例えば、直交実験についてであるが、実験するときの心構えは次のうちどちらだろうか。
a. 自分の推測(仮定)が正しいことを確かめよう
b. 自分の推測(仮定)が間違ってやしないか調べよう
a.の心よりもb.の心のほうが客観的な見方を促すという研究結果がある。
自分が思い込んだ仮説を裏付けるデータばかりに注目していないだろうか。
(たとえば、再現実験でSN比が再現したから、その実験は正しいというような)
自分の仮説を否定するデータ(再現しない)というのは、確かに本人にとって
受け入れがたい結果ではあろうが、新しい展望を開くきっかけにはなる。
むしろ逆に自分の仮定が否定される結果を気に留めないという傾向が
あるとすれば、これはオカルトや非科学的な信仰に結びつきやすい。
すでに持っている思い込みを否定されるというのは不愉快なものであるが、
思い込みの確証ばかりに目が向くというのも危険な傾向である。
これを心理学の用語では「確証バイアス」といっている。
品質工学の直交実験が反証主義--つまり、失敗した実験こそ
意味があるということ--であるというのは、確証バイアスへの
警鐘の意味も込められている。
かの田口博士いわく、
「失敗した実験にしか興味がない」
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