2023/10/31

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」④

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」④

 4.3 機能の定義方法

 機能とは対象に備わっている働きや,お客様のニーズと考えればよい.そして,それを引き出すための入力が何かを考えてみればよい.例えば電球の場合,お客様のニーズは明るさである.この明るさを自由に変えたい場合,お客様は入力の供給電力を変化させる.このような入力と出力を考える. 

 つぎに入出力の関係が,どうなっていれば理想的かを考える.この理想状態はバーチャルなもので,実製品で実現させる目標とは異なる.電球の場合,入力(電力)と出力(明るさ)の関係は,ロスがなく効率100%というのが理想である(図2).すなわち入力と出力は単位が同じなら傾き1の比例直線になる.このような入出力の関係と,その理想状態を定義することを機能定義という.

図2 電球(照明)の機能定義

 機能はお客様が欲しい状態を示すので,機能を理想状態に近づけて,ばらつきや変動も小さくするような設計にすることが,お客様のニーズを満たすことにつながり,ひいてはクレームや手戻りなどのロスを減らすことになる.
 具体的に業務で機能を表現する場合には,以下の文章に当てはめて考えるとよい. 

   [①対象:    ]の機能は,
    お客様が意図した[②入力:   ]に応じて,
     お客様が欲しい[③出力:   ]を得る.

 お客様が欲しい出力を得るためには,お客様は何か行動を起こす必要がある.車のステアリングを回さなければ車は曲がって行かないし,コピー機には原稿画像の情報を与えないと所望の画像出力が得らない.そのような,お客様の欲しい出力を得られる,また変えられるような,お客様の使用条件を入力とする.これを信号ともいう.入力は設計者が決める設計パラメータ(制御因子)と混同しないことが大切である.まとめると図3にようになる. 


図3 機能定義の考え方

 機能定義についてのさらに有用なコツとして,二つの機能のパターン(エネルギー変換機能と制御的機能)について著書〔1〕(pp.81-106)で解説した.また実務では製品の一部分(サブシステム)を選択して評価や設計を実施することも多い.そのような方法(機能ブロック図,スコーピング)についても著書〔1〕(pp.111-117)で説明した.

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本記事の全文は下記よりダウンロードしていただけます。

超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」(6ページ)

(日本経営工学会の了承済)。

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2023/10/29

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」③

 「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」③

4. 機能性評価(機能の安定性評価)

4.1    「より早く,より速く」品質の評価を

対象(製品,部品,工程)に備わっている働きを機能といい,機能の安定性のことを機能性という.機能性評価とは,製品がお客様の手に渡って使用される段階で,機能がどの程度ばらつき・変化なく発揮できるかの実力,すなわち未来の品質を評価(予測)する方法をいう.

照明器具であればその明るさが,どのような使用条件,使用環境でも新品と同じようにいつまでも維持される,というのが望ましい性質である.このような使用段階での実力を,「より早く」(設計・開発の初期の段階で),「より速く」(短期間で)見える化したい.そして設計に弱点があれば,設計変更の自由度が高く,試作規模や手戻りが小さい段階で修正しておきたい.このように「短時間での実力の見える化⇔設計改善」の小さいサイクルを繰り返すことで,自信がもてる設計に近づけていくのが,目指すべき設計・開発プロセスである(図1参照).機能性評価でなぜ短時間の評価が可能になるのかについては,著書〔1〕(pp.47-51)に詳説した.

4.2    機能性評価の手順

機能性評価を行う段階では,「何を作るべきか(企画の問題)」,「それをどう実現すべきか(システム選択・機能設計の問題)」,「評価サンプル(またはシミュレーションモデル)の準備」は完了しているものとする.以下に機能性評価の概略手順を示す.

対象(製品,部品,工程)の働きである機能を入力と出力の関係で表現する.

その機能の入出力関係が,製品使用段階で変動する,ばらつくような要因(ばらつき要因)を多数検討して取り上げる.

ばらつき要因の中から重要な要因としてノイズ因子(誤差因子)を選択して,その条件の水準(厳しさ)と組合せを決める.

組み合わせたノイズ因子の条件のもとで,対象の機能がどれくらい変動するのかを観察してSN比で定量化する. 

ノイズ因子に対する弱みがあれば対策を講じて,設計を改善する(必要に応じてパラメータ設計すなわち直交表を用いた機能の安定性設計も適用する).


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2023/10/28

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」②

 3. 従来の品質検証方法の問題点

設計した製品や購入部品の品質が確保されているかを調べたるために従来,信頼性試験を実施してきた.しかし,設計・開発の初期段階で未来の品質をチェックするための方法としては,以下のような問題点を抱えている.

(1)複雑さの壁(品質面の問題)

信頼性試験で合格して,出荷前の検査も合格したはずの製品が,期待に反して短い使用期間で故障したり性能が低下したりする.これは,信頼性試験では実際の複雑な環境や使用条件を模擬できていないからである.使用段階の条件に合うような複雑な条件で製品の品質の実力を調べる必要がある.

(2)数の壁(コスト面・先行性の問題)

信頼性試験では,統計学を援用するため多数のサンプルを必要とする.これは試作・評価コスト面だけでなく,設計・開発の初期段階ではサンプル数を多く準備できないという面でも問題である.

(3)時間の壁(開発期間面の問題)

故障率や平均寿命を定量化するためには,故障するまでの試験(数100~数1000時間)を実施する必要がある.設計改善や修正を速く行って短時間に品質を確保したいという要望に対して,時間のかかる試験を繰り返すことは難しい.このことから,短時間に品質をチェックする方法が必要である.

このような3つの問題を克服できる評価方法として,機能性評価(機能の安定性評価)がある.

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2023/10/27

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」①

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」①

1. はじめに*

 品質工学やオペレーティングリサーチ,トヨタ生産システムなどのさまざまな経営工学技術は,仕事の効率化,品質向上を図るうえで非常に有用である.あらゆるムダを減らすことで技術者らの価値創出のための時間を作り出し,また創造性を発揮する手助けすることが経営工学技術の役割である.本稿では特に品質工学に焦点を絞り,著書「これでわかった!超実践品質工学」〔1〕で体系化した実践方法の一部を紹介する.また,とかく難しいと言われている品質工学の実践・推進の問題点について明らかにし,その解決のポイントを示す.

2. 品質の見える化の必要性

 以下は企画段階に関係する価値の問題ではなく,市場クレームや開発手戻りなどの損失(ムダや生産性悪化)に関係する品質の問題を取り扱う.すなわち性能の低下や故障などに関わる,機能のばらつきや信頼性の問題である.製品の市場クレームの大半は設計・開発責任(購入部品の選定を含む)という統計がある.このことは,出荷時に良品であったはずの製品が,使用段階の発生させる問題は,設計・開発段階で対処しておく必要があることを示している.しかし,製造段階の品質問題に比べると,使用段階で発生する問題のほうが見つけにくく,またその原因を事前に想定して,対策することは一般に困難である.

また,設計・開発段階で不具合を見つけ出せた場合の対策コスト(図面修正等)に比べると,量産開始後(金型修正,製法変更)や市場出荷後(クレーム処理,リコール)ではより甚大な対策コストがかかる .これらのことから,品質への対応はできるだけ早い段階で行っておきたい.そこで設計・開発の初期段階で,使用段階における”未来の品質”の見える化が重要となる(図1右上).

このための方法論として,品質工学の「機能性評価(機能の安定性評価)」がある.


図1 めざすべき設計・開発プロセス

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超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」(6ページ)

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2023/10/26

設計品質リーダーたちの気づきや心構えに関する生の声②

    設計品質リーダー育成コースにご参加いただいた塾生からの声をご紹介いたします。いずれも経営幹部様への成果報告会で本人の口から報告された、気づきやリーダとしての心構えに関する生の声です。受講生の成長や熱気を感じてください!

☑金額等の定量的な数値で問題点を明らかにする事で、問題の重要性・緊急性を関係者に共有しやすい。

☑困難なテーマほどリーダーが行動し、周りの協力を得ながら推進する。

☑品質工学の手順で結果を出すだけでなく、得られた情報を元にどう改善すべきかを考察する重要性を学んだ。

☑コース参加メンバーで議論することにより異なる視点からの意見や他事業部での活動情報を得ることができる。

☑「提言書」としてまとめることで、改善活動の価値を自身で客観的に把握するとともに、上位者に簡潔に提案することができる。

☑品質工学の手順で結果を出すだけでなく、得られた情報を元にどう改善すべきかを考察する重要性を学んだ。

☑提言書は一定の雛形を用いて短時間で業務改善提案が可能なツールである。これを活用を推進することで、業務改善の面白さを実践しながら伝えていきたいと思う。

☑事実に基づく分析や、相手にわかりやすいデータの見せ方による説得力の大切さを学んだ。

☑仕組み一つでも設計者が、つい手を抜きがちなところを早めに指摘してもらえる効果がある。

☑上市後、如何に設計変更せずに済ませられるか、との視点が利益に繋がる。

☑課題を見過ごしたり、先送りにしていた。「変わらねば」との意識が強くなった。

☑これまで経験則や想像で手当たりに設計し、試作→評価→手戻り・再設計といった非効率的な設計・評価手法を改めることができると感じた。

☑効果金額の規模感を事前に知ることで、限られたリソースで会社の利益に貢献できる。

☑はじめは難しいイメージだったが、先生の説明で仕組みが理解でき、さらに実践で開発効率化に有益なツールであることが「発見」できた。

☑開発設計にとどまらず、QFD等の手法を営業や事業企画部門と共有して活用していく。

オンラインセミナー、コンサル等、お気軽にお問い合わせください。

2023/10/24

設計品質リーダーたちの気づきや心構えに関する生の声①

  設計品質リーダー育成コースにご参加いただいた塾生からの声をご紹介いたします。

いずれも経営幹部様への成果報告会で本人の口から報告された、気づきやリーダとしての心構えに関する生の声です。受講生の成長や熱気を感じてください!

☑社内の様々な人に接することで当社内の業務を知るきっかけとなり視野が広がった。その中で、様々な部署の仕事の進め方が今後の自分の業務改善に つながることがわかった。

☑期間や費用等、明確なビジョン・目標を開発初期より持ち、それらを部下としっかりと伝えて共有することで、生産性の高い組織をつくることができると感じた。

☑不良損失を未然防止することで、会社の利益に貢献できること、コストに対する意識を今まで以上に持つようになった。

☑実際に効果試算の数値が出てくると、ふだん意識していない程の効果があり、当コースで実践した提言/改善活動の有用性を改めて感じた。

☑お客様のための品質であることを再確認した。また、自分の取り組みで大きな金額を動かせることが分かった。

☑リーダーとして“この人が言っているなら大丈夫” と思われる技術者となるべく、現状に満足せず、期待の一歩先に進んでいく。

☑まだ”ばらつき”に対する考え方が弱い。ばらつきを考慮した設計、製造ができるように、知見や考え方の定着を牽引する人材になる。

☑改めて世の中とのギャップに気づいた。現状分析により理想との差、講師出身企業などとの他社との差。

☑クレーム対応は顧客満足向上のチャンス。その場しのぎではなく、お客様を第一に考えた対応を実施していく。

☑提言書によって最初に計画を整理できた。実際に取組む時にはアウトプットをイメージできるので、業務をブレずに遂行することが出来た。

☑講師や活動メンバーから、具体的な実施アドバイスを頂いた。自身の枠にとらわれずに活動するメリットを改めて感じた。

オンラインセミナー、コンサル等、お気軽にお問い合わせください。

2023/10/23

現在起こっている「品質の問題」というのがどのような現象なのか

  先日ある会社様へのコンサルで、「製品の品質が悪いので、製造工程の上流(投入材料、製造条件など)にもどって、工程条件と品質の関係を調べている」との相談を受けた。

 お手伝をし始めたきっかけが品質工学や多変量解析であったため、そのようなツールを使ったデータ解析を行っているようだ。しかし、確認のためその活動の目的を聞いても、どうも腑に落ちない。どうもデータ分析が目的になってしまっているようだった。

 そこで、こちらから「品質が悪い」というのは、具体的に以下のどのケースなのかを再度訪ねた(ここでは、企画の品質、すなわちその製品が売れるかどうかにかかわる品質は除外している)。

1)そもそも図面通りにものが作れず、適合品が十分にとれない問題(この場合、適合品が所定の機能、性能をもつことは前提にされていることが多い)

2)図面通りに作って、そのようになっていることも工程管理や検査によって確認しているにも関わらず、正常に機能するものが十分にとれない問題

3)上記をクリアして良品を出荷したにも関わらず、客先や市場でトラブルを起こす問題(出荷試験モレによる初期不良を除く)。

 これらはそれぞれ原因が異なるし、責任部門も異なる。つまり、「品質が悪い」ということが具体的にどういうことなのかを、活動する本人たちがしっかりと認識していないと、正しい活動にならないし、品質がなかなか良くならないばかりか、かえって悪くなってしまう場合もあるだろう。医者が患者の病状を知らずに治療をするようなものである。一部のコンサルタントでも、このような区別があいまいな人もいるので注意が必要だ。


1)は、標準どおりの作業で、図面どおりモノが作れる製造工程の工程能力(設計中央値に近いものを数多く作れる能力)の問題である。工程設計を行う生産技術部門によって実施する、工程設計段階の問題である。もう1つは実際にその工程を運用、管理する製造工程内の品質管理の問題である。前者の設計がうまくいっていないと、後者の活動の効果は限定的であるのはいうまでもない。
 なお、製造工程についても信頼性の問題が重要であり、上記の設計に含まれる。すなわち工程で規定される5M要素(材料、人、機械設備、方法、計測)に逸脱(間違いや変化など)が生じたときの影響を事前に想定して、工程設計にその対策を講じておく設計である。この工程の信頼性設計のチェックの用いるのが工程設計FMEA(PFMEA)である。

2)は図面通りのものが機能しないのだから、製品設計の中の機能設計(少なくとも設計中央値で目的の機能を発揮する設計)の問題である。この設計ができていなければ、たとえ製造段階でばらつきなく図面通りに製造しても、目的の機能をもつ製品はつくれないことになる。このような設計が製造段階まで流出したのだから、機能設計がまずいだけでなく、それをチェックするためのしくみ(デザインレビュー、機能試験など)も不十分であるということだ。機能や性能の上限は、どのような技術手段を選ぶか(システム選択)でおおむね決まってしまうので、大本をたどれば、源流の研究開発の段階の活動の不十分、不備
も考えられよう。
 なお、実際は製造でもばらつきが発生するため、設計中央値に適切な許容差をもうけて、その範囲の製造ばらつきが生じても機能する設計(許容差設計)も必要となる。その許容差の中でモノが作れるかどうかが1)の問題である。

3)は、良品(図面通りに作り、所定の社内試験や検査に合格したもの)が、市場(輸送、保管、使用のすべての段階)において、環境条件の違いや、ストレス、経時変化による劣化などの影響によって、故障(初期の機能や性能が低下、場合によっては完全に停止)する場合である。このような事態は、ユーザーの「これくらいの条件では使用できるだろう」「これくらいの年数は使用できるだろう」という暗黙の期待を裏切るので、クレームやブランドチェンジにつながる。
 これに対する事後の対応は品証やCS部門などになるが、そもそもこのようなことが発生しないように責任をもつのは、製品設計のうち信頼性設計とよばれる部分である。2)で製品設計には機能設計が必要と述べたが、それに加えてこの信頼性設計が必須となる。このような設計が市場段階まで流出したのだから、信頼性設計がまずいだけでなく、それをチェックするためのしくみ(製品設計FMEA(DFMEA)、デザインレビュー、機能性評価、信頼性試験など)も不十分であるということだ。

 冒頭の会社様の問題はおもに2)の問題であることがわかった。このように、現在起こっている「品質の問題」というのがどのような現象で、どこの工程(部門)の仕事に問題があるのかの根本原因をつきとめて対策を立案する必要がある。きわめて基本的なことだが、ちょうどそのような場面に遭遇したのでメモ程度に残しておく。

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2023/10/17

大量のデータを、事業貢献のために迅速に利活用

聞き手

ジェダイトさんは社名の由来にもあるとおり、日本産業にこだわりを持っていますね。


つるぞう

その通りです。日本の一人当たりGDPは、3万6230ドルで、韓国、台湾、中国より高いものの、OECD加盟国34か国で20位です(2015年度)。残念ながら1970年以降最も低い順位になってしまいました。※インタビュー当時の数値データです。

聞き手

どのようにしていけばよいのでしょうか。

つるぞう

日本の特に製造業の国際競争力強化に向けては、税負担の問題や各種規制の問題も大きいですが、やはり日本企業の「製品・サービスの性能・品質」「研究開発・技術」という”強み”をより強くして戦っていく必要があります。

聞き手

その中で最近は、ビッグデータやIoT(モノのインターネット)の利活用に代表されるような「データサイエンス」が次の柱として取りざたされています。

つるぞう

GoogleやAmazonのような超巨大企業はともかく、多くの一般企業ではこれらの言葉が先行し、「溜める」ことが目的化してしまい、肝心の「使って」事業貢献までつながっているところが、まだまだ少ないのが実態です。

聞き手

なぜデータサイエンスが言われているほど事業成果につながっていないのですか。

つるぞう

その理由は、データサイエンスによるビッグデータ活用のためには、活用の目的やビジネスモデルの明確化、データサイエンティスト育成または外注、高速・大量データ処理のための情報システムへの多額の投資、等のいくつかのハードルにあります。10年後20年後を見据えたときには確かにこの分野にかかる期待が大きいことは理解できます。

聞き手

ジェダイトさんの「データエンジニアリング」もそのような技術の一種なのでしょうか。

つるぞう

そうではありません。事業の損益に重要な1~数年先を見据えた場合、ほとんどの組織や企業が活用しているデータは、いわゆるビッグデータ(*1)でありません。半導体工場などのの量産プロセスから日々出力される大量のデータも、従来の統計解析で処理できるような「ふつうのデータ」なのです。もちろん、エンジニアが研究開発や実験のために採取するデータの量に関しては、言うに及びません。

聞き手

「データエンジニアリング」では扱うデータもやり方も違うのですね。

つるぞう

その通りです。当社は、この日常扱う大量のデータを、事業貢献のために迅速に利活用するための「データエンジニアリング」を推し進めています。これらに用いる手法は、従来から活用されている統計解析や信頼性工学はもちろん、実験データを飛躍的に効率的に採取し、製品やプロセスを迅速で改善・最適化するための品質工学を含みます。特に品質工学は日々進歩しており、また一般には難解と考えられているため、活用すべきである製造業での普及は遅々としています。

聞き手

逆に言えば、データエンジニアリングを駆使できれば他社や諸外国と差別化が図れるとうことですね。

つるぞう

そういうことです。データエンジニアリングのさまざまな手法を駆使して、活用できるデータを増やしていくことで、製品の価値向上(性能・品質)、生産性向上、ロス低減などの事業貢献を地に足をつけて加速し、差別化することができます。

聞き手

統計解析や品質工学を活用するコンサルティングは従来もあったかと思いますが。

つるぞう

当社は「超実践品質工学」などの独自の方法論によって、分かりやすく、成果につながる「データエンジニアリング」で製造業をお手伝いします。詳しくは、「ジェダイトが選ばれる5つの強み」をご覧ください。

聞き手

それによって、業績向上・顧客満足、ひいては世界競争力強化、日本産業の復興につなげていくということなんですね。

つるぞう

それが、当社の使命と考えています。

聞き手

ありがとうございました。


*1)「3V」と言われる、「Velocity:高速に更新され」、「Variety:広範囲・非定形なデータ」であり、結果として「Volume:大量」となるデータのこと。

本ウェブサイトのモデル写真はイメージです。


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2023/10/16

わかりやすく、成果がでる株式会社ジェダイトの設計・開発コンサルティング

 株式会社ジェダイトでは、「わかりやすく、成果がでる」をモットーとして、国内製造業様の開発・設計の生産性と価値向上、人財育成を支援します。

 Amazonの経営工学カテゴリで1位となった「これでわかった!超実践品質工学」(増刷継続中)の著者で技術士の、つるぞうこと鶴田明三が直接指導。

 前職の大手電機メーカから現職まで約30年間培った経験とオリジナルのノウハウ・メソッドで、数々の品質改善、生産性向上、約1000名の設計品質リーダ育成の実績を挙げてまいりました。

 本職だけでも通算3000テーマ以上指導し、毎年50億円以上の活動成果を上げております(※顧客様試算数値集計)。

 コンサルティング顧問契約、設計品質リーダ育成、社内研修、オンラインセミナー(ウェビナー)・講演、解析ソフトウェアのご紹介・販売まで、多岐にサポートいたします。

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2023/10/15

「このような相談相手が社内にほしい」などお客様の声をご紹介!

  セミナー・研修にご参加いただいたお客さまからの声をご紹介いたします。

いずれも受講後アンケートから得た、生の声です。ありがとうございます。


非のない良いセミナーだった。東京にも来てほしい。大阪のみではもったいないです。
※全国対応いたします。

タグチメソッド、信頼性、統計、機械学習。何を聞いても的確に答えてもらえて、とても心強かったです。

☑本で読む100倍以上理解できました!

☑とにかくセミナー内容が濃い!初めて知ることも多くためになりました。

品質工学の社内導入に当たっての前段階での本質的な説明部が丁寧で大変理解しやすかったです。

10年以上の疑問が一気に解けました。先生の講座を受けないと、何年も遠回りすることになります。

☑他の市販テキストには記載されていないことも含まれており分かりやすかったです。まず鶴田先生の本を読むべき

☑こちらのつたない課題説明に対しても丁寧に紐解いて、自分の理解以上に整理いただけました。

☑以前他社でボールを飛ばす研修を受けたときには、手順しか理解できなかったが、この講座で真の意味がわかった

☑交互作用にについて実験前、実験後の対応策を整理して説明してもらえた。このような相談相手が社内にほしい

これまでは抜けだらけということが認識できて怖くなった。DRの前準備が大事ということがわかった。


☑社内でもすでに活動しているが、基本的な部分の抜けや勘違いがあったと感じた。

☑具体的な講師の事例がよかったし、質問もごまかすことなく明確に答えてくれた

☑質疑応答にたくさんの時間を割いたので、色々な視点・気づきがあり大変よかった。

☑何でも答えてくれるので、実は社外講師を鶴田先生おひとりに集約しました

☑率直な感想は「もうちょっと講義を受けたかった・・・!」でした。分かりやすく、面白く、あっという間でした。


オンラインセミナー、コンサル等、お気軽にお問い合わせください。

2023/10/14

イノベーションを阻害するのは、短期的成果を求める経営者

 私は「答え」や「道具」を教えるタイプのコンサルではありません。まず徹底的に現状の分析と課題の抽出を行います。しかもそれをコンサルタントが行うのではなく、お客様(技術リーダー格、またその候補の方)にやっていただきます。当方はそのお手伝いをするだけです。コンサルが企業さんの問題点を決めつけて指摘したりはしません(視点やヒント、道具を与えることはしますが)。なので、場合によっては本質的な問題が見つかるまで何か月もかかります(最初からそういうスケジューリングをしてます)。お客様は悩んで、考えつくすことになります。「気づく」までやります。


 当然、依頼した企業の責任者の方は「まだ問題に着手しないのか」、「まだ成果がでないのか」とやきもきします。こちらもその雰囲気を感じて、問題に見える点を指摘して、さっさと解決に向かいたい衝動にも駆られます。成果が出なければクビの世界ですから。

 しかし、信念をもってこの「宙ぶらりん」の状態に耐えないといけません。現状分析や課題抽出のところを中途半端にやると、本当の「登るべき山」に登れないからです。間違った山に登ったところで成果は出ませんし、出たとしても小さな成果が一度きりです。最初から道具を用意してそこに当てはめる、というのもモッテのほかです。

 また、コンサルに指摘された問題を、指導された方法でやるというのは、「やらされ感」しか生まれません。その時はやっても(やったふりをしても)、そのあとはやらないでしょう。自分たちの目で見て考えた「本当の問題」について、自分たちが主体的にやる気にならなければ、実行はおぼつきませんし、リピートや定着につながらないと考えているのです。課題が確定してから、道具のことを考えればよいのです。どのような課題にも対応できるように、コンサルは道具の引出しは多数持っておく必要があります。

 イノベーションを阻害するのは、短期的成果を求める経営者である、とはよく言われることです。お手伝いするコンサルの側も気を付けなければなりません。今お手伝いしている企業様でも、じっくりと「膿を出している」ところです。

※個別課題の相談はスポットコンサルでお受けしています。