今世紀に入ってアナログの標準SN比、いわゆる21世紀型のSN比 (Sβ-Ve)/VN または 1/(VN/nr) が提言されて久しい。この式は単なる20世紀型のSN比からの数式の修正ではなく品質工学による評価方法、設計方法の維新である。
田口博士いわく、
「理想機能からの機能性評価を中止し、SN比は基本機能の出力のばらつきのみに絞り、2段階設計することが21世紀の品質工学である」(品質工学、Vol10,No.2)
いまさら説明するまでもないが、標準SN比によって信号の非線形効果とノイズの効果を分けて評価できるようになり、それによって下流の再現性を確保することが狙いである。自由な曲線の目的機能のまま評価できる便利なSN比という位置づけではないのである(自由な曲線との差は2段階目のチューニングで調整する)。
上記引用にあるように評価するのは「基本機能」であり、それが直線に限らないということである。
この提言によって、品質工学の評価方法は変化している。購入部品の評価など制御因子がない場合の機能性評価などでは20世紀型の評価が使われるケースが残るが、基本的に設計が絡む場合は、21世紀型でやりましょう、という変化が生じたのだ(このあたりは「上級タグチメソッド」(中野惠司ら)に明快に説明されている)。
翻って、エネルギー比型SN比の核心は、現在スタンダードとなっている21世紀型の標準SN比との比較の問題となる。そこには”真数が無次元であること”、”技術的意味の違い”、”下流再現性の考え方に対する違い”などの問題は尖閣諸島の領土問題同様、そもそも存在しない。自由度nk-1だけデータ数の影響を受けるかどうかと、損失関数などのほかの品質工学の尺度との整合がとれるかどうかということだ。
以上、品質工学は基本的に21世紀型の評価方法を基準に議論しましょう、という確認でした。
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