「個人の責任と自由のバランス」
田口は、「すべての人を一人前として扱うことは同時に、自分の仕事の結果に責任を持たせる」と述べている。これは、個人の自由と責任が表裏一体であるということだ。自由な行動を許容する一方で、その行動の結果に対する責任を明確に負わせることで、個人の主体性と組織全体の効率性を両立させるといことだ。
単に「自由」を与えるだけでは、責任感の欠如や、他者への迷惑行為につながる。そこで、田口は、他人に自由を認めることは「その人が自分に与える迷惑をたんに黙認することではない」としている。さらに「誰でもより大きな目的のために、あるいはうっかりして他人に迷惑をかけることがある」という。しかし、だからといって自由を制限するのではなく、迷惑行為が発生した場合には責任の所在を明確にし、損害の補償や再発防止策を講じることで、個人の自由と組織全体の秩序を維持するための仕組みを構築するということだ。
「部門評価制度」
これまでの単なる技術や設備投資に頼る時代から、人材育成と活用が重要となる時代への転換が強調されている。従来の恐怖心や経済的刺激による管理手法では不十分であり、人間への深い洞察に基づいた管理への転換が必要であると。これらの仕組みとして、田口は部門評価制度を提案し、以下のように説明している。
①評価基準の設定
部門評価制度が従来の「手段の標準化と統制」とは異なり、「期待する結果」を明確化し、手段は自由に、結果を評価するという考え方である。品質、納期、コストの3要素を基に、各部門に期待される結果と、定量化すべき要素を導き出す。例えばクレーム損失や納期遅れによる損失の評価は、実害主義に基づいて行うべきである。
②つけかえ制
成績不振の原因を他部門に押し付けるのではなく、マイナスの原因を作ったところに損害がチャージされる仕組みを作ることで、各部門の真の実績が明らかになり、真剣さが引き出される。「つけかえ制」は自己管理のためにも必要不可欠な制度である。 さらに、「つけかえ制」の原則として、つけかえを受ける部門の責任者が認めた場合に成立するとし、前工程の遅延を例に、責任の所在を明確にすることを説明しています。
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