2021/05/22

品質工学の推進がうまくいっていない組織の特徴

 

  経営システム誌19年7月号に掲載されました、超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」に、品質工学の推進がうまくいっていない組織の特徴として以下をまとめています。ではどうすればいいのか?本論文をダウンロードの上、ご参照ください。

手段ありきで,目的や必要性が分からずに「手法を適用」している.やらされ感ばかりでやる気が出ず,リピートにつながらない.その結果,活動が成果に結びついていない.

品質工学といえばすぐに直交表実験と考え,それを強要しがち.教育研修でも,直交表実験の手順を教える傾向が強い.

定義や意味をよく考えずに専門用語を濫用している(特に「基本機能」,「設計品質」など),田口玄一の言説を受け売りする推進者・講師.「失敗したことが成果」,「技術力がない証拠」などと場をしらけさせ,実践者のやる気をなくさせる.

講師の実践経験,知識体系化レベルが低く,手法の表面的な説明や,天下り的な教科書の説明に終始.明示的な手順や数式以外は,「担当者が考えること」と責任を丸投げしてしまう.

田口のSN比にこだわる(あるいはそれしか知らない)ため,自由度,期待値,純変動といった,設計・評価の実務には無用な知識を説明しなければならず,講座が冗長・退屈になる.その結果,教育に時間を浪費し,受講生は数理が理解できず挫折したり,品質工学は難解という印象をもってやらなくなったりする.

計画時にテーマの位置づけや目標値が明確化されないまま,目先の困っているテーマでもって,見切り発車のまま手法を当てはめる進め方が目立つ.「なんとなく良くなった」レベルで終わっている.経営幹部に成果が見えていないので活動に対して半信半疑である.

しくみがない.ボトムアップでは,推進者と担当者の直接取引のような形で,職制が関知しないまま実施するため,進捗が職制としてフォローされず,他の仕事が優先されるなどしていずれやらなくなる.トップダウンの形をとっている場合においても,特に中間管理職層で腹落ちできておらず,形だけ担当者にやらせる状況に陥る.その結果,よほどマインドに優れた担当者,職制でないと自主的なリピートや展開につながらない.

講師 鶴田明三 株式会社ジェダイト 代表取締役 技術士
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