2025/01/20

田口の「部門評価制度」を読み解く(8)

 次に、特にテック企業の経営者、投資家にとって重要となる人的資本経営や人財開発の観点でみていこう。人的資本の情報については、昨今、ISO30414(人的資本情報開示のガイドライン)等でも企業に情報開示が求められている。

人的資本経営と部門評価制度:組織学習と人材育成の促進

部門評価制度は、人的資本経営の観点からも大きな可能性を秘めている。問題発生時の原因究明と再発防止策の検討は、組織全体の学習プロセスを促進し、人材育成に貢献する。これは以下の3点に集約できそうだ。

ナレッジマネジメントの強化: 問題解決のプロセスで得られた知見や教訓を組織全体で共有することで、同様の問題の再発防止に繋げる。データベースやナレッジ共有システムを活用することで、組織学習を効率化できる。いわゆる、「しくみ化」の問題だ。

部門横断的なプロジェクトチームの結成: 問題解決には、複数の部門の連携が必要となる。部門横断的なプロジェクトチーム(クロスファンクショナルチーム)を結成することで、多様な視点を取り入れ、より効果的な解決策を生み出すことができる。また、プロジェクトチームへの参加は、担当者にとって貴重な学習機会となり、人材育成にも繋がる。

スキルアップのための研修プログラムの提供: 問題解決に必要なスキルを特定し、研修プログラムを提供することで、担当者の能力開発を促進する。

例えば、開発・設計部門の例では、開発・設計初期段階で政府具合の原因を分析する過程で、新たな技術に関する知見が得られたとする(これには、品質工学の機能性評価や、信頼性工学のFMEA等が有効である)。この知見を組織全体で共有することで、他の部門でも同様の技術を導入する際の参考情報となり、組織全体の技術力向上に繋がる。

このように、部門評価制度は、ナレッジマネジメント、クロスファンクショナルチーム、研修制度などと連携させることで、より大きな効果を発揮する。これらによって、従業員のモチベーション向上や生産性向上に繋げることが期待できる。

(つづく)

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