2012/08/28

QES2012で提案のRT+法補足

 QES2012で下名の発表を聞いていただいた方より下記の問い合わせを頂いたので、回答を紹介する。

<質問>
「文字認識の事例で使用されている 1/0データのうち
1列だけ100/0データとなった場合でも結果が同じであれば、
異なる単位でも適用できると言える。しかし、1列だけ100/0
となると、βが異なるはずであり、同じ結果にならないのではないか?」

<回答>
「1列だけ100/0データ」とは、1つの原始特徴項目だけが
0と100の値だけをとるという意味でしょうか。
2つのの場合があると思います。

(1)単位空間データの標準偏差がゼロでないとき(通常のケース)。
その項目の平均値や標準偏差は、ほかの項目(1/0データ)の
100倍になりますので、基準化後の値は、他の項目と同列に扱えます。
おそらく、この場合では疑問はないものと思います。

(2)単位空間データの標準偏差がゼロのとき
すべてゼロデータの場合、文献1)の方法と同様に、m=1/4n、σ=1/2√n
で有限補正します(平均がゼロでないときは普通に平均しています)。
このときのm,σには単位がありませんので、信号データを基準化するときには、
100倍の倍率の違いが補正されません。
調べたところ、報文5.章の事例でもσ=0の項目がありましたが、
結果的にうまく判別できていたので、そのときは気がつきませんでした。
この現象は、誤圧を適用したときにも同様に生じますので、この現象を
もって誤圧との優劣が逆転することはありませんが、より良い精度を追求
するという意味では、別途対応を考える必要がありそうです。

関西品質工学研究会の中で以前、他の方が提言されていた
補正方法として以下を思い出しました。
単位が揃わない場合はこちらのほうがよいと思います。

対象の項目の物理量の最小スケールをKとして、
m=K/(4n), σ=K/2√nのような補正を行います。
1/0データではK=1、100/0データでは分解能は100なのでK=100、
0~100までの101段階のグレースケールの場合は分解能は1でK=1です。
σ=0となるのは、測定限界以下のばらつきしか生じていないためと考えます。

今回の報文での検討ではいくつかの事例に基づき、適用の可能性を
示唆したにすぎませんので、後続の事例検討や数理的な証明など、
後の評価を待つほかありません。
ご質問者のように、提言内容を検討していただける方がいて光栄です。

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