先日の関西品質工学研究会(合宿)でもでた。公理的設計(Axiomatic Design)のうちの独立公理にかかわる話題である(以下この設計を独立設計と略す)。
独立公理では「ある機能を満たすための【設計変更】が他の機能に影響を与えない設計」としている。※独立設計に関わるのは【設計変更】であって、【信号水準の変更】ではない点に特に注意してほしい。
それに対して、冷水用のコックと温水用のコックがついている古いタイプの水栓(ツーハンドル混合水栓)がある。これは機構や機構がもつ機能は独立している。冷水と温水の流量は個別に制御できるため、【設計変更】による機能干渉が起きにくく、サブシステムの機能単位では独立設計ということになる。しかし全体システムでの要求(全体機能)が、温度と水量の個別調整の場合、【信号】と要求は独立ではないので、使い勝手が悪い場合がある。
温度と水量が別々のレバーやダイヤルになっている水栓(サーモスタット混合水栓)は、現在の風呂場等で広く見かける設計である。この場合は、信号と要求は独立で、ダイヤルが離れているので外部からは別々の構造のように見えるが、内部ではハネなどを介して一体構造となっている。その意味でシングルレバー混合水栓と機構は異なるが、独立設計でない点は同じということになる。
独立設計でありかつ、信号と要求の関係も独立なバージョンとしては、独立チャンネル設計と呼ばれる水栓がある(分かりやすい構造図がみつからなかった)。冷水・温水それぞれに専用の流路チャンネルを設けて制御し、流量が変化しても混合比率が自動で補正されるものである。このような設計は一般に高価なので、価格まで含めた要求を考慮にいれると、独立設計だからといって必ずしも最適とは限らない(ユーザに要求レベルによって最適は異なる)。
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