2015/11/23

信頼性試験は万全の方法か(3)

 つづいて「数の壁」。信頼性試験ではたとえば、90%のサンプルが故障せずに生き残る年数を寿命としたり、逆に何時間と試験時間を設定して故障率を求める。それらが、あらかじめ設定した寿命や故障率の基準を満足しているかどうかを調べるのだ。

 信頼性工学は、非常に統計学と関係の深い学問で、そのなかの信頼性試験のやり方の設計や、信頼性の判定には統計を活用する。前記の「90%のサンプルが故障せずに」というためには、割合が求まるだけのサンプルの個数が必要だ。

 たとえば100個中90個ということだ。また「試験○時間後の故障率が0.1%以下」というような基準の場合は、故障率が求まるようなサンプルの個数が必要となる。100個では0.1%以下の判定はできない。詳しい話は省くが、仮に90%の正しさで(これを信頼度90%、あるいは危険率10%という)故障率0.1%以下を主張するためには、2300個のサンプルを試験する必要がある。ほとんどの製品では、設計・開発段階でこれだけのサンプルを準備することはできない。できたとしても試作や計測のコストや手間がかかりすぎて現実的ではない。

 統計に頼ることと、ある基準に合格したかどうかという判定方法(0・1判定)では、サンプル数という点で課題がある。したがって、設計・開発の初期段階というサンプル数があまり準備できない状態では、何か工夫をして少ないサンプル数で品質をチェックする方法が必要となる。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

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