前の投稿のアンチテーゼで、こちらも「○○してはいけない」としてみました。ただし、禅問答ではなく、ちゃんと説明しますね。
品質工学に限らず、製品価値やコストパフォーマンスを高めたいとき(VE、価値工学)、お客様のニーズや要求をまとめてそれを技術課題に落とし込みたいとき(QFD、品質機能展開)など、技術や製品に求められる「機能」を考えることが最初の一歩となることが多いですね。
このような設計や品質にかかわる業務のコンサルティングをするときに、やはり最初に悩むのも、この機能の定義なわけです。えてして、エンジニアはシーズ(技術)やメカニズム(からくり、解決手段)から物事を考えてしまいがちです。なので、「機能は何ですか」と尋ねても、答えに窮してしまうことが多いようです。
機能とは単純に、「お客様の欲しいもの」と考えてはどうでしょう。蛍光灯や懐中電灯なら「周りと明るく照らしたい(光量を得る)」、コピー機なら「原稿と同じ画像や文字を等倍や拡大縮小で、紙に写し取りたい(原稿画像を転写する)」といった具合です。品質工学では、目的機能という難しい名前がついています。
品質工学(機能の安定性の評価)では、ここでもう一工夫して、そのような「欲しいもの」を得たり、変化させたりするための「お客様がコントロールできるような入力」をともに考えます。蛍光灯ならワット数に応じて明るさを変えられるので、入力は電力などの電気的エネルギーです。コピー機なら、「原稿と同じ画像が移された紙」という欲しい結果に対して、お客様が入力するのは原稿画像ですね(たまに「コピーボタンを押す」という珍回答もありますが、そもそも原稿がないとほしい画像は得られませんね)。
こうしてみると、出力は「お客様が欲しいもの」であり、入力も「その出力を得たり変化させたりするためのお客様がコントロールできるもの」なので、実はエンジニアが出る幕はないのですね。つまり、「機能は自分(エンジニア)が考えてはいけない」のです。お客様の声を聴き、時にはそれを先回りして考えることで、達成すべき、作りこむべき機能を定義できるわけです。これは既存製品や既存技術の評価や改善の場合でも同様です。
こう書くと、機能の定義方法ってとっつきにくいなぁ、と思われるかもしれませんが、ご安心を。エンジニアが技術を評価したり、改善したりするときにちゃんと機能定義ができるように、「これでわかった! 超実践 品質工学」で、基本公式と2つのパターンを丁寧に説明しています。ご参照ください!(^_^)b ビシッ!!
株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)
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