2022/08/29

「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」④

 4.3 機能の定義方法

 機能とは対象に備わっている働きや,お客様のニーズと考えればよい.そして,それを引き出すための入力が何かを考えてみればよい.例えば電球の場合,お客様のニーズは明るさである.この明るさを自由に変えたい場合,お客様は入力の供給電力を変化させる.このような入力と出力を考える. 

 つぎに入出力の関係が,どうなっていれば理想的かを考える.この理想状態はバーチャルなもので,実製品で実現させる目標とは異なる.電球の場合,入力(電力)と出力(明るさ)の関係は,ロスがなく効率100%というのが理想である(図2).すなわち入力と出力は単位が同じなら傾き1の比例直線になる.このような入出力の関係と,その理想状態を定義することを機能定義という.

図2 電球(照明)の機能定義

 機能はお客様が欲しい状態を示すので,機能を理想状態に近づけて,ばらつきや変動も小さくするような設計にすることが,お客様のニーズを満たすことにつながり,ひいてはクレームや手戻りなどのロスを減らすことになる.
 具体的に業務で機能を表現する場合には,以下の文章に当てはめて考えるとよい. 

   [①対象:    ]の機能は,
    お客様が意図した[②入力:   ]に応じて,
     お客様が欲しい[③出力:   ]を得る.

 お客様が欲しい出力を得るためには,お客様は何か行動を起こす必要がある.車のステアリングを回さなければ車は曲がって行かないし,コピー機には原稿画像の情報を与えないと所望の画像出力が得らない.そのような,お客様の欲しい出力を得られる,また変えられるような,お客様の使用条件を入力とする.これを信号ともいう.入力は設計者が決める設計パラメータ(制御因子)と混同しないことが大切である.まとめると図3にようになる. 


図3 機能定義の考え方

 機能定義についてのさらに有用なコツとして,二つの機能のパターン(エネルギー変換機能と制御的機能)について著書〔1〕(pp.81-106)で解説した.また実務では製品の一部分(サブシステム)を選択して評価や設計を実施することも多い.そのような方法(機能ブロック図,スコーピング)についても著書〔1〕(pp.111-117)で説明した.

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超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」(6ページ)

(日本経営工学会の了承済)。

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