2014/06/08

機能とノイズを検討する大切さ

2ヶ月ぶりに関西品質工学研究会に出席した。
といっても、前回出席の4月度も、最初の1コマだけしか聴講できなかったので、フル参加で議論に加われたのは久しぶりである。

基本的に研究会の発表内容は会員外秘なので、このBLOGでも直接内容をとりあげることはないが、そのなかで気づいたことを一般化して述べたい。

論文紹介でM社の研究発表大会予稿が採りあげられていた。この予稿自体はつっこみどころが多すぎてそれだけでもかなりの文章が書けるのだが1つ1つ挙げるのは抜きにしよう。

ここで言いたいことは、QESの研究発表や学会誌の論文が、直交実験のレポートレベルになっていることを危惧するものである。

さきの予稿でも機能やノイズ(誤差因子)の議論はあっさりしたもので、制御因子やSN比の公知の計算手順や数値例に紙幅を割いてしまっている。

この事例ではノイズ因子は1つだけ採り上げられており、SN比計算の数値例では、VeもVβ×Nも約200という値であることから、十分に能動的なノイズがかけられているとは言いがたい。それゆえ、再現性もなく、チューニングで上げたはずの感度も確認では下がっている(グラフのスケールがそれっていないので下がっているのことが分かりにくいが)。

品質工学の基本は機能性評価における機能とノイズの検討、それから定義されるSN比の定義につきると言ってよい。制御因子の説明は固有技術であるし、直交実験はツールの世界である。

そのように思って久しく、宣伝するわけではないが、日本規格協会で講義させていただいている講座では機能とノイズの部分を本当に重点的に、丁寧に説明させていただいている。直交表や要因効果の求め方などはツールにゆずる潔さだ。

品質工学の学習や研究で変な遠回りをしないでほしいと切に願うものである。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

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