2025/08/02

「アウトプットをイメージして業務をブレずに遂行することが出来た」などの生の声をご紹介①

 設計品質リーダー育成コースにご参加いただいた塾生からの声をご紹介いたします。

いずれも経営幹部様への成果報告会で本人の口から報告された、気づきやリーダとしての心構えに関する生の声です。受講生の成長や熱気を感じてください!

☑社内の様々な人に接することで当社内の業務を知るきっかけとなり視野が広がった。その中で、様々な部署の仕事の進め方が今後の自分の業務改善に つながることがわかった。

☑期間や費用等、明確なビジョン・目標を開発初期より持ち、それらを部下としっかりと伝えて共有することで、生産性の高い組織をつくることができると感じた。

☑不良損失を未然防止することで、会社の利益に貢献できること、コストに対する意識を今まで以上に持つようになった。

☑実際に効果試算の数値が出てくると、ふだん意識していない程の効果があり、当コースで実践した提言/改善活動の有用性を改めて感じた。

☑お客様のための品質であることを再確認した。また、自分の取り組みで大きな金額を動かせることが分かった。

☑リーダーとして“この人が言っているなら大丈夫” と思われる技術者となるべく、現状に満足せず、期待の一歩先に進んでいく。

☑まだ”ばらつき”に対する考え方が弱い。ばらつきを考慮した設計、製造ができるように、知見や考え方の定着を牽引する人材になる。

☑改めて世の中とのギャップに気づいた。現状分析により理想との差、講師出身企業などとの他社との差。

☑クレーム対応は顧客満足向上のチャンス。その場しのぎではなく、お客様を第一に考えた対応を実施していく。

☑提言書によって最初に計画を整理できた。実際に取組む時にはアウトプットをイメージできるので、業務をブレずに遂行することが出来た。

☑講師や活動メンバーから、具体的な実施アドバイスを頂いた。自身の枠にとらわれずに活動するメリットを改めて感じた。

オンラインセミナー、コンサル等、お気軽にお問い合わせください。

技術者のリカレント教育もお任せください! 

2025/07/29

医者が患者の病状を知らずに治療をするとどうなる?

  先日ある会社様へのコンサルで、「製品の品質が悪いので、製造工程の上流(投入材料、製造条件など)にもどって、工程条件と品質の関係を調べている」との相談を受けた。

 お手伝をし始めたきっかけが品質工学や多変量解析であったため、そのようなツールを使ったデータ解析を行っているようだ。しかし、確認のためその活動の目的を聞いても、どうも腑に落ちない。データ分析が目的になってしまっているようだった。

 そこで、こちらから「品質が悪い」というのは、具体的に以下のどのケースなのかを再度訪ねた(ここでは、企画の品質、すなわちその製品が売れるかどうかにかかわる品質は除外している)。

1)そもそも図面通りにものが作れず、適合品が十分にとれない問題(この場合、適合品が所定の機能、性能をもつことは前提にされていることが多い)

2)図面通りに作って、そのようになっていることも工程管理や検査によって確認しているにも関わらず、正常に機能するものが十分にとれない問題

3)上記をクリアして良品を出荷したにも関わらず、客先や市場でトラブルを起こす問題(出荷試験モレによる初期不良を除く)。

 これらはそれぞれ原因が異なるし、責任部門も異なる。つまり、「品質が悪い」ということが具体的にどういうことなのかを、活動する本人たちがしっかりと認識していないと、正しい活動にならないし、品質がなかなか良くならないばかりか、かえって悪くなってしまう場合もあるだろう。医者が患者の病状を知らずに治療をするようなものである。一部のコンサルタントでも、このような区別があいまいな人もいるので注意が必要だ。


1)は、標準どおりの作業で、図面どおりモノが作れる製造工程の工程能力(設計中央値に近いものを数多く作れる能力)の問題である。工程設計を行う生産技術部門によって実施する、工程設計段階の問題である。もう1つは実際にその工程を運用、管理する製造工程内の品質管理の問題である。前者の設計がうまくいっていないと、後者の活動の効果は限定的であるのはいうまでもない。
 なお、製造工程についても信頼性の問題が重要であり、上記の設計に含まれる。すなわち工程で規定される5M要素(材料、人、機械設備、方法、計測)に逸脱(間違いや変化など)が生じたときの影響を事前に想定して、工程設計にその対策を講じておく設計である。この工程の信頼性設計のチェックの用いるのが工程設計FMEA(PFMEA)である。

2)は図面通りのものが機能しないのだから、製品設計の中の機能設計(少なくとも設計中央値で目的の機能を発揮する設計)の問題である。この設計ができていなければ、たとえ製造段階でばらつきなく図面通りに製造しても、目的の機能をもつ製品はつくれないことになる。このような設計が製造段階まで流出したのだから、機能設計がまずいだけでなく、それをチェックするためのしくみ(デザインレビュー、機能試験など)も不十分であるということだ。機能や性能の上限は、どのような技術手段を選ぶか(システム選択)でおおむね決まってしまうので、大本をたどれば、源流の研究開発の段階の活動の不十分、不備
も考えられよう。
 なお、実際は製造でもばらつきが発生するため、設計中央値に適切な許容差をもうけて、その範囲の製造ばらつきが生じても機能する設計(許容差設計)も必要となる。その許容差の中でモノが作れるかどうかが1)の問題である。

3)は、良品(図面通りに作り、所定の社内試験や検査に合格したもの)が、市場(輸送、保管、使用のすべての段階)において、環境条件の違いや、ストレス、経時変化による劣化などの影響によって、故障(初期の機能や性能が低下、場合によっては完全に停止)する場合である。このような事態は、ユーザーの「これくらいの条件では使用できるだろう」「これくらいの年数は使用できるだろう」という暗黙の期待を裏切るので、クレームやブランドチェンジにつながる。
 これに対する事後の対応は品証やCS部門などになるが、そもそもこのようなことが発生しないように責任をもつのは、製品設計のうち信頼性設計とよばれる部分である。2)で製品設計には機能設計が必要と述べたが、それに加えてこの信頼性設計が必須となる。このような設計が市場段階まで流出したのだから、信頼性設計がまずいだけでなく、それをチェックするためのしくみ(製品設計FMEA(DFMEA)、デザインレビュー、機能性評価、信頼性試験など)も不十分であるということだ。

 冒頭の会社様の問題はおもに2)の問題であることがわかった。このように、現在起こっている「品質の問題」というのがどのような現象で、どこの工程(部門)の仕事に問題があるのかの根本原因をつきとめて対策を立案する必要がある。きわめて基本的なことだが、ちょうどそのような場面に遭遇したのでメモ程度に残しておく。

2025/07/28

DXとAIと統計学の力で、データの生成と活用をお手伝い!

 

 聞き手

ジェダイトさんは社名の由来にもあるとおり、日本産業にこだわりを持っていますね。

つるぞう

その通りです。日本の一人当たりGDPは、3万3800ドルで、これは台湾、中国より高いものの、韓国には追い越されました。OECD加盟国34か国で21位です(2023年度)。

聞き手

どのようにしていけばよいのでしょうか。

つるぞう

日本の特に製造業の国際競争力強化に向けては、税負担の問題や各種規制の問題、企業の内部留保の問題も大きいですが、やはり付加価値を生むために日本企業の「製品・サービスの性能・品質」「研究開発・技術」という”強み”をより強くして戦っていく必要があります。

聞き手

その中で最近は、ビッグデータやIoT(モノのインターネット)の利活用に代表されるような「データサイエンス」や「生成AI」が次の柱として取りざたされています。

つるぞう

ひと昔前までは、ビッグデータはGoogleやAmazonのような超巨大企業やプラットフォーマーが中心に扱っていましたが、近年のAIやコンピューティングの更なる進化で、大企業を中心に多くの一般企業でも活用がされるようになってきました。以前はデータを「溜める」ことが目的化してしまい、肝心の「使って」事業貢献までつながっているところが、まだまだ少なかったのです。

聞き手

データサイエンスやAIは、どれほど事業成果につながっているのですか。

つるぞう

企業によってばらつきが大きく、ざっくり言えば二分化しつつあります。その理由は、データサイエンスやAI活用のためには、活用の目的やビジネスモデルの明確化、データサイエンティスト育成または外注、高速・大量データ処理のための情報システムへの多額の投資、等のいくつかのハードルにあります。早くからこのような人財やシステムに投資してきた企業と、そうでない企業の差が表れつつあります。

聞き手

ジェダイトさんの「データエンジニアリング」もそのような技術の一種なのでしょうか。

つるぞう

以前から弊社ではデータサイエンスとは呼ばずに、データエンジニアリングとしていました。事業の損益に重要な1~数年先を見据えた場合、ほとんどの組織や企業が活用しているデータは、いわゆるビッグデータ(*1)でありません。半導体工場などのの量産プロセスから日々出力される大量のデータも、従来の統計解析で処理できるような「ふつうのデータ」なのです。もちろん、エンジニアが研究開発や実験のために採取するデータの量に関しては、言うに及びません。これらの活用に重きを置いてきたのです。

聞き手

「データエンジニアリング」では扱うデータもやり方も違うのですね。

つるぞう

その通りですが、最近では生成AIがより身近になってきたことで、ボーダーレスになってきた感じです。当社は、この日常扱う大量のデータを、事業貢献のために迅速に利活用するための「データエンジニアリング」を推し進めています。これらに用いる手法は、従来から活用されている統計解析や信頼性工学はもちろん、実験データを飛躍的に効率的に採取し、製品やプロセスを迅速で改善・最適化するための品質工学を含みます。特に品質工学は日々進歩しており、また一般には難解と考えられているため、活用すべきである製造業での普及は遅々としています。さらに、生成AIを活用すれば、商品企画やアイデア発想は飛躍的に効率化できます。

聞き手

逆に言えば、データエンジニアリングを駆使できれば他社や諸外国と差別化が図れるとうことですね。

つるぞう

そういうことです。ただし改善や問題つぶしだけでなく、新しい価値の創造が必要です。データエンジニアリングのさまざまな手法を駆使して、活用できるデータを増やしていくことで、製品の価値向上(性能・品質)、生産性向上、ロス低減、などの事業貢献を地に足をつけて加速しることで、これまで無駄にしていたリソースが生まれます。そのリソースをより価値を生み出す仕事に振り向ければよいのです。

聞き手

統計解析や品質工学を活用するコンサルティングは従来もあったかと思いますが。

つるぞう

当社は「超実践品質工学」などの独自の方法論によって、分かりやすく、成果につながる「データエンジニアリング」で製造業をお手伝いします。また最近では、生成AIを活用した品質機能展開QFDや、アイデア発想などにも力を入れています。

聞き手

それによって、業績向上・顧客満足、ひいては世界競争力強化、日本産業の復興につなげていくということなんですね。

つるぞう

それが、当社の使命と考えています。

聞き手

ありがとうございました。


*1)「3V」と言われる、「Velocity:高速に更新され」、「Variety:広範囲・非定形なデータ」であり、結果として「Volume:大量」となるデータのこと。

本ウェブサイトのモデル写真はイメージです。


2025/07/27

「まず身近なデータを解析できるようになりたい」などにお応え!

  株式会社ジェダイトでは設計品質やデータ解析にかかわる、コンサルティング顧問契約、設計品質リーダ育成、社内研修、各種セミナー講演、解析ソフトウェアのご紹介・販売まで、多岐にサポートいたします。

 Amazonの経営工学カテゴリで1位となった「これでわかった!超実践品質工学」(増刷継続中)の著者で技術士の、つるぞうこと鶴田明三が直接指導。

 前職の大手電機メーカから28年間培った経験とオリジナルのノウハウ・メソッドで、数々の品質改善、生産性向上、約1000名の設計品質リーダ育成の実績を挙げてまいりました。

 これまでのコンサルやおセミナーでは、数々の肯定的な評価をいただいております。オンラインセミナーも実施中。

 弊社では下記のようなご要望にお応えしております。

 ☑製品設計向上、製造プロセス改善、市場クレーム未然防止などの活動を支援してほしい
 ☑技術者の品質工学や統計解析のスキルアップを図り、実務に展開したい
 ☑技術者の社内教育の体系を作成し、運用したい
 ☑初心者を対象に、まず身近なデータを解析できるようになりたい
 ☑品質改善活動を牽引できる次世代のリーダを計画的に育成し、大きな事業成果をあげたい
 ☑マネージャやエキスパートの設計品質、開発テーマ企画等のスキルアップを図りたい
 ☑社内に設計品質(品質工学等)の啓蒙を図りたい
 ☑製造工程やマーケットから収集した膨大なデータを解析したい、活用したい
 ☑新製品、新技術、新サービスのアイデアを発想、企画したい   …等々

お問合せは下記リンクまで!

2025/07/26

【製造DX・検査自動化・プロセス予防保全】MTシステム 入門・演習コース(オンライン)

 ものづくりDXやAI/IoT時代の製造DX、検査自動化、プロセスやプラントのモニタリング・予防保全等に必修といえる、パターン認識手法「MTシステム(マハラノビス・タグチシステム)」を、御社内で入門から学べます。また、高速・高精度解析ソフトウエアを用いての演習も行えます。オンラインセミナー実施中。

さらに、実務ですぐに活用できるように、演習で使用している、アングルトライ社の高精度高速解析ソフト(127項目・10,000データ版、定価125,000円税別)を1ライセンス進呈の限定特典つき。
こちらからパンフレットをダウンロードいただけます。

実施形式 オンライン講義形式、15名様程度まで受講可能。Excel付きのPCを1~2名に一台ご用意いただきます。
特 典(数量限定) すぐに実務で活かせる!演習で使用した、アングルトライ社の高精度高速解析ソフト(127項目・10,000データ版、定価125,000円)を1ライセンス進呈。その他、多数特典あり。詳細パンフレットにて。
費 用 345,000円(1日間)+消費税。テキスト・ツール類費用、日当等の一切の費用を含みます。見積書をお問合せフォームよりご用命ください。

2025/07/21

AI活用や設計DXに走る前に!重要な事業改善・実践テーマの設定

 社長から「とにかくAIやDXで何かやれ」「せっかく導入した技術情報システムを活用しろ」と言うような、手段先行でのテーマ設定が散見されます。もちろんこれらの手段は活用方法によっては、大きな効率化や品質改善、価値向上をもたらすことができます。しかしそれは、テーマ設定ありきなのです。ツールに振り回されないようにしましょう。

 事業改善、実践テーマを設定するときに事なことは、より上位のレベルがないがしろにされ、手法の枝葉末節議論や、目的と手段のはき違えになっていないかに留意すべきということである。いくら性能や良く、ばらつきの少ない製品を効率よく作ったとしても、それが売れなければ全く意味がないのだから。


LEVEL1 事業性の問題・・・コンセプトデザイン
 その製品やサービスがお客様に受け入れられて、製品が売れ、もうかるのかどうか、事業が継続できるのかどうか。つまり、企画の問題である。「よい品質」とは、顧客の要求に合致していることに他ならないので、すべてのスタート点はここにある。手段ではなく、どのような機能、どのような効用の製品やサービスを提供していくのかというテーマである。管理技術ではQFD(品質機能展開)、アイデア発想法、企画の7つ道具などがそのツールとなる。市場調査の手段として、IoT、ビッグデータ、AIを活用するデータサイエンスの分野も喧しい。なお、品質工学では「よい品質」における「価値・効用」の部分、すなわち「機能そのもの」は扱っていない。

LEVEL2 実現性の問題・・・システムデザイン
 顧客の要求が分かり(あるいは想定でき)、目標とする製品やサービスが定義できれば、次にそれを技術的に実現する必要がある。いわゆる研究開発による機能の実現、性能・エネルギー効率の確保の問題である(要求性能に信頼性やコストや環境性等が含まれることも多い)。これはできるだけ企画に先行するほうがよい。新しい方式を立案(発明、流用)し、どのような方式が良いのかを比較検討する。コンピュータシミュレーションや部分的なプロトタイプによる実験も含む。技術者の固有技術、知識、経験、センス、意欲などがモノをいう世界だ。最終的には特許などの知的財産権の独占につながるのだから、手法だけで答えが出る世界でないのは明らかだ。管理技術では、TRIZ、アイデア発想法などがそのツールとなる。信頼性の机上検討ではFMEA、FTAなどの信頼性工学を活用する。原理やメカニズムを解明するフェーズでは実験計画法や統計的手法を用いることもある。

LEVEL3 評価の効率化の問題・・・機能性評価
 考えたシステムの妥当性(特に機能の安定性)を効率よく確認できなければ、それを効率よく比較・改善することはできない。また、開発・設計の初期段階では、性能は見えても信頼性や寿命が分からないことは多い。長時間の信頼性試験、寿命試験に頼らずにこれらを短期間で見極めることは、開発の効率化に大きく寄与する。また、規定の開発期間内に多くのトライアンドエラーが可能となり、性能や信頼性のレベル向上にも寄与する。管理技術では品質工学の機能性評価(機能定義、ノイズ因子、SN比)がそのツールとなる。

LEVEL4 改善の効率化の問題・・・パラメータ設計
 同じシステム内においても、寸法や材料などの設計パラメータの条件変更により特性(ばらつきや平均値)を改善できる場合が多い(特に初めて採用したシステムの場合)。設計パラメータの条件の組合せの評価を効率的に行いたいというニーズがある。そのため直交表を用いることが多いが、一部実施実験である直交表での最適条件(候補)がはたして、実際の(仮想的には全条件を実施した場合の)最適条件と一致するのかどうかが問題となる。これを再現性という。すなわち、どこまで改善できるかはLEVEL2の基本設計にかかっているが、それを効率よく改善できるかどうかは、LEVEL3の評価の問題と、LEVEL4の再現性の問題である。管理技術では品質工学のパラメータ設計(機能性評価に加えて、直交表、要因効果図、確認実験、その他再現性確保のための手法)などがそのツールとなる。品質工学の研究会等ではいきなりこのレベルの話から入ることが多いと感じる(もちろん前提がきちんとあって、説明できるのなら問題はないのだが、直交表などのツールに振り回されているものも散見される)。

 これ以降にも詳細設計に入ってからの各スペックのバランスやトレードオフの問題もある。これらは多目的最適化や許容差設計の分野となる。事業ありき、システムありきでの仕事が中心の場合、このレベルの課題が出てくることは確かである。詳しく知りたい方は弊社のセミナーやコンサルを利用いただきたい。

2025/07/19

 普段は設計品リーダー向けのお手伝いを中心にしていますが、京都府や愛知県のメーカー様で若手技術者向けの設計品質講座(6回コース)を実施しました。最後に受講生より各自感想やコメントをいただきました。その中で、


「もっと早く知っていればよかった!」

という感想が多かったです。
そりゃそうです。これまでは自己流の開発の進め方、データの取り方で、不十分な解析しかできておらず、非効率や手戻りのムダだらけだったわけですから。



対象は、統計的手法初心の若手技術者中心で、内容は以下のようなカリキュラムです。初めてでも無理なく中級クラス(実務で活用できる)に到達できます。後半の3回は各自のデータ分析の具体的相談にのり、ディスカッションを通じて理解を深めます。

6回コース(月各1日6時間)
1,2回目
 統計の基礎(基礎知識から区間推定、回帰分析まで)
3回目
 重回帰分析と応答曲面法
4,5,6回目
品質工学(設計品質の重要事項、機能性評価とパラメータ設計)
※個別ディスカッション付

上記同社にてさらに受講メンバーを入れ替えて実施中です。
彼らの中から将来設計品質リーダークラスの人財が出てくることでしょう。

2025/07/18

設計DXやAI活用にも対応!設計品質リーダー育成コース

 機械系や化学系メーカー様で、設計品質リーダー育成コースを実施中! 先日、経営幹部様の前で成果報告会をさせていただきました。

ある材料加工品メーカー様の成果金額の単年度試算合計は7名で29億円となりました。他社様での同様の活動でも同レベルの効果が出ています。
幹部様より「活動にブレがない」とのお言葉をいただきました。
今後は、活動で創出したリソースを企画やR&Dという価値創出に向けていくことになります。



<前職から20年近い運営の実績!> 前職の設計品質(品質工学)を中心としたプロジェクト活動では、6年間で約900人のリーダを育成。ジェダイトではすでに大手製造業様6社、100名以上の塾生を育成(現塾生を含む)。 特に計画段階での、実践テーマの提言書作成指導が目玉です。 マインド醸成+スキルアップ(管理技術の講座)+実施提言書作成+実践 による人財育成(1年間+事後フォロー) 1期5~10名の成果試算金額は、数億~20億円以上の実績。 卒塾後は、実践活動の継続と後進育成。 このような活動を真剣に取り組みたい会社さんと、ご一緒に頑張りたいと思います。 冷やかし厳禁!意欲のある会社様のみご連絡をお願いいたします!

2025/07/16

【品質工学の神髄を6回で網羅】設計品質手法エキスパートセミナー(オンライン)

 好評の著書「これでわかった!超実践品質工学」の著者が 社内の設計品質手法エキスパートをしっかりと育成する他にはない本格的な6か月(6回)コースです! 

オンラインセミナーでも開催できます。

こちらから総合パンフレットをダウンロードいただけます。

【第1回】  品質工学の概要 
◆設計品質の重要性  ◆開発プロセスの課題とそれに対する作戦 ◆品質工学の目的  ◆本当に企業が実施すべきことは何か   ◆品質工学とは  ◆品質工学の全体像  ◆品質工学の進め方(テーマ設定から成果刈り取りまで) 

【第2回】  機能の安定性評価(1) 
◆機能とは何か、考える利点  ◆機能の考え方(基本ルールと2つのパターン)◆1秒機能(過渡特性)  ◆機能展開とスコーピング   ◆ノイズ因子とは何か ◆ノイズ因子の種類・水準・組み合わせの決め方  ◆P-diagram  ◆SN比とは何を評価するのか  ◆事例紹介 

【第3回】  機能の安定性評価(2) 
◆機能展開と機能分析の方法 ◆もれのないノイズ因子検討、 リスク未然防止の最新手法(クロスチェック付きなぜなぜ分析) ◆エネルギー比型SN比の数理と計算方法、演習  ◆事例紹介

【第4回】  品質設計と最適化(1) 
◆直交実験の実施リスクとそれに対する考え方  ◆2つの目的   ◆パラメータ設計の実施フロー  ◆制御因子  ◆P-diagram   ◆直交表とその使用目的  ◆データ解析と要因効果図  ◆確認実験と再現性  ◆実験失敗リスクの事前・事後対策  ◆事例紹介 

【第5回】 品質設計と最適化(2) 
◆パラメータ設計解析S/Wの使用方法  ◆コンピュータシミュレーション設計とその課題  ◆交互作用に対応する逐次法   ◆計算工数を大幅に減らすスノコ法(逐次ノイズ調合法)   ◆本当の制御因子を見つける方法  ◆事例紹介 

【第6回】  役立つ手法と推進展開 
◆多特性の場合の対応  ◆MTシステム(パターン認識による検査・管理自動化)  ◆品質二元表(最重要開発テーマの決め方)   ◆矛盾マトリクス(トレードオフがある場合のアイデア発想法) ◆品質工学の推進・人財育成方法 

※ご希望によりjほかの手法への差し替えなども可能です。

実施形式
通常の講義形式で、15名様程度まで受講可能(オンラインの場合応相談)。

費 用
1,620,000円(6日間)+消費税+旅費実費(オンラインの場合無料)。テキスト・ツール類費用、日当等の一切の費用を含みます。見積書をお問合せフォームよりご用命ください。

ご希望により、事例相談(コンサル)を内時間で含めたり、または追加することができます 。

2025/07/15

公理的設計の独立公理をさまざまな水栓方式で考察

先日の関西品質工学研究会(合宿)でもでた。公理的設計(Axiomatic Design)のうちの独立公理にかかわる話題である(以下この設計を独立設計と略す)。


独立公理では「ある機能を満たすための【設計変更】が他の機能に影響を与えない設計」としている。※独立設計に関わるのは【設計変更】であって、【信号水準の変更】ではない点に特に注意してほしい。


先日の研究会では、「レバーを縦に動かすと温度が、横に動かすと水量が変わる水栓(シングルレバー式混合水栓)」が独立設計と説明されていた。この設計の場合、【信号】(縦動作と横動作)と要求(温度と水量)はほぼ独立しているが、温度を調整する機構Sub1(カートリッジ内のセラミックディスクの回転により、冷水と温水の比率を変える)と水量を調整する機構Sub2(同じディスクのラジアル方向に並進させることで全体水量を変える)は同一のユニットに組み込まれ、お互いの機能をになう機構部品はディスクの穴部分で共有されており、【設計変更】により個別のサブ機能(温度と水量の調整)が互いに影響を受けやすい。これは独立設計ではない(穴の形状などでできるだけ独立に近づける工夫=すり合わせはされている)。そのほか研究会では「この設計は故障時のメンテナンス性が悪い」という意見もでたが、これは機構とサブ機能がCouplingしており、独立設計ではないからこそなのである。そのほか、1つのレバーで両方の調整が可能なので、子供などが誤って熱湯を出してしまう危険性も高い設計である。


それに対して、冷水用のコックと温水用のコックがついている古いタイプの水栓(ツーハンドル混合水栓)がある。これは機構や機構がもつ機能は独立している。冷水と温水の流量は個別に制御できるため、【設計変更】による機能干渉が起きにくく、サブシステムの機能単位では独立設計ということになる。しかし全体システムでの要求(全体機能)が、温度と水量の個別調整の場合、【信号】と要求は独立ではないので、使い勝手が悪い場合がある。

温度と水量が別々のレバーやダイヤルになっている水栓(サーモスタット混合水栓)は、現在の風呂場等で広く見かける設計である。この場合は、信号と要求は独立で、ダイヤルが離れているので外部からは別々の構造のように見えるが、内部ではハネなどを介して一体構造となっている。その意味でシングルレバー混合水栓と機構は異なるが、独立設計でない点は同じということになる。

独立設計でありかつ、信号と要求の関係も独立なバージョンとしては、独立チャンネル設計と呼ばれる水栓がある(分かりやすい構造図がみつからなかった)。冷水・温水それぞれに専用の流路チャンネルを設けて制御し、流量が変化しても混合比率が自動で補正されるものである。このような設計は一般に高価なので、価格まで含めた要求を考慮にいれると、独立設計だからといって必ずしも最適とは限らない(ユーザに要求レベルによって最適は異なる)。

2025/07/14

【ポイント解説】DSD計画とD-最適計画の違い

正則化回帰などで用いられる過飽和のDSD(Definitive Screening Design)と、応答曲面法などで用いられるD-最適計画(D-optimal design)の違いを整理しておこう。いずれも直交表より効率的に(少ない実験数)で2次効果や2因子交互作用の分析を行うのに使用するが、これらは目的も構成方法も異なる実験計画手法である。以下に両者の違いを体系的に解説する。



1. 概要比較

手法 DSD(Definitive Screening Design) D-最適計画(D-optimal design)
主目的 少ない実験数で主効果と非線形性の兆候をスクリーニング 与えられたモデル式で推定精度(情報量)を最大化
設計対象 主に量的因子(連続)/スクリーニング段階 任意(量的・カテゴリ・混合)/最適化段階
因子数との関係 2k+1点(非常に効率的) モデルと制約に応じて点数が変動(柔軟)
設計原理 構造的・直交性を重視(3水準) 情報行列の**
解析モデル 一般に線形+2乗+少数交互作用 任意の多項式/任意の交互作用を含むモデル
代表用途 実験初期のスクリーニング 精密最適化・製造条件設定など

2. DSDの特徴

  • すべての主効果が非交絡(他の効果と混ざらない)

  • 少数の実験で、主効果・2乗項・一部交互作用が推定できる

  • 点数が固定(2k+1)で、自動生成しやすい

  • 通常は応答曲面法(RSM)よりも前段階で使う


3. D-最適計画の特徴

  • モデル式(例:Y = A + B + AB + A² + B²)をあらかじめ指定

  • モデルのパラメータ推定の分散を最小化する点の組合せを数理最適化で選出

  • 点数は固定されず、柔軟な設計が可能

  • 複雑な制約(因子水準の範囲やカテゴリ因子)にも対応


4.  併用も可能

  • DSDで主要因子を見極めた後に

  • その結果をもとに D-最適計画(またはRSM設計)で精密最適化

という**段階的アプローチ(スクリーニング → モデリング → 最適化)**は、実務上とても有効。


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2025/07/13

【ポイント解説】過飽和計画におけるT法と正則化回帰の違い

過飽和計画における回帰分析では、説明変数の数が実験回数(サンプル数)を超えるため、通常の重回帰分析では解が一意に定まらず、多重共線性の問題が生じる。これに対処するために登場するのが、MTシステムのT法(およびMSR)と、正則化回帰(LassoRidge)である。それぞれの違いと優劣を比較してみよう。



1. T法(MTシステム)とは


手法名 T法(Taguchi Method)またはMSR(Multiple Single Regression)
基本原理 各説明変数と目的変数の関係を個別に単回帰で求め、相関を無視して合成
利点 - 項目数がサンプル数を超えていても計算可能
- 多重共線性の影響を受けにくい
- 寄与度の可視化が容易
欠点 - 相関を無視するため、交互作用や冗長性を考慮できない
- 統計的な厳密性に欠ける場合がある

2. 正則化回帰(Lasso・Ridge)とは

手法名 Lasso回帰(L1正則化)、Ridge回帰(L2正則化)
基本原理 回帰係数にペナルティを課すことで、不要な変数の影響を抑制
利点 - 多重共線性に強い
- モデル選択が可能(Lassoは係数をゼロに)
- 統計的に厳密で汎化性能が高い
欠点 - サンプル数が極端に少ない場合は不安定
- ハイパーパラメータ(λ)の調整が必要
- 実装に統計ソフトやスキルが必要

3.  優劣の比較

観点 T法(MT) 正則化回帰
多重共線性への耐性 ◎(相関を無視) ◎(ペナルティで制御)
統計的厳密性 △(経験則ベース) ◎(理論的に確立)
モデル選択 △(寄与度分析) ◎(Lassoで自動選択)
実装の容易さ ◎(Excelでも可能) △(Python/Rなどが必要)
解釈性 ◎(寄与度が明確) ◯(係数で判断)
汎化性能 △(過学習の可能性) ◎(交差検証で制御)

結局、どちらを使うべきか?

  • T法(MTシステム)は、実験回数が極端に少ない場合や、簡易な解析を素早く行いたい場合に有効。計算が簡単なため、Excelシートへの実装は容易。
  • 正則化回帰は、統計的な信頼性や予測精度を重視する場合に適する。特に、Lasso回帰は変数選択を兼ねるため、過飽和計画において非常に有用である。ただし、専用のソフトやプログラミングが必要となる。
  • パラメータ設計の応用で、直交表の代わりに過飽和の計画(カンファレンス行列)を使用する場合、これらの分析手法が有効となる。

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技術者のリカレント教育もお任せください! 

2025/07/12

【交互作用の問題に特化!】パラメータ設計応用コース(オンライン)

  交互作用への対応、多目的の最適化など、実践で悩ましい点に特化!パラメータ設計ツール付き!  オンラインセミナーでも開催できます。

※初心者の方、久しぶりに学びなおしたい方は、まず初級コースの受講をお勧めします!

こちらから総合パンフレットをダウンロードいただけます。


交互作用への対応方法① 
 ●パラメータ設計と交互作用 
 ●計画時の注意点(特性値、ノイズ、制御因子、計測) 
 ●制御因子の効果をあらかじめチェックする方法 
 ●再現性が得られない場合の緊急手段 
 ●コンピュータシミュレーションによる交互作用撲滅法 
 ●逐次法よりさらに効率よく設計するノイズ因子逐次調合法 
交互作用への対応方法② 
 ●ほんとうの制御因子とは何か 
 ●本当の制御因子を実験的に探索する方法
多目的問題への対応方法 
 ●機能を1つに決められないケース(化学・素材産業等) 
 ●多目的な機能や物性値の統合的設計方法 
 ●パラメータ設計ツールの説明、全体質疑応答 

実施形式
通常の講義形式で、40名様程度まで受講可能。 

費 用
540,000円(2日間)+消費税+旅費実費(オンラインセミナーの場合不要)。
テキスト・ツール類費用、日当等の一切の費用を含みます。
見積書をお問合せフォームよりご用命ください。
ご希望により、事例相談(コンサル)を内時間で含めたり、または追加することができます 。

2025/07/11

加工・造形などの生産技術の2つの機能、分かりますか?

 溶接や接着などの接合技術、切削や穴あけなどの加工技術、成形や鋳造などの造形技術はいずれも生産技術と呼ばれるもので、ものづくりの基本となる技術である。


品質工学でもこれらの生産技術を対象とした機能性の評価や安定性の設計が実施されている。
生産技術の機能性評価、あるいはパラメータ設計の場合、評価対象が2種類あることを押えておくと、考えが整理できる。

1つは、(1)生産プロセスを対象とした評価、もう1つは、(2)生産したモノ自身を対象とした評価である。

溶接技術を取り上げた場合の機能を考える。(1)の場合の対象機能は、溶接機の機能である。溶接機のエネルギーの流れがスムーズで安定しているかどうかである。電力を効率よく接合部での熱に変換して、溶融(+冷却)させる機能である。(2)の場合は溶接した接合体自身の機能である。接合体に構造的な強度が求められるのであれば、荷重-変位特性や、保形性のような機能の安定性を評価することになる。

ノイズ因子(誤差因子)も変わってくる。(1)の場合、製造工程内のばらつきがノイズ因子となる。すなわち人・設備・材料・方法の4Mなどのばらつきである。いつも同じように作れるかどうかの評価である。(2)の場合、その接合体が製品に組み込まれて使用されるときの要因がノイズ因子である。使用条件や環境条件の外乱が中心となる。これはいつでも、どんな条件でも同じように使えるかの評価である。

これらの2つの評価は立場も異なる。(1)の評価は主に溶接機メーカの仕事であり、そのための装置の設計や改善に関係する。(2)の評価は溶接機を使用してモノを作る立場の仕事であり、要求(強度、剛性など)されたモノの設計や改善に関係する。

設計や開発のコンサルするときは、これらをまとめて下表のように説明している。


2025/07/09

統計手法の初心者の方対象! 統計解析セミナー(オンライン)

メーカ様から要望の多い、統計手法教育を実施しております。

 まったくの統計手法の初心者の方を対象に、1コマ3時間全12回で「仕事に使えるスキル」を学ぶことができるコースです。オンラインで接続して数名~20名程度までを対象に講義、演習を実施します。演習では弊社提供のExcelツールを使用し、セミナー後も自由にご使用いただけます。

QC検定(2~3級)対策にも最適です。

標準的なプランで1コマ3時間講義・演習、さらにオプションで個別相談を追加することも可能です。
(1日に2コマまとめて実施することも可能)

こちらからセミナーの総合パンフレットをダウンロードいただけます。

お問い合わせ
https://data-engineering.co.jp/contact/

<標準的なカリキュラム>
第1回 統計的手法の概要(考え方、学習のメリット)
第2回 データの種類、データの変換、母集団とサンプル、基本統計量
第3回 QC7つ道具、工程能力指数
第4回 管理図、正規分布と確率
第5回 大数の法則、中心極限定理、平均値の信頼区間
第6回 平均値の有意差検定、t分布
第7回 2つの分散の比の検定、F検定(分散分析へのブリッジ)
第8回 実験計画法①:フィッシャー三原則、平方和の分解、自由度、一元配置
第9回 実験計画法②:二元配置(繰り返しなし、あり)
第10回 実験計画法③:直交表の場合、品質工学(パラメータ設計)との違い
第11回 相関分析(単回帰分析)
第12回 重回帰分析、T法

技術者のリカレント教育もお任せください!  

2025/07/08

Amazon1位獲得「これでわかった!超実践品質工学」:成果を出すための工夫盛りだくさん!

 これでわかった!超実践品質工学 ~絶対はずしてはいけない 機能・ノイズ・SN比の急所~」を日本規格協会から出版しました。おかげ様で現在第8刷まで増刷されております。

 本書の最大の特徴は、現場の技術者、設計者に品質工学を実践して、成果を出していただくということです。そのための工夫がたくさん詰まっています。

 

 まず、本書で紹介する「機能の安定性評価(機能性評価)」では、いわゆる直交表実験を行いません。品質工学というと、すぐに「直交表での多数の試作と実験」を思い浮かることが多いのですが、忙しい現場の技術者、今日・明日結果を必要としている技術者にはハードルが高いことは否めません(腰を据えた技術開発は必要ですが、そのうえでこのような事態になることも多いのです)。本書では、機能性評価を設計・開発の上流段階で用いて、製品の使用段階における実力を、「早く・速く」見える化することで、設計の完成度を上げ、開発の後工程や生産、使用段階での不具合や手戻りを防ぐことを考えます。

 また、品質工学に取り掛かると、待ち受けているのが「基本機能を考える」ということです。本書では「基本機能」という用語や概念をいったん脇において単に「機能」といいます。その上で、機能を定義するための、「基本的な考え方」を示し、さらにオリジナルの2つのパターンについて、これでもかというくらい詳しく説明しています。なぜなら、この分類こそが性能と安定性の違いを理解し、調整(チューニング)とは何かを理解し、またパラメータ設計における「2段階設計」とは何かが理解できるからです。

 ノイズ因子(誤差因子)も機能と並んで重要です。本書では外乱、内乱に分類して整理する方法に加え、網羅的なノイズ因子のリストを公開しています。これをノイズ因子抽出のチェックリストとして使えば、さらに漏れが少なくなります。多数のノイズ因子の候補からどれを因子に選定すべきかというガイドラインも示しています。候補から漏れた因子についても何等かの対応をとる必要がありますので、そのような対応が取れるのかの分類も体系的にまとめています。ノイズ因子の組み合わせ方については、実物実験で有用な「ノイズ因子の調合」による、「どんなにノイズ因子数が多くても、サンプル1つで評価する方法」も提示しています。設計・開発の上流では少量のサンプル数しか用意できないことも多く、この考え方は大いに役立つはずです。

 じつは、機能定義とノイズ因子の定義を正しく行ってデータをとれば、仕事はもうほどんと終わっています。データの解析は、SN比という設計品質の指標を用いますが、正しいデータがとれていれば、あとは計算の問題です。本書では、従来よりも汎用的で計算も容易な「エネルギー比型SN比」を紹介しています。この計算ですら理解できなくても、心配しないでください。ちゃんと、SN比を計算してくれるExcel解析ツールが付録(ダウンロード版)についています。

 本書付録のExcel解析ツールを用いれば、機能性評価のSN比はもちろん、直交表を使ったパラメータ設計の解析も行えるようになっていますので、ぜひご活用ください。

 手前みそになりますが、本書は2016/10/3付けの日刊工業新聞でも紹介されました。その日の、アマゾンの経営工学カテゴリで(瞬間最大風速ですが)1位をいただきました。新聞の影響力ってすごいですね(笑)。

 本書が悩めるエンジニアの助けとなり、一人でも多くの方が品質工学を超・実践し、成果をあげられることを期待しています。日本のものづくり、頑張っていきましょう!!