2006/01/28

当て物の技術開発

開発や設計というのは、規格値に入ったか入らなかったという当て物ではなく、限られたリソースと能力の中でいかに良い技術(この指標については品質工学を知っている読者なら説明は必要ないだろう)を見出すかという「技」である。
下流の工程や市場という、およそ予測不可能なものを対象として、制御因子の水準の組み合わせによりいかにノイズからの影響を抑え、機能の働きを良くするかという「操作」の技である。
いかにも自分は崇高な技術をやっているという者でも、その実はほとんど当て物に近いようなことをやっている輩もいる。いろいろ時間をかけて因果関係を調べたりしてやっているが、これは結局「当て方」を研究しているのである。品質工学は当て方ではなく「やり方」を研究することによって、限られたリソースと能力の中でいかに良い技術を見出そうとしているのである。
新しい技術開発を行うときに、前回の技術開発の「やり方」を反省して、次に生かしているというような人はどれくらいいるだろうか(固有技術の蓄積の話ではない)。そういうことに気がつかないひとがあまりに多すぎる。
これは「できない」というより「知らない」と言ったほうがよいのかもしれない。

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