2015/11/23

開発の後期になるほど高くつく対策コスト

 製品が出荷された後の使用段階での不具合やクレームの主要因は、お客様のほしい機能や、使用段階での使い方、環境条件を考えるべき設計・開発段階にある。設計・開発段階での検討もれや考え方の修正はどの段階で行えばよいのだろうか。

 ある調査では、設計・開発段階で不具合が発覚した場合の対策コストを1とすると、生産開始前でその10倍、製品出荷前で500倍、市場出荷後では実に10,000倍もの修正コストがかかることが示されている。この例では設計・開発段階に間違いと気づいた場合の修正コストは$20なっており、図面の訂正にかかる時間の人件費相当(下名推定)と計算されている。これが市場出荷後の不具合発覚となると、発生コストは$1,000,000すなわち1億円レベルと試算されている。

 つまり、設計・開発段階での見落としや間違いが市場出荷後まで見つからず、お客様の使用段階で発生してしまった場合、多くの場合製品全数への対応(交換、修理、保証など)になるため、膨大な対策費用が必要となるのだ。人命が係わるような製品や、社会システムなどでは、社会に与える損失の大きさを考えると、さらに対策コスト大きくなることは明白である。

 この分析からも分かるように、不具合の発覚が後になるほど対策コストは文字通り指数的に大きくなっていくので、品質への対応はできるだけ早い段階、できれば設計・開発の初期段階で行っておきたいわけだ。

 技術者は優秀なので、見落としや間違いが分かりさえすれば、すぐにその対策を考えて、設計変更する、方式を変えるなどの対策を打てることが多い。なので、大事なことはいかに設計・開発の初期段階で、品質を「見える化」するかではないかと考える。

 以降の記事では引き続き、見える化について考える。


株式会社ジェダイト(JADEITE:JApan Data Engineering InstituTE)

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