さて、最後は「業務内容の詳細」である。H25年度より業務体験論文が無くなり、受験申し込み時に720文字で概要を記載するようになった。そのため、業務詳細にどの経歴を選択するのかや文章の準備は、以前よりも早く始める必要があるようになった(以前は筆記試験終了後、合格者のみ体験論文提出)。
それに加えて720文字である。以前の投稿にも書いたが、720文字という制限は余りに厳しい。試しに書いてみると分かるが、自分のことを知らない試験官相手に、業務の背景や目的、自分の立場、業務の課題、技術的問題点、解決策、効果、評価と展望などを要領よくまとめていく必要がある。
オススメの方法は、いきなり720文字に収めるのではなく、長くなってもよいのでまずロジカルな(筋が通っていて矛盾のない、そして分かりやすい)文章をまず作ってみることである。A4で1~2枚になってもかまわない。その上で満足のいく内容に仕上がったら、そこから720文字の要約文を作成するという要領である。
見やすい文章ということで、各項目(パラグラフ)ごとに、文字装飾を変えた(ボールド&下線のような)表題を入れておくとみやすい。下名が使用した見出しは以下である(「・・・」以降は見出しの説明)。すなわち、いくつかの項目を1つのパラグラフにして3つに分けた。
1.業務課題と役割・・・対象とその背景を述べ、自分の立場を明確にする
2.技術課題と私の提案・・・技術的に問題となった点と、技術士としての提案
3.成果と展望・・・どう良くなったのかと、今後の展開
下名の場合はさらにパラグラフごとに空白行を入れた(これが文字数にカウントされないことは確認済み)。このような細工ができるのも、紹介したPDF編集ソフトを使用したおかげである。
完成した文章を声に出して読んでみよう。黙読で追っていただけでは気がつかなかった、文章のおかしい部分や、分かりにくい部分、繰り返しになっておりくどい部分、つながりが悪い部分などに気づきやすい。また誤字脱字や専門用語の間違い・誤用は、資質を疑われ致命傷となるので何度も読み返してチェックするようにしよう。
内容については、個々の文章を見ないとコメントしにくいが、総じていえることは、初見の試験官に対して、いかに技術者としての自分をアピールできるかである。すなわち、プロジェクトの成果ではなく、自分が技術士として何をやったのかのアピールである。そこに高度の専門的応用能力が発揮できている感じがでているかどうかがポイントである。したがってプロジェクトの有名無名や、事業規模、役職の大小は関係ない。技術士としてふさわしいことをアピールすることと、立派な事業や肩書きを自慢することとは別なので注意するよういしたい。
提案の部分は、奇抜なものや、世紀の大発見などは必要ない(これは筆記試験の論文についても言えること)。所与の制約条件のもとで、既知の方法を適宜組み合わせて、または小改良を行い、最短距離で現実の問題を解決できていれば十分である(特許でもほとんどは組み合わせである)。むしろ短時間で試験官に内容を理解していただくことのほうが重要である。そのためには、その技術分野で通じると思われる専門用語は積極的につかって文字数の節約とミスコミュニケーションの防止を図ろう。
720文字ということで書きたくても書ききれなかったアピールポイントもあることだろう。そのため、文中ではフックとなるキーワード(少しマニアックな専門用語や、造語風の表現)を書いておき、口頭試問での呼び水になるように仕組んでおくとよい。そのキーワードに対する質問が来たら、その時が絶好のアピール時間になる。
ほかにも技術士の方々に添削していただく過程で色々あったと思うが、思いつけばまた追加投稿していきたい。
2 件のコメント:
さすがやね.
なんか,技術士ってあこがれたけど,ぐっと遠くなった,難解な気分.
と,最初からへこんでいては,絶対とれない資格やね.
Runner_Totchanさん
ありがとうございます。
私が書いているのはテクニック的な部分です。技術士の試験は実務経験がモノを言いますので、まずそれがありきです。
その意味ではRunner_Totchanさん向きな資格だと思いますし、もし目指されるのならお手伝いできると思います。
コメントを投稿