2006/01/30

戦略的な問題解決とは

品質工学の目指す技術開発は、戦略的だという。
これは以下のドラッカーの言葉を引けばその意味するところが理解できる。

「個々の問題としてでなく、戦略的に、一般論的な問題として考えなければならない」

つまり、品質問題というのはその製品や使われ方、環境などによって表層に起こる現象はさまざまである。
これを個別に解決するヒーローは、職場では重宝がられるのかもしれないが、それではいけないと言っているのである。
さまざまな品質問題の原因には共通性がある場合が多いということで、技術の場合でいえばすべて「機能性」(技術の働き)のまずさから来ているものであるということだ。
機能性が悪く、表層の品質特性のばらつきが大きいと、全数検査を行うため工数が増えたり、熟練者による調整作業が必要だったり、チャンピオンデータへの難しい調整が必要だったりする。もちろんこれは工程内だけにとどまらず、工程内の許容差に入ったと思って出荷したものが、市場環境ストレスで不具合となり、大きな損失を発生させる。

ドラッカーの指摘はまっとうだが、田口博士はそれを技術開発の分野で考えて、基本機能やSN比という具体的方法で解決策を提言している。我々がパラメータ設計を通り一遍トレースするのはそれほど難しいことではないかもしれないが、最初にこのような田口の評価システムを思いつくというのは、並大抵のことではない。パラメータ設計が一設計手法のように誤解されていることが残念である。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

田口博士がタグチメソッドを考えた背景は我々凡人には想像できないほど奥が深いものですね。
確率や統計の分野の矛盾を追及してタグチメソッドを確立したのですが、過去の尤度法やΧ^2検定などフィッシャーの考え方に拘っていたら到底できなかったことです。まだ何か新しいことが発表されると思いますが、天才という以外の何ものでもないものと思います。東洋哲学が根底にあるのだと思いますが、ご本人は全く意識がないのですからほんまもんの哲学者なのです。