問題Ⅱは3問(4枚)で2時間と非常にタイトな回答時間で書いたもの。
2問中1問を選択する問題Ⅱ-2からは、品質の早期安定化に関する設問(本問)を選択。
品質の早期安定化を問われているので、すでに得られているデータを使って早期に原因究明・対策を打つやり方と、新規にデータをとる場合には効率的に行う方法(実験計画法など)を用いるやり方の2通りに分けて論述した。パラメータ設計のところはもう少し書きたかったが、紙幅が足りず少し後悔した点(もちろん、消して書き直す時間などない)。
また1枚や2枚でまとめる際は「はじめに」「おわりに」は不要で、単刀直入に設問に対して答えてゆけばよい。
(問題文は技術士会HPより引用)
再現論文(A評価)
1. 着手時に調査すべき内容
①製品、工程、特性値:例えばプリント基板のめっき工程において、めっき厚を安定させたい。
②問題の種類:品質のほかにコスト、納期、生産性等のトレードオフはないか。
③改善する指標の種類:標準偏差、不適合品率等。
2. 業務を進める手順と留意事項
まず要因の整理を実施する。4M1I(人、材料、機械、方法、情報)の観点、FTA(故障の木解析)での整理のほか、専門家の意見も聞くことに留意する。
次にデータを用いて品質不具合の原因を突き止めるが、既存のデータを用いる場合と、新規にデータをとる場合に分けて手順とその留意点を述べる。
2.1. 量産立ち上げ時などの既存のデータを用いる場合
以下の方法で原因となる工程や特性値を突き止めて、原因を除去する等の対策を採る。
(1)管理図:特性値の管理限界を超えていないか、連(くせ)はないか等に留意して、改善対象特性値を特定する。マハラノビス距離を活用した多変量管理を利用して複数の要因がからむ現象について調べる。
(2)パレート図:不具合のモード別に度数を降順に計上して、対策の重点を決める。
(3)散布図:因子間の相関関係を知るとともに、異常データの存在も見える化する。
(4)重回帰分析:直接的に品質指標と要因(説明変数)との関係を調べることができる。この際、多重共線性(データセット数が要因の数より少ない、説明変数間の相関係数が高い)に留意する。この場合データセット数を増やしたり、似た項目の片方を削除したりする。回帰診断によってはずれ値がないか等のチェックを行うことも重要である。
2.2. 新規にデータをとる場合
実験計画法を用いて、原因の候補となる要因と品質指標との関係を実験的に求めて、要因効果の大きさの分析等から原因工程、原因特性値を見出す。実験計画法の運用においては実権誤差に留意して、フィッシャーの3原則(反復、無作為化、局所化)を適用することが重要である。
また、工程の設計パラメータ(制御因子)と変動要因(誤差因子)の直積実験により、これらの因子の交互作用を利用して、直接的に変動要因の影響を減衰させる設計パラメータの設定値を見出す方法(パラメータ設計)も活用する。
2.3 結果の監視と標準化
原因を除去したり、設計パラメータの最適化により、品質が安定化したかどうかを確認するために、一定期間、工程・製品・特性値を監視することに留意する。
安定化が確認できたら、変更後の運用方法が確実に守られるように、基準類などその内容を定めて標準化を実施することが重要である。 以上
(※無断転載、再配布禁止。本論文は、著作権法により保護されています。)
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