2018/04/20

トヨタグループの品質工学(2011年まで)


(一社)日本品質管理学会中部支部・産学連携研究会編:「開発・設計に必要な統計的品質管理~トヨタグループの実践事例を中心に」, 日本規格協会 ,(2015).

少し前の本だが、このような本が発刊されている。
トヨタグループの編著者として、トヨタ自動車㈱ TQM推進部、サービス技術部、試作部評価技術室、さらにトヨタ車体㈱ 副社長、顧問、経営企画部 といった、そうそうたる面々が執筆されている。

この本の25章にトヨタグループの品質工学(および応答曲面法)の推進について、かなり本音で書かれており興味深い。以下はその要旨である。

・ロバスト設計手法として品質工学と応答曲面法を研修。
・登録された36件のテーマのうち半数の18件が取り下げまたは未着手。主な理由はテーマ登録時の手法と目的のミスマッチによる。
・上記の対策として、品質工学を適用しやすい領域などを受講生に案内し、可能な実験回数などを事前アンケート。
・動特性108回の実験が可能かの質問に対し、33%が不可能、20%が分からないと回答。
少ない実験回数しか実施できない受講生には、応答曲面法の受講を勧めた。
 ※ガイドラインとして、実験回数が50回以下しか実施できない場合、応答曲面法を推奨している。
・上記を実施しても、受講後3か月後の品質工学実施率は19%と低い値になった。その後の改善状況は記載されていない

このブログの読者であれば、何がまずいかの指摘はできるかと思う。
おおむね以下のような感じでしょうか。

・テーマをボトムアップあるいは担当者の目先の問題意識で選ばせている。
 したがって、本当に重要な問題に取り組んでいない(研修のためのテーマ)ケースが多くなり、リソースが与えられなかったり、他業務が優先されたりする(実施率が低い)。
・品質工学という手法を当てはめようとしている。推進事務局が品質工学を適用させることを目的としている。
・品質工学=直交表の実験との先入観があり、108回の実験が必須と考えている。
・品質工学と応答曲面法とを実験回数で使い分けている。
 ※これらの手法は目的も効用も異なる(鶴田注)

品質工学等の品質設計手法の活用には、別の対応が必要と考える。
これについては下名の著書株式会社ジェダイトのHPやセミナーでもいろいろお話ししていることなので、ここでは割愛する。

なお2012年以降は、品質工学会幹部の指導により品質工学の活動は仕切り直されているとのことで、ここ数年は学会発表も盛んである。今後の動きに期待したい。

株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

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