2025/07/14

【ポイント解説】DSD計画とD-最適計画の違い

正則化回帰などで用いられる過飽和のDSD(Definitive Screening Design)と、応答曲面法などで用いられるD-最適計画(D-optimal design)の違いを整理しておこう。いずれも直交表より効率的に(少ない実験数)で2次効果や2因子交互作用の分析を行うのに使用するが、これらは目的も構成方法も異なる実験計画手法である。以下に両者の違いを体系的に解説する。



1. 概要比較

手法 DSD(Definitive Screening Design) D-最適計画(D-optimal design)
主目的 少ない実験数で主効果と非線形性の兆候をスクリーニング 与えられたモデル式で推定精度(情報量)を最大化
設計対象 主に量的因子(連続)/スクリーニング段階 任意(量的・カテゴリ・混合)/最適化段階
因子数との関係 2k+1点(非常に効率的) モデルと制約に応じて点数が変動(柔軟)
設計原理 構造的・直交性を重視(3水準) 情報行列の**
解析モデル 一般に線形+2乗+少数交互作用 任意の多項式/任意の交互作用を含むモデル
代表用途 実験初期のスクリーニング 精密最適化・製造条件設定など

2. DSDの特徴

  • すべての主効果が非交絡(他の効果と混ざらない)

  • 少数の実験で、主効果・2乗項・一部交互作用が推定できる

  • 点数が固定(2k+1)で、自動生成しやすい

  • 通常は応答曲面法(RSM)よりも前段階で使う


3. D-最適計画の特徴

  • モデル式(例:Y = A + B + AB + A² + B²)をあらかじめ指定

  • モデルのパラメータ推定の分散を最小化する点の組合せを数理最適化で選出

  • 点数は固定されず、柔軟な設計が可能

  • 複雑な制約(因子水準の範囲やカテゴリ因子)にも対応


4.  併用も可能

  • DSDで主要因子を見極めた後に

  • その結果をもとに D-最適計画(またはRSM設計)で精密最適化

という**段階的アプローチ(スクリーニング → モデリング → 最適化)**は、実務上とても有効。


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