2012/06/13

許容差設計の問題点

許容差設計がパラメータ設計ほど活用されない理由について考えてみる。

①損失関数2乗の理屈の証明:特に設計パラメータと品質特性yが2乗の関係になる根拠、妥当性証明。基本機能では出力はエネルギーの平方根だが、許容差設計のときの出力y(品質特性)は必ずしもそうではない。損失関数そのものが信じられるかが最初の、そして最大のハードル。

②損失関数のA0を求めるのが容易ではない。(研究会で見た教育用のビデオでは、メーカ側の修理費用となっていたが、本来はお客様のところで生じる損失のはずでは)

③事前に設計パラメータの要因効果を直交させておく必要がある(パラメータ設計で取り上げなかった因子もある)・・・ふり幅が狭いので直交しなくてもよいとの論もあるが、実際にやってみると結構交互作用の影響がある。

④目的特性の決め方(必ずしも機能の出力と一致しない、品質特性は多数ある)。

⑤コンピュータシミュレーションでできない場合の応答解析方法。実物ではほぼ不可能。

⑥納得性の高いテキスト(マニュアル)がない。・・・講義やテキストの数式が天下り的で、なぜそう考えるのかの基本的なところがきちんと説明されていないので上記のような実務レベルでの疑問がでてきてしまい、活用されない。

以上のような点をクリアしていかないと、JISの規格値の決め方が絵に描いた餅ということになり、なかなかハードルの高い問題である。教育用のビデオにでている黒縁メガネの課長のように、単純に教えられたことを信用できれば幸せだが。。。

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