2014/03/09

論文再現:H25技術士2次試験(経営工学-数理・情報) Ⅲ-1

学習者への支援になるかと思い、下名の試験再現論文を公開する。判定はすべてAであったが、60点以上というだけなので、これで十分かどうかは分かりかねる。ただし、口答試験では全く回答論文に対する疑義はなかったことは情報として付け加える。

問題Ⅲは2問中1問選択で、600字詰め原稿用紙3枚。時間は2時間。
ビッグデータのデータマイニングに関する問題と、新製品における市場品質データに関する問題とが出たが、前者を選択。

今年から問題の形式が少し変わったが、小問に分かれているので、何を記載すべきかは分かりやすくなった。小問で問われている1つ1つの内容に的確に答えていくことが重要である。また、見出しの数が多くなるので、アンダーラインをつけるなどして、見やすくすることも必要。分量が多いのでまず見出し(目次)を考えてから、各節の行数を見積もりながら書いていく。箇条書きを多用することで、見やすくなり、文字数の調整もしやすくなる。

3枚問題では、「1.はじめに」で主題のテーマに対する背景や定義などを述べ、最後の節「おわりに」で本技術部門の技術者としての抱負を述べると収まりがよい。


(問題文は技術士会HPより引用)

再現論文(判定A)

1. はじめに
 ビッグデータとは、単に大容量というだけでなく、①解像度が高く個別要素に関し、②リアルタイムなど生成・取得頻度が高く、③非定型・非構造であるため、結果として大規模になるデータをいう。
 近年、電子商取引データ、ブログ・ツイッター等のライフログデータ、監視用等の動画データ、位置情報等のセンサデータが大量に生成・取得されている。
 また情報通信技術や解析ソフトウェアの進展により、ビッグデータを活用して、新しい有効な知見を得ようとする動きが強まっている。

2. ビッグデータから有用な情報を抽出するための手順
2.1. 手順の例
 (1)目的を明確化する。例えば、レコメンドサービス構築のため頻出パターンを抽出したいのか、動画やツイッターからイベントを抽出したいのか。
(2)解析精度を明確化する。
(3)データを吟味する。(次節で詳述)
(4)解析手法を選択する。
(5)必要に応じて、高速化・並列化を検討する。
(6)解を吟味する。現実や固有技術と合致しているか、専門家の意見も聞く。
2.2. 重要と考える項目
 私は(3)データの吟味が重要であると考える。その理由は、使用するデータの吟味は計画段階にあたり、適切なデータを用いないと、十分に数理的手法の効果を発揮できず、期待した効果が得られないからである。
 使用するデータがどのようにしてとられたデータなのか、欠測はないか、偏りはないか、離れ値はないかなどを吟味する。不正なデータは削除、補完などを実施する(データクレンジング)。必要に応じてデータの正規化や、数量化を行う。

3. 技術的課題と提案
3.1. 情報処理の高速化・短時間化
【課題】データが多くなるとデータの転送・計算等にかかる工数が大きくなり、計算時間が大きく、コストが大きくなるという課題がある。またこれによって意思決定が遅延するという課題がある。
【提案】①統計的な誤差に留意しながらデータサンプリングを行うことを提案する。また、②数理計画問題を部分問題に分割して並列計算することを提案する。さらに、③費用対効果を勘案して、計算の並列化(グリッドコンピューティング等)を提案する。
3.2 個人情報・プライバシーへの配慮
【課題】個々のデータベースでは個人を特定できなくとも、複数のデータベースを照合することで個人が特定できる場合があり、個人情報やプライバシーの問題に配慮することが課題である。
【提案】①個人データの削除、統計化、公開や使用の遅延を提案する。②また協調サンプリングのような、似た客をクラスタにまとめ選好をそこに帰属させるような考え方の活用も提案する。

4. 私の提案の効果と潜むリスク
4.1. 情報処理の高速化・短時間化に関して
【効果】情報処理コストの削減や、計算時間が速くなることでの意思決定の迅速化が期待できる。具体的には、新サービスや新ビジネスモデルを他社に先駆けて展開できる。
【リスク】グリッドコンピューティングを想定した場合、クラウド等の利用が想定される。その場合、ネットワークやホストのセキュリティーの問題や、EDo S攻撃による課金の増加などがリスクとなる。
4.2. 個人情報・プライバシーへの配慮に関して
【効果】これまで以上に広範囲の問題、例えばさまざまな社会問題(交通事故、自殺、犯罪等)の解決が期待できる。
【リスク】技術的対策だけでは個人情報の使用に対して社会的合意が得られないというリスクがある。国による法制化や第三者監視機関の設置が必要である。

5. さいごに
 ビッグデータを有効に活用し成果を挙げていくためには、データマイニングや数理的手法に関する高度な知識と見識が必要である。私は、経営工学部門(数理・情報)の技術者として、ビッグデータの活用およびその指導に邁進する所存である。     以上

(※無断転載、再配布禁止。本論文は、著作権法により保護されています。)

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