級者の方、社内で品質工学や設計品質の教育や展開普及を行っているが、いまいち社員に伝え切れていないと感じる推進者・上級者の方にも満足いただける内容と自負しております。

 なぜなら、本品質工学セミナーでは、下名が総合電機メーカで20年間以上、品質工学の研究開発、生産技術開発、マネジメント、社内展開などの業務をとおして試行錯誤した中から得られた、現場目線の発想や説明を中心としているからです。もちろん、ベテランやコンサルタントの方々がお聞きになっても気づきが得られると自負しています。

講師 株式会社ジェダイト 代表取締役 技術士 鶴田明三

◆◆◆他のセミナーにはないオリジナルのコンテンツ(一部)◆◆◆

 ・なぜ品質工学(機能性評価)を用いるのか。
  開発フローがどう変わるのか。
 ・理解や自己発想が困難だった「(基本)機能の定義」が、
  講師オリジナルの「2つのパターン」でスッキリ理解。
  今日からすぐ機能定義ができます。
  また、機能が定義(計測)できない場合の、奥の手も公開。
 ・ノイズ因子(お客様の使用条件)の種類、水準(厳しさ)、
  組み合わせ方の具体的なガイドラインとは?
 ・サンプル1つで機能性評価する方法。
 ・ノイズ因子に対する対策の種類。
  機能性評価(パラメータ設計)だけのものではありません!
 ・デザインレビューに有用な、機能性評価の計画(事前検討)
  のまとめかた。
 ・統計の考え方や、ケースバイケースでの使いかたが
  難解だった「SN比」は、
  簡単なのに正しく評価できる「エネルギー比型SN比」で解決。
 ・手上げ式の質問以外に、アンケート形式での質問にもすべて
  公開で答える対応で、個別内容から応用までしっかり理解して
  帰っていただけます。
 ・すぐ使える実験計画用シート、SN比・パラメータ設計
  (直交表)解析ツールを受講者全員にプレゼント。
 ・テキストには印刷できない、体験談・秘話も聞けるかも・・・

パンフレットも一新しましたので、下記をご覧ください。
8月には福岡でも開催しますので、よろしくお願いします。
(※東京、名古屋、仙台開催の同セミナーは、講師、内容が異なりますのでご注意ください。両方を聞き比べてみるのもよいかもしれません)


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

JUSEパッケージシンポジウムのルポと講演資料

 去る2016年1月26日(火)に、日科技連主催第25回 JUSEパッケージ活用事例シンポジウム」が、東京(代々木、SYDビル)で開催された。公式の参加人数は114名。

 下名からは、「StatWorks/V5(品質工学編)の新機能”エネルギー比型SN比”を用いた設計品質の評価」なるタイトルで講演を行った(前の投稿をご参照)。


 その様子をルポとして、日科技連のHPに掲載いただいているので、ここで紹介する。
https://www.i-juse.co.jp/statistics/jirei/sympo/25/report.html

 また、エネルギー比型SN比について事例をもちいて、まとまった解説を予稿集にて行っている。その資料についても下記から入手可能だ。
https://www.i-juse.co.jp/statistics/xdata/sympo25-tsuruta-document.pdf

エネルギー比型SN比の研究や教育等に活用いただければ幸いである。
(他の講演のルポおよび講演資料も入手可能)




アンナ・カレーニナと機能性評価

 会社は10連休。ここ数日は出ずっぱりだったので、久々にブログへ投稿しますね。

 MTシステムの説明で田口玄一先生が引き合いに出された、トルストイの「アンナ・カレーニナ」の一節。

”幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である。”

 つまり、MTシステムおける正常な空間(単位空間)は均一でそろっているが、異常な空間(信号空間)はその様相がさまざまであるということに対するたとえ話である。

 様相がさまざまであるということは、事前にすべてのパターンを予測することが難しい(というか、不可能に近い)であるということだ。MTシステムでは、こちらの異常な空間のデータベースを作っておくのではなく、事前に予測しやすい、定義しやすい正常な空間のデータベースを作っておいて、その正常な空間からの差で、異常かどうかを定量的に識別しようとした。

 つまり人の体調でたとえると、健全状態(正常)と疾病状態(異常)では前者は均一でばらつきやパターンが少ないため、これを基準として、後者の度合いを計測しようというのだ。(本稿では異常な様相の”種類”の判別については論じない:MTシステムにはその方法も用意されている)

 さて、MTシステムではよく引き合いにだされる上記の話だが、これはハードウェアの品質計測法である機能性評価でも同じだと考えることができる。

 製品が設計・製造・出荷されたのち、機能(お客さまがほしい出力)の変動や、悪い場合は故障などの不具合に見舞われることがある。これは使用段階でさまざまな環境条件や使用条件にさらされる影響からである。これらからの影響が少ないほど、安定で安心して使える製品であることは明らかであるため、製品出荷前までの段階で、これらの影響に対して何らかの対応をしたいわけだ。

 ところが、不具合が発生する原因(外乱)や、それによって引き起こされる製品内部の変化(内乱、故障モード)は、お客さまや仕向け先などによってさまざまで、特に前者の場合はすべてを事前に予測するのは不可能に近い。たいがいは、予測できる範囲の試験や対策をへて、製品を出荷させているのである。

 そこでこう考えてはどうか。製品の(機能の)あるべき姿や理想状態というのは、正常な空間であり、均一で定義しやすい。田口玄一先生が唱えた、ゼロ点比例式もその1つである。そのような、機能のあるべき姿からの変動(ずれやばらつき)が発生するように故意にノイズ因子(誤差因子)を与えて、その変動の大きさを定量化することで、使用段階での製品品質の実力を評価する。これがSN比である。

 このようなアナロジー(類比)で見ていくと、品質工学におけるMTシステム(パターン認識、ソフトウェアの設計)と、機能性評価(ハードウェアの安定性の評価)の根本は同じ考え方であることが見えてくる。

 これを田口先生はいみじくも、「品質工学は計測法」とおっしゃったのである。すなわち、計測法とはものさしの定義であり、それは原点・ゼロ点(正常な空間)の定義と、単位量(1目盛りの大きさ)の定義にほかならないということである。

 以上、下名なりに品質工学が計測法であることの説明を試みたしだいである。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/04/03

國井氏の「品質工学」論

技術者としての見識を広げるためにいろいろ本を読んでいる。その中で、技術士であり、設計コンサルタントの國井良昌氏の「ついてきなぁ!」シリーズに以下のような一節があったので紹介する。ただしこのシリーズは中小企業向けに書かれたものであることを、まえがきなどで断っているものである。

(引用ここから:品質工学以外の引用部は省略)

品質工学の賢い導入方法

(品質工学などは)どれも価値ある有効な手法ですが、とくに日本の大企業では「品質工学オタク」がが出現しています。「すべては品質工学」「品質工学を中心に地球がまわる」「すべての商品開発には、品質工学が不可欠」などと説き、企業の開発部門や生産現場や、若手技術者を混乱させています。

彼らの共通点は実直なこと。実直ゆえに、それしか見えなくなってしまうのかもしれません。その結果、彼らが推進する各手法は、その企業ではほとんど普及せず、また役に立っていません。(中略)

その反面、すばらしい企業も存在します。オタクではなく、現場や若手技術者とのヒヤリングを繰り返し、「管理者の、管理者による、管理者のための品質工学」ではなく、「技術者の、技術者による、技術者のための品質工学」のための指導者がいる企業では大きく躍進していました。

各企業においては、様々な手法の指導者は「オタク」にならないような適任者を指名することが、最大のキーポイントです。

(引用おわり)

まったく、その通りだと思いますね。
品質工学の適用ありきの議論にならないように注意する必要があります。

しかし、、、同書の以下の発言には首肯しがたいものがあります。技術士として、あまり誤解のないような表現をお願いしたいですね。

(引用ここから)
品質工学は、「なんでもあり!」や、客が望まない「多機能化」の商品開発を是正してくれる開発手法である。

(中略)

今や、品質工学はエクセルやワードやその他アプリケーションと同様に、ソフトウェアの操作方法を理解するだけのことです。

(引用おわり)

本当にその理解でいいの?と心配してしまいますが。。。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/03/13

【今日の言葉136】

リスクを取った限りは、中途半端にせず、結果がでるまでやりきること。

(ファーストリテイリングCEO 柳井正氏)

「この場合、最も犯してはいけない誤りは、『新しいことをやるリスクを取って、目の前の利益を捨てておきながら、やると決めた新しいことを中途半端に進めて、結局その新しいことを実現できなかった』ということです。
 これだと短期利益も、途中のコストも、そして未来の利益も、全部失うことないなります。」

やるなら結果が出るまで!


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

【今日の言葉135】

「やる」と「やらない」のどちらが自分の見たい風景を映し出してくれるかということです。

(ファーストリテイリングCEO 柳井正氏)

「目の前の利益」という尺度だけではな見えない、「長期的な利益」という尺度でみると、違う風景が見えてきます。あなたが見たいのはどちらの風景でしょうか。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/03/12

【今日の言葉134】

今自分にできること。頑張ればできそうなこと。そういうことを積み重ねていかないと、遠くの目標は近づいてこない。

(メジャーリーガー イチロー選手)

小さな成功を絶え間なく積み重ねていくことで、最初はできそうもないと思っていた理想にいつのまにか近づいてくるということ。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/03/08

芝野氏のTM実践塾

もとコニカミノルタ、もと関西品質工学研究会会長の芝野広志氏が、「TM実践会」を立ち上げられ、下記にHPを開設したとのことだ。

TM実践塾HP
http://tm-zissenn.jimdo.com/

内容は、品質工学(TM)をやさしく解説する<品質工学ってなんやねん> 、成果に繋がるTMの使い方や手法を紹介する<仕事に役立つTM豆知識> 、エピソードを交えて田口先生のご指導内容から印象的で有用な事柄を抜粋する<田口玄一先生指導録> など、興味深いコンテンツが掲載されている。

今後もコンテンツが増えていくと思うので、ときどきチェックしたいサイトである。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)



時系列予測の精度評価の注意点

売上や株価、為替レートなど動きがランダムウオーク(酔歩)的な対象の時系列予測がMTシステムで行われている。

MTシステムでは予測精度の評価をSN比で行うが、この際にミスリードにならないように、下記の点に注意する必要がある。

一例して、期間内の平均株価が2000円で、1日の株価の変動(前日との差)が平均100円の銘柄があったとする。今、MTシステムを活用して、ある予測法を開発したとしよう。このとき、明日の株価(終値でもなんでもよい)を前日までのデータを用いて予測するとする。明日の株価の予測値をY'、実際の明日の株価がYであったとする。このような予測をたとえば50日続けて、開発した予測法の精度をSN比で評価したとしよう。

はたして、この例でSN比が24db程度、寄与率R^2=0.558(Yの予測誤差が約5%、下図例)出た場合、これで喜んでよいかどうか、という問題である。

実はこれは全くだめである。5%の誤差ならかなりうまく行っているように思えるかもしれないが、平均株価2000円、前日との差が100円ということは、「明日の株価は、前日の株価と同じ」という最も単純な予測でも、対前日との誤差は平均5%(100÷2000)に収まるのである。したがって、「予想できた」というためには、もっともっと精度(SN比)が高くなる必要がある。

ではどのように評価すればよいのだろうか。結論から言えば、「明日と前日(本日)の株価の差Δy」が予測できれば、その予測法は成功ということになる。本日の株価(例:2000円)に対して、120円上がるのか、90円下がるのか、それを知りたいわけである。したがって、予測した株価の前日差Δy'と、実際の株価の前日差Δyの相関をとって、そのSN比を評価すればよいということである(相関係数でももちろん良い)。前記の最も単純な予測でなくても、23db(誤差5%)程度の予測では、ほとんどΔyの予測ができていないことになる。

「精度のよい予測法ができた!」とぬか喜びしないためにも、以上注意しておきたいことだ。




株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

生産技術の機能性評価

溶接や接着などの接合技術、切削や穴あけなどの加工技術、成形や鋳造などの造形技術はいずれも生産技術と呼ばれるもので、ものづくりの基本となる技術である。

品質工学でもこれらの生産技術を対象とした機能性の評価や安定性の設計が実施されている。
生産技術の機能性評価、あるいはパラメータ設計の場合、評価対象が2種類あることを押えておくと、考えが整理できる。

1つは、(1)生産プロセスを対象とした評価、もう1つは、(2)生産したモノ自身を対象とした評価である。

溶接技術を取り上げた場合の機能を考える。(1)の場合の対象機能は、溶接機の機能である。溶接機のエネルギーの流れがスムーズで安定しているかどうかである。電力を効率よく接合部での熱に変換して、溶融(+冷却)させる機能である。(2)の場合は溶接した接合体自身の機能である。接合体に構造的な強度が求められるのであれば、荷重-変位特性や、保形性のような機能の安定性を評価することになる。

ノイズ因子(誤差因子)も変わってくる。(1)の場合、製造工程内のばらつきがノイズ因子となる。すなわち人・設備・材料・方法の4Mなどのばらつきである。いつも同じように作れるかどうかの評価である。(2)の場合、その接合体が製品に組み込まれて使用されるときの要因がノイズ因子である。使用条件や環境条件の外乱が中心となる。これはいつでも、どんな条件でも同じように使えるかの評価である。

これらの2つの評価は立場も異なる。(1)の評価は主に溶接機メーカの仕事であり、そのための装置の設計や改善に関係する。(2)の評価は溶接機を使用してモノを作る立場の仕事であり、要求(強度、剛性など)されたモノの設計や改善に関係する。

社内外で設計や開発のコンサルするときは、これらをまとめて下表のように説明している。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/02/21

【今日の言葉133】

安定志向の方がよほど「現実を直視していない」
 
「「会社を危険にさらしたくない」という志向性、この志向性のほうが「会社を危険にさらす可能性が高い」ということです。(中略)挑戦すべきことには、リスクを恐れずに挑戦する。突っ込んでいかなければならない時には、思い切って挑戦する。」

(株式会社ファーストリテイリングCEO 柳井正氏)

挑戦すべきことは挑戦する!1年にしたいと思います。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/02/05

開催報告:第25回 JUSEパッケージ活用事例シンポジウム

去る2016年1月26日(火)に第25回 JUSEパッケージ活用事例シンポジウム」が、東京(代々木、SYDビル)で開催された。

JUSEパッケージの30周年ということで、久米均先生らの基調講演あり、事例あり、また参加者にノベルティのプレゼントありで定員100名大入りの大盛況。

下名からは告知のとおり、StatWorks/V5(品質工学編)(R)に搭載された、エネルギー比型SN比のメリットや使いどころを紹介。
(後日、上記リンクに予稿論文が掲載される予定)

論文ではあとでロジックがきっちり追えるように数式を多用した書きぶりだったが、スライドでは考え方を図示して説明。そういえば、午前の久米先生の講演で「数式を図で表せるようにならないと、本当に理解したことにならない」といったことをお話されていた。

聴講者の方々の反応も良好。2つご質問を受けたので紹介する。

Q1. エネルギー比型SN比はSβとSNの分解だけで非常に分かりやすいと思うが、SNをさらにSN×βとSeに分けて分析してみたい場合もあるのではないか。
A1. 品質工学における機能性の評価や比較という目的では、有害成分のさらなる分解は必要ない。しかし、評価ではなく分析が目的の場合は分解することもあり得る。

Q2. エネルギー比型SN比は非常によいと思ったが、結局、田口先生のSN比とエネルギー比型SN比のどちらを使えばよいのか。
A2. エネルギー比型SN比を発表して7~8年になり、いろんな方とも議論してきたが、エネルギー比型SN比でまずい事例というのを聞いたことがない。SN比の役割としてエネルギー比型SN比ですべて包含されていると考えている。ただし、過去の書籍内の数式のトレースや演習問題の答え合わせをしたい場合は、田口先生のSN比を使うケースはあるだろうと思う。

終了後に、不動産鑑定士のYさん、日科技研のTさんと打ち上げ会。ごちそうさまでした。

エネルギー比型SN比についても、まとめる時期にきている。




2016/01/10

品質の分類(狩野モデル)その4

(つづき)

 さいごに、グラフの一番下に示した、③の曲線です。お客様はカタログに記載のとおりの「性能」を期待していますので、新品の段階や、あるいは使用しているうちに性能が低下してきたり、故障して性能や機能が維持できなくなったりすると、クレームになります。

 100円ショップの商品や使い捨てを想定した製品は別として、通常私たちが製品を使う際は、期待した年数(たとえば家電製品なら10年くらい)は新品の時に備わっていた性能は維持してほしいと考えます。蛍光灯やランプであれば明るさは変わらないでほしいし(実際は暗くなります)、パソコンの処理速度は変わらないでほしい(実際はメモリへのアクセスなどが遅くなります)と考えます。

 また劣化の問題だけでなく、使い方の違いによって性能が変化してほしくないとも考えます。たとえば、自動車のブレーキは晴れの日の乾いた路面でも、雨の日の濡れた路面でも同じように効いてほしいのです(実際は異なります)。

 このように、「新品と同じ性能を維持する」「どのような条件でも同じ性能を発揮する」というのは、言われてみればその通り=「あたりまえ」と感じます。

 このような品質のことを「あたりまえ品質」と言います(そのままですが、このネーミングはわかりやすいですね!)。変化しない、故障しないで機能するのがあたりまえなのですから、充足度が上がっても(グラフの右側にいくほど故障が少ない)、満足度が0以上になることはありません。逆にそれが達成できなかったとき(グラフの左側)に満足度は大きくマイナスに振れます。

 その意味では、マイナスしかない品質です。このような種類の品質は、魅力的品質とは逆で、誰もが欲しくないと考えている品質です(お客様によって感じ方の程度は異なります)。不具合や変化・変動は0が望ましいので、マーケティングや企画は関係なく、純粋に技術的な問題として取り扱います。

 「信頼性」や「耐久性」や「安定性」に関係する品質です。設計・開発段階での検討がまずいと、このような「あたりまえ品質」が悪い製品が出荷されて、お客様に迷惑をかけることになります。

 以上3種類の品質について説明しましたが、実は品質工学(本書の機能性評価はその大切な一部です)で扱う品質というのは、主に「あたりまえ品質」の部分です。もちろん、性能抜きにしては製品や技術の評価はありえませんので、「一元的品質」も関係しますが、性能の確保は、品質工学の評価や改善の直接の対象ではないのです。「一元的品質」は、品質工学を適用する前の、機能設計と言われる段階で事前に確保しておくべきことです(要するに、ふつうの条件でちゃんと動くものを作る段階)。

 品質工学で扱う「あたりまえ品質」は、そのような「ちゃんと動く」状態が、使用による劣化や使用条件によって左右されないかどうかを扱うので、技術の仕上げのための品質と言ってもよいかもしれません。

「魅力的品質」は品質工学では扱いません。これを「品種」の問題と言っています。

品質の分類(狩野モデル)その3

(つづき)

 つぎに、グラフの真ん中に示した、②の直線です。これは「一元的品質」と呼ばれていますが、あまりにもなじみがない言葉でしょう。これは性能を中心とした特性や、ランニングコスト、重量・大きさなど、満たされる度合いによって満足するものと考えてよいでしょう。

 みなさんパソコンを購入するときに、何に着目して選びますか。機能や性能、すなわち、CPUの処理速度、メモリやハードディスクの容量、ディスプレイの大きさ、重量、通信機能の種類、重量、OSやソフトウェアの種類、そして価格と相談といったところでしょうか。

 その場合に、カタログ(仕様表)でこれらを機種比較して、価格が見合えば購入します。予算が決まっているので、すべて最高スペックというわけにはいかず、またその必要もないので、用途やその人が重点をおく項目(速度や容量や重量やソフトウェアの種類や有無など)によって強弱をつけるでしょう。

 これらの性能を中心とした一元的品質は、あらかじめカタログの仕様書などで明示されており、価格との比較で選択できるものです。この場合、横軸の充足度(性能の高さ)と満足度の関係はどうなるでしょうか。

 性能が高いものはそれに見合う価格がついており、お客様はそれに納得して購入しています。ですので、魅力的品質のように満足度が大きく上昇することもありません。逆に性能が低い場合はそれで十分と考えて、価格の安いものを納得して選択した結果であり、性能が低いからと言ってクレームにはなりません。

 一元的品質に関する満足度のグラフは少し右肩上がりになります。この一元的品質は、競合他社としのぎを削る技術的な問題であり、またどれくらいのレベルが求められるのかといった、マーケティングや企画の問題も含んでいます。

(つづく)


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

品質の分類(狩野モデル)その2

(つづき)

 このようなことをうまく説明したのが「狩野(かのう)モデル」という、下図のグラフです。魅力的品質は①の一番上の曲線です。グラフの横軸は企画や設計がどれくらい達成できているか、物理的に満たされているかの度合(充足度)です。「魅力的品質」では右にいくほどデザインや使い勝手がよくなるということです。

 縦軸はお客様の満足度です。魅力的品質が少ない簡素なデザインや最低限の機能しかない製品でも、きちんとカタログや仕様書通りに機能してくれればクレームになることはありません。つまりグラフでは横軸で左にいっても、満足度は0付近までで下げ止まり、マイナスはなりません。

 その一方で、魅力的品質を高めた製品は、人々を魅了し、非常に高価な対価を払ってでもそれを愛用したいというお客様も現れます。現在では1000円も出せば(100円ショップでも売っていますが)、正確に時を刻む(つまり、時計としての働きが正常な)腕時計が買えますが、世の中には100万円や1000万円の腕時計の市場もあるわけです。これを可能にしているのが魅力的品質です。繰り返しになりますが、好みの問題で、あまり技術とは関係ありません(技術者は薄給なので高級品とは関係ない、という意味ではないですよ!)。

(つづく)



品質の分類(狩野モデル)その1

 1/9(土)に今年の第1回の関西品質工学研究会が開催された。午前中は総会で予算やスケジュールや新幹事などが承認された。午後は、原和彦顧問の新春特別講演、アングルトライ(MTシステムのコンサルティング)の手島さんの招待講演ありと充実のプログラムであった。また、田口玄一先生の論説の輪読では「品種と品質」についての議論となった。

 品質と品種については「狩野(かのう)モデル」で理解するとわかりやすいので、下記に解説する(現在執筆中の書き物より抜粋)。やや長いので投稿を分ける。

----

 携帯ミュージックプレイヤーやタブレットコンピュータ、携帯電話などで、必ずA社の製品を選ぶというファンが一定数いますね。その製品のデザイン(外観)、お客様ビリティ(使いやすさ)、持った時の感覚、A社の製品に対する考え方…等々に魅力を感じて、多少他の部分――価格が高いことや、一部の機能がついてないこと、あるいは耐久性が弱いことなど――は目をつむってもA社の製品のお客様であることに満足を覚えるのでしょう。あるいはそのような自分に満足を覚える人もいるでしょう。高級車やバッグでも特定のブランドのファンである人がいますが、これも似たような感覚なのかもしれません。

 このような意味での品質を「魅力的品質」と言います。魅力的品質は、好みは百人百様であり、これが正解と呼べるものありません。これは、どんな製品を企画して市場に投入するか、どんなイメージ戦略で売るのか、高級感を出した方がよいのか、デザイン、風合い、使い勝手などの差別化は…といったことがポイントとなる品質です。

 どちらかというと、マーケティング部門や製品企画部門に関係がある内容で、設計・開発の方には「あまり関係ないな」と感じる分野かもしれません。魅力的品質の1つの特徴は、それを洗練、高度化させることで、大きくお客様の満足度を上げてられることにあります。

(つづく)


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

2016/01/01

【今日の言葉132】謹賀新年

40代は、夢を忘れてしまいがちな10年です。
 
「自分の子供のこと、家庭のこと、経済状況、そして、親や周囲のことで、やることがいっぱいです。(略)人生には、2種類しか進む方向がありません。ゆっくりと死ぬほうに向かっていくのか、それとも命を燃やしていくのかか、この2つに大きく方向は分かれています。」

(経営コンサルタント 本田健氏「40代にしておきたい17のこと」)

明けましておめでとうございます。
皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

昨年もいろんなことが達成できた一年でした。
まずは自身と家族の健康。
体重も61~62kgをキープ。尿酸が(なぜか)正常値に。
会社では研究所の信頼性関係のマネジャー。
グループ員も個々に成長を遂げてくれました。
また春には南九州、夏には青森と北海道に家族を連れて行くことができました。
良い季節には、足しげく山歩きやハイキングにも行って、健康そのものでした。
また北海道関係の仕事もあり、5回出張にいくことができ、
新しいプロジェクトを立ち上げることができました。
5月には日刊工業新聞さんの取材を受け、下名考案の手法が大きく紹介されました。
社外講演やセミナーも順調に実施でき、新しい方ともたくさん出会えました。

昨年は昨年。さて今年ですが、1つの目標として出版を計画しています。
詳細は今後明らかにしていきますので、少々おまちを。
現在鋭意執筆中です。1月が追い込みになります。
それとヘルスケアの目標としては、腹筋を鍛えます。

今年も次のステップに向けて、健康も増進しつつ
楽しんでいきたいと思います。

今年もよろしくお願いします。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)