2015/07/22

開発設計の現場と品質工学

■品質工学の立場(理想)とは

「知っていること、想定できること」に対する設計は織り込まれており、それでもなお、想定外が無いように機能性評価を実施するという立場である。食品工場では毒が入ることは想定していないのだから、万一に備えて用水路に鯉を放しておき、不測の事態を察知するという考え方に近い。

すなわち、プロなら以下はあたりまえであり、品質工学で議論すべき対象でないとする。

・お客様の使用条件や環境に関して、知っている、想定できる情報はほぼすべて収集できている
・技術者は製品の創造主なので、外乱や内乱がシステムにどのように影響するのかを当然知っている
・そのようなリスク情報は事前に分かっているので、信頼性設計はすべて行われている
・過去に発生した不具合は分かっているので、再発防止的な対策はすべてとられている

つまり、ノイズ因子の抽出には「機能変動や故障メカニズム」は不要であり(なぜならすでに検討済なので)、お客様の使用条件の網羅的な組み合わせのみを考えればよいと。

■しかし、残念ながら実際の設計開発現場では・・・

技術伝承、検討時間、能力等の不足、縦割り業務の等の問題もあり、
不充分な情報収集、不充分な設計リスク抽出(レビュー)、不充分な信頼性設計、不充分な再発防止対策、 ・・・となっているケースがある(どれくらい「不十分」かは程度問題である)。

そこで、機能性評価を設計開発の上流に適用することで、もともとの「想定外」だけでなく、上記のような不充分な対策、見落とし、能力不足、時間不足、・・・等々の現実の対策(未然防止)をやろうという考え方がでてくる。つまり、早く設計の間違いやミスに気付くためのツールとして、機能性評価をうまく使う。

対策を打つ(本来やるべき設計内容とする)ためには、機能変動や故障のメカニズムの知識が必要。つまり何に対し?て弱いのか・対策が必要なのか?外乱の影響はシステムのどの部分に波及するのか・・・?などを知っておく必要がある。つまり、なぜなぜ分析のようなの因果関係の分析や知見も有用ということである。

推進者やコンサルタントはこのあたりの課題意識、現場感覚をもつ必要がある。

8月度(8/1(土))の関西品質工学研究会ではこのあたりのご意見をいただき、議論したい。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

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