2012/09/02

非線形を考慮したT法(増田氏)

 9/1(土)の関西品質工学研究会で、増田技術事務所の増田雪也さんにお越しいただき、T法に関する2件の講演をいただいた(いずれもQES発表大会で既発表の内容のため、ここで紹介してよいと判断した)。

増田さんといえば、”品質工学でブログと言えばこの人”、と言う方で(Googleで「品質工学 ブログ」と入れてみてください)、QES発表大会でお会いしたりして切磋琢磨?してきたが、きちんとお話、議論するのは今回が初めてとなった。※タコ釣の名人とのことである。

そのうちの1件は非線形成分を考慮したT法で、特徴項目と真値の関係が線形でないと思われるときに、所定の変数変換を行うことで、特徴項目と真値の相関を高めて、結果的にT法での総合推定精度を向上させるアイデアである。(詳細はQES2009論文集または前記リンク参照)

特徴項目(以下単に項目)に何を選ぶかは設計者の自由なので、どのような変数変換(例えば対数をとる、2乗するなど)もよいと思うが、なぜ2次関数なのか、というところに興味をもった。

T法と増田式の違いは、項目の主効果を1次までと考えるか、2次までと考えるかの違いだけで、本質的な優劣があるわけではない(もちろん、高次の項までやってしまうと、オーバーフィッティングの問題が生じるのは自明だが)。増田氏の方法は、項目と真値に何か2次的な物理的関係があるいうようなことではなく、未知の関数関係をテイラー展開したときに2次までの項を主効果と「考えた」のであろう。

パターン認識の項目にはメカニズムの仮定は不要であるし(真値である出力が官能特性の場合など、そもそもメカニズム不明の場合がほとんど)、T法のように1次の効果への回帰ですら、何か直線的なメカニズムを仮定しているわけでもない。

結論的には、未知データを含めた総合推定精度が上がって、実際の役に立てば、項目のメカニズムはどうでもよいということだ。メカニズムが分からないからパターン認識に使えない、ということはない(もし、ナマズの運動が本当に地震予知に役立つなら、メカニズム解明を待たずに大いに利用すべきということ)。

2 件のコメント:

増田雪也 さんのコメント...

つるぞう様
増田技術事務所の増田雪也です。
先日の関西品質工学研究会では、大変お世話になりました。
また、貴重なディスカッションをさせていただきまして、ありがとうございました。
自分の考えに対して、皆様から率直な意見を拝聴することができ、とてもとても勉強になりました。
関西の研究会の皆様には、長野の研究会にもぜひお越しいただきまして、関西と長野の交流をさせていただければと考えております。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

つるぞう さんのコメント...

増田様
コメントありがとうございます。
ぜひ長野のうかがわせていただきたいと思います。
よろしくお願いします。