2011/06/05

T法およびその改案法の汎化能力の検証(QES2011予告)

 今年も品質工学会の研究発表大会が近づいてきた(6/22~23)。

 今回で6回目の発表(うち2回は壇上)となるが、2008年に「新SN比の研究(1)~(5)」を発表して以来、昨年までSN比の考え方やまたそれに付随した機能表現の分類などを提言してきた。議論はまだ収束を見ていないが、一応報文として学会誌に載ったこと、また一定の賛同も得られたことで(もちろん反駁があればいつでも議論は受け付ける)、今年度は違った角度の提言を行うこととした。
 
 以下にタイトルと発表要旨を学会HPより転載する。

発表No.37 T法およびその改案法の汎化能力の検証


はんだ接合部の自動検査工程の開発を例に、T法(1)および、2項目間の相関からの乖離を追加した改案法[1]を対象に、タグチの汎化能力(未知データに対する総合推定精度)を検証した。本検証の範囲では、改案法[1]によって信号空間の推定精度が向上する場合があるが、汎化能力は高まるとは限らなかった。またいずれの方法でも項目選択によってタグチの汎化能力が向上するとは限らなかった。また、他の改案法 [報文で発表]を使用した結果、および上記はんだ接合自動検査工程開発以外の事例についても考察する。なお本開発において、改案法で最適化を行ったところ、従来のはんだ接合部目視検査のほとんどを正しく自動判定でき、検査コスト低減に貢献できる目処を得た。
[1]鐡見ほか:T法で相関を考慮する方法、 第15回品質工学研究発表大会論文集 (2007)

 ご覧のとおり、MTシステム(T法)における、鐡見氏の提言に対する再考察、追加提案である。鐡見氏の論文は学会提出中とのことであるが、なかなか掲載されない。下名としては鐡見氏の提言は議論を深める価値があると思うし、またほかのパターン認識手法からMTシステムを相対化するための重要な切り口の1つであるとも思っている。今回、下名の発表により、鐡見氏の提言にスポットライトをあてなおして、さらに考察を進め、今後の再議論を促したしたつもりだ。また下名からも改案法についても提言を行っている(さらなる検証は必要であろう)。

 学会発表のカテゴリーとしては、「MTシステム」ではなく、なぜか「接合技術」に入れられてしまったが(はんだの例を引いて解析したせいであろうか)、内容はMTシステムの研究なので、興味のある方はぜひご聴講ください。ポスターセッションですので、直接の議論をしましょう。

 発表大会の詳細は品質工学会から。
http://www.qes.gr.jp/

以上、学会の評議員としての大会への集客も意図した宣伝でした。

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