1.1. レジーム切替が絡む場合
レジーム切替とは、制御因子の水準を変えたときに、単に出力の大きさが変わるだけでなく、支配している物理・化学メカニズムそのものが変わる現象である。
たとえば、次のようなものが該当する。
分野 レジーム切替の例
流体 層流 ↔ 乱流、キャビテーション発生
材料 弾性変形 ↔ 塑性変形、ガラス転移、結晶化
熱 乾燥 ↔ 湿潤、沸騰開始、熱暴走
電気 絶縁破壊、磁気飽和、電流制限
燃焼 ノック発生、失火
センサー 線形応答 ↔ 飽和、検出限界以下
重要なのは、これらは通常の「少し効き方が変わる」というレベルではなく、同じ因子でも水準によって効く意味が変わってしまうという点である。
したがって因子間の交互作用をモデル化する以前に、
そもそも水準が同一メカニズム領域に置かれていないのではないか、に注意をはらう。
つまり、レジーム切替は「交互作用を解析すべき対象」というより、パラメータ設計の前提を崩す危険信号である。
基本方針は次の一文に尽きる。
制御因子の水準は、原則として同一レジーム内に置く。
設定因子 あわせて見るべき状態量
温度 実温度、Tg、融点、結晶化温度、反応開始温度
速度 レイノルズ数、せん断速度、発熱、摩擦状態
荷重 面圧、応力、降伏応力、接触状態
電流 発熱、電圧降下、電流制限、磁気飽和
圧力 流量、圧損、キャビテーション余裕、シール状態
品質工学では機能や出力の安定化を重視するが、因子水準を決める段階では、こうした固有技術の状態把握がかなり重要になる。
その意味では、その①ででてきたCS-T法による、中間特性の把握は重要なツールとなる。
そのほか、レジームを跨ぐ場合の実験ではどうするか?などのさまざま実務的な運用に関しては、内容が多岐にわたるので、本稿ではここまでとする。
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