2017/12/13

【今日の言葉152】一夜漬けが最も効率が良いわけとは?

一夜漬けが最も効率が良い。
(三菱電機株式会社 取締役会長 山西健一郎:社内技術士会での講演にて)

このあとに、こう続きます。
「ただし、それができるだけの実力をつけておくことが必要」
だと。

 メーカーさんをお手伝いしていますと、「開発の途中で仕様や規格が変わることが多く、そのたびにやり直しが発生している。」ということを相談されます。そこで、上の言葉を思い出しました。

 理想的にはきっちりとマーケティングしておき、商品開発開始後は仕様を凍結するのがよいでのが、移り変わりの激しい昨今、開発中に状況が変わったり、他社の開発状況や新製品発売などの情報によって、仕様変更を余儀なくされることも多いかと思います。

 その際に重要な考え方として、「できるだけ仕様凍結を引き付ける」ということです。仕様凍結を直近にすればするほど、情報が新鮮で確度も高いわけです。しかし、仕様凍結をそれだけ直近に近づけるということは、開発期間もうんと短くなるわけですね。つまり究極的には「一夜漬け」です。

 そのためには「それができるだけの実力」が必要なわけですね。たとえば、素材メーカの場合だと、「どのような特性値の仕様が来ても、即座にその特性に合わせ込めるような技術開発」を先行してやっておくとか、ソフトウェアのライブラリやモジュラー設計の考え方もこれに近いと思います。つまり、そういう基礎研究、先行開発の重要性を言っているわけですね。

 基礎研究、先行開発の段階ではまだ仕様や規格値がないわけですから、「性能を確保した上で、さまざまなノイズ(環境や使用条件など)に安定で、特性値が自由に調整できる技術」という方向性での研究開発になります。仕様や規格値が無いので、基本的には相対的な評価(従来品や他社品との比較)になります。この考え方が品質工学の機能の安定性評価(機能性評価)なんですね。

 さらにシステマチックに特性を改善したり、調整できる因子を探したりするのは、パラメータ設計と呼ばれます。最終ユーザの仕様が不明確なことが多い素材メーカーでは特に重要な考え方だと思います。

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