2011/10/22

外乱の代用としての内乱なのか、その逆なのか

 ノイズ因子の話である。いろんな教科書を読んできたが、内乱(劣化や個体ばらつき=寸法や物性値の変化・変動)と外乱(市場での使用用件・使用環境など)の区別が書いてあって、その関係が書いてあるものは大抵、以下のような記述がある。

「実物の機能性評価では外乱を与える(ことが多い)が、シミュレーションによる評価では、外乱を与えることができないので、外乱の代用として内乱を与える

 逆なのではなないだろうか。本来、ロバストネスを確認・確保するためには、未知の外乱を含めた将来/未知の予測、未然防止の考え方が入っていなければならないはずである。そのためには、外乱を想定するのではなく、結果系のノイズとしての内乱を考えて評価する、というのが原則ではないだろうか。

 コンピュータが発達する以前の評価では、実物によるそれが多かったため、本当はさまざまな結果としての内乱の組み合わせを取りたかったのだが、実物で内乱を取ることは容易ではなかったため(理由は少し考えれば分かるはず)、そのようなさまざまな内乱の組み合わせを発生できるような外乱の組み合わせで代用した、のではないだろうか(ITEQのN氏は最低10以上の外乱を考えて評価すべしと言っている)。

したがって、

 「実物では、内乱の代用として外乱を与える

のである。現在、容易にコンピュータを扱えるようになって、機能性評価もコンピュータシミュレーションで行えるようになった。その場合は、当初のロバストネスの考え方のとおり、内乱を与えればよいのである。決して、実物の評価で与える外乱の代用としての内乱ではない、はずである。

 実物に外乱を与える評価方法ほうを正と考えてしまうのは、多くの信頼性試験や規格試験が、そのようになっているからであり、その連想から「実物は外乱、シミュレーションは外乱の代わりに内乱」という倒錯した誤解が生じているように思えてならない。

 このことは細かい違いを論っているのではない。なぜ品質工学で将来/未知の予測ができるのか、未然防止ができるのか、のロジックにかかわる問題である。

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