正則化回帰などで用いられる過飽和のDSD(Definitive Screening Design)と、応答曲面法などで用いられるD-最適計画(D-optimal design)の違いを整理しておこう。いずれも直交表より効率的に(少ない実験数)で2次効果や2因子交互作用の分析を行うのに使用するが、これらは目的も構成方法も異なる実験計画手法である。以下に両者の違いを体系的に解説する。
1. 概要比較
手法 | DSD(Definitive Screening Design) | D-最適計画(D-optimal design) |
---|---|---|
主目的 | 少ない実験数で主効果と非線形性の兆候をスクリーニング | 与えられたモデル式で推定精度(情報量)を最大化 |
設計対象 | 主に量的因子(連続)/スクリーニング段階 | 任意(量的・カテゴリ・混合)/最適化段階 |
因子数との関係 | 2k+1点(非常に効率的) | モデルと制約に応じて点数が変動(柔軟) |
設計原理 | 構造的・直交性を重視(3水準) | 情報行列の** |
解析モデル | 一般に線形+2乗+少数交互作用 | 任意の多項式/任意の交互作用を含むモデル |
代表用途 | 実験初期のスクリーニング | 精密最適化・製造条件設定など |
2. DSDの特徴
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すべての主効果が非交絡(他の効果と混ざらない)
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少数の実験で、主効果・2乗項・一部交互作用が推定できる
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点数が固定(2k+1)で、自動生成しやすい
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通常は応答曲面法(RSM)よりも前段階で使う
3. D-最適計画の特徴
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モデル式(例:Y = A + B + AB + A² + B²)をあらかじめ指定
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モデルのパラメータ推定の分散を最小化する点の組合せを数理最適化で選出
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点数は固定されず、柔軟な設計が可能
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複雑な制約(因子水準の範囲やカテゴリ因子)にも対応
4. 併用も可能
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DSDで主要因子を見極めた後に
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その結果をもとに D-最適計画(またはRSM設計)で精密最適化
という**段階的アプローチ(スクリーニング → モデリング → 最適化)**は、実務上とても有効。
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