あるメーカー様より以下のような質問があり、他の方にも役立つFAQだと判断しましたので、Q&A方式で紹介しますね。
Q.
品質工学を社内で活用・推進するにあたり、そのベースとして統計的手法の習得は必須なのでしょうか。
A.
おそらく、「品質工学の前に統計的手法を」という意見の背景には、
「品質工学とは、直交表を用いてとったデータを高度な統計解析によって“料理”し、有益な知見を得るための手段」
との認識や、実験計画法との混同があるのではないかと推察されます。
結論から言えば、ご質問の順番にこだわる必要はありません。「統計的手法→品質工学」という段階的なものではなく、これらは両輪、相補的なものであると考えます。仕事の内容によってどちらかに重点を置く場合もあるでしょう。
品質工学(特に弊社が推奨する超実践品質工学)は、統計的な考え方ではなく、
①技術的な考え方(機能定義)と、
②お客様の使用条件・環境(ノイズ因子)をベースに、
品質の見える化・評価方法について、効率的な新しい切り口を与えるものです。それによって、開発設計の効率化と、新しい技術についての着想を得るためのものです。
よって統計的手法は、品質工学“活用“のベースとはなりません。
(SN比の計算もごく初歩的なもので、極論を言えば、Excelで計算しても品質工学の本質を損なうことはありません)
一方で、開発設計における因果関係の分析や、製造工程管理、開発・製造中の不具合解析を行う上では統計手法の知識が必要となります。
つまり、
統計手法=データが“どうなっているか”を数学的に表現する
品質工学=どうすれば効率的なデータを取れるかを技術的に考える
と言えるでしょう。
世の中の品質教育で「統計手法→品質工学」のような段階的な体系になっていることが多いですが、これは、統計手法の上級編として「実験計画法」が位置づけられることが多く、その類推から品質工学が統計手法の上級編と誤解されるのではないでしょうか。
弊社では統計的手法と品質工学(と信頼性手法)をあわせて「データエンジニアリング」と言っており、目的に応じて使い分けたり組み合わせたりすることが必要と考えております。hコンサルなどのご興味がありましたら、下記のリンクをご参考ください。
品質工学(タグチメソッド)のコンサル・研修・セミナー・講演のことなら
株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)
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