QEの研究や提案といったものが、実際に技術的な問題が起こって、それに対する対処法が--ほぼ田口博士の独力で--天才的なそして経験豊富な仮説力で提案されて、それがフォロワーによって実証されていくといった、一方向の帰納法的な方法でQEが進展してきたが、この方法しかありえないのかという疑問がある。
田口博士の半世紀にもわたる提案の実証と実績を軽視するものではまったくないが、田口博士以外から「原理的にはこういう可能性もあるので、本来はこうあるべき」というロジックや提案もあってよいはずである。しかし現実には、そのような提案は「実際の技術課題に基づいていない」とされて、一般論という誤解のもとに一蹴されてしまう空気がある(この「空気」という表現は的を射ていると思う。詳しくは、山本七平「空気の研究」)。
汎用技術の提案は一般論ではなかろう。とかく、田口先生以外の仮説に基づいた提案というのが非常に行いにくい状況にある(もちろん、下名の提案などは10年早いのは百も承知であるが)。
本当にQEを学問として、また汎用計測技術として洗練させていくためには、従来の帰納型で検証を続けるアプローチだけでなく、演繹型の仮説提案のアプローチもあわせて必要だと考えている。もちろん、後者のアプローチにおいてもその後の実地での検証が必要なのはいうまでもない。つまり、実例で証明するという意味では、これらのアプローチの重要性は対等なはずだ。
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