前書きに述べられているように、「千差万別の実験データの解析法をただひとつの指導原理のもとに統一する」ことが目指されている。
第3版で追加されたもののうち、第24章の「ダイナミックな特性とSN比」の部分が現在の品質工学との架け橋になっている。
動特性のSN比(この時点ではまだゼロ点や理想機能の概念は明確には出てこないが)、誤差因子、2段階設計の考え方などが萌芽している。
面白いのは、本書の内容からわかるように、前版からかなり進歩させた渾身の作であるはずだが、先日再読した「タグチメソッドわが発想法」には、”第2版の演習問題の模範解答集が出回ってしまい、面白くないので演習問題をすべて差し替えて加筆した第3版を出した”・・・というような内容が述べられている。この理由はかなりユーモアが感じられる。第4版を期待したい方は、第3版の演習問題の模範解答集を出されるとよいかもしれない(冗談です)。
内容の個々についてもいくつか気づきがあったし、現在の品質工学では常識になっているがまだそこまで思いが至っていないように見える箇所もある(昭和51年の著書なので当然だが。ちなみにそのとき私は今の娘と同じ小学1年生)。
第3版は参考文献や引用などでよく使用され、ある種の教条化がなされてる場合があるが、ここに書いてあることが最終結論ではないことは留意しておくべきである。その後もかなりの頻度で品質工学は改善されているのだ。思考停止してはいけない。
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