先日の研究会でY先生は「パラメータ設計の意味の追求を。利得が再現したら本当に市場で大丈夫といえるのか?」とおっしゃっていた。これまでQEでは利得の再現性と言ってきたはずで、そのことについてたずねてみた。「なぜ、利得の再現性=市場での品質確保と信じられなくなったのか。」と。Y先生「科学をどうして信じられるのか、と同じである。論理の妥当性が世の中で受け入れられるかどうかだ。そう考えているだけで、実証はされていない。実績がすべてだ。」 とのことであった。
つまり、科学、QEに限らずそのこと自体か真に正しいかどうかではなく、実益性やその時代の通念などの社会的、政治的な制約や庇護を受けながら、認められていくのだということである。まあ、そのこと自体は科学哲学の小論文テーマレベルの知識としては知ってはいる。すべては人間の人間による活動なのであるから、その意味ではQEとて科学と同じアプローチを取らざるを得ないのである。
なぜ田口博士は最終的に事例で証明する方法をとったのか。それは、最初のY先生への質問に戻ると、SN比の再現性や加法性といったものが、客観的な真値として事前には定義できないからであろう。つまり、Y先生のおっしゃるように、「再現したからといっても、真値が分からない以上、最終的には信用することができない」のである。
SN比や損失関数は将来市場で起こる損失の予測にすぎないので、実際の市場での損失額が確定しない限りはその正しさの証明とならないのである。結局は長い歳月をかけてしかその正当性が分からない、というのであればこれは信頼性試験やワイブルプロットと同じではないか、という気さえしてくる(もちろん冗談)。
2 件のコメント:
つるぞうさん、こんばんは。COGです。
この件は、評価と保証の問題が絡み合っていると思います。
パラメータ設計などの評価をした結果、最適条件(制御因子の)が見つけられ、利得が再現しても、それは、評価としての予測です。
市場に出てあらゆる条件(誤差因子)に対して、最適化条件ですべて保障できるかと言うと、それは、保証できるとは断言できないと思います。
私は、保証については、技術者のセンスと自分の技術活動にどこまで責任感を感じているのかによって、変わると思います。
技術力ある真の技術者であれば、自分の設計のウィークポイントを感じているはずです。そのポイントで評価に誤差因子として織り込めば、100%保証できることは出来ませんが、評価結果と大きく違う結果が出る確率が減るというのが、つたない私の経験から言えると思います。
要約すると、技術者は自分の設計したものをどのようにすれば壊せるかの視点を持つべきと思います。
COGさん
コメントありがとうございます。
この件に関しましてはいろんな支店があると思いますのでまたじっくりと考えてみたいと思います。
確かに「技術者は自分の設計したものをどのようにすれば壊せるかの視点を持つべき」というのは仰るとおりですね。
コメントを投稿