2025/01/15

田口の「部門評価制度」を読み解く(3)

 部門評価制度のコアとなる「つけかえ制」についてみていこう。

従来の管理手法では、問題発生時の責任の所在が曖昧になりがちだったが、「つけかえ制」は、部門評価制度における責任の所在を明確化し、各部門の自主性と責任感を高めるための重要な仕組みである。問題の原因を作った部門に自動的に責任が帰属することにより、各部門は自らの行動に責任を持つようになり、問題の発生を未然に防ぐための努力を促す効果が期待できる。

「つけかえ制」の導入には、まず、各部門の活動における目標と評価基準を明確に定義する必要がある。各部門の活動が、他の部門の活動にどのような影響を与えるかを分析し、それぞれの活動がもたらす成果と損失を定量的に評価できる指標を設定する。例えば、製造部門であれば、製品の品質、納期、コストなどが評価基準となり、営業部門であれば、売上高、顧客満足度、市場シェアなどが評価基準となる。

これらの評価基準に基づいて、各部門の活動が他の部門に与える影響を数値化する。例えば、製造部門の納期遅れが営業部門の売上減少に繋がる場合、その影響度合いを定量的に評価し、製造部門にその損失を「つけかえる」。この数値化には、因果関係の分析、データ分析、シミュレーションなどの手法が活用される。

「つけかえ制」では、単に責任を「つけかえる」だけでなく、その原因究明と再発防止策の検討も不可欠。問題が発生した場合、原因を特定し、責任を負う部門が再発防止策を講じることが求められる。この過程において、関係各部門間の情報共有と協力が重要となる。

「つけかえ制」を導入することで、以下の効果が期待できる。

責任の明確化: 問題発生時の責任の所在が明確になるため、原因究明と再発防止策の検討が迅速に進められる。

自主性と責任感の向上: 各部門は自らの行動に責任を持つようになり、自主性と責任感が向上する。

部門間の連携強化: 問題発生時には、関係各部門が協力して原因究明と再発防止策の検討を行うため、部門間の連携が強化される。

業務効率の向上: 問題の早期発見と解決により、業務効率が向上する。

企業全体の利益最大化: 各部門が企業全体の利益を考慮した行動をとるようになり、企業全体の利益最大化に貢献する。

(つづく)


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