5.2 社内推進を成功させるポイント
以下,前節の七つ特徴に対応させて,活用や推進をうまく進めるためのポイントを示す.
① 品質工学を活用する目的や,その必要性を理解,明確にして実施できるように説明する.そのような説明ができる講師の育成または招聘が必要.目的に合ったところで使用することになり,成果に結びつきやすい.また手段について納得して進めることになるので,やらされ感は少なく,自主性や継続性につながりやすい.もちろん,目的に応じて品質工学以外の管理技術も同時に使用していくことも重要である.
② 直交表にこだわらない運用の推進.品質の見える化(機能性評価)と比較による設計改善に重点を置いた活用を実施.直交表の活用は設計改善・最適化のためのオプションと位置づけ,強要しない.教育研修では機能性評価の背景や考え方を中心とする.パラメータ設計等の手順はツール化してだれでも活用できるようにする.
③ 言葉や説明のしかたの重要性を認識.用語の意味を理解し,必要に応じて一般技術者が理解しやすい用語に置き換える.推進者・講師は,企業の文化や状況を考慮して,相手の立場に立った説明を行うことが必要.
④ 講師の経験・体系化レベルは十分か.講師は十分な経験と考察にもとづいて,知識を体系化できており,実務で本当に必要な知識や困ったときの対処方法などを実践的に教えられる.機能の定義方法,ノイズ因子の抽出法,交互作用への対応方法などについて実用的なガイドラインや解決手段を豊富にもっている.
⑤ エネルギー比型SN比の活用.計算は一度理解したらツールに任せる.教える側も教わる側も負担が減り,計算よりも本質的な部分,アタマを使うべき部分に費やす時間を増やせる.
⑥ 経営的な成果にコミットした活動.現状分析から「何をなすべきか」を明確にし,そこから目標値を設定する.成果を必ず金額で定量化することが仕組み化されており,定期的にそれらが集計・評価され,経営幹部に報告される.
⑦ 計画に入れて実施することと,しくみの整備が重要.ボトムアップの場合であっても,少なくとも実施担当者の上長とスケジュール,リソース,成果について握り合って,進捗がフォローされていることが必要.トップダウンの場合,まずトップにより目的や適用展開の枠組みが明言することが重要であり,各階層でそれが理解,腹落ちされること.リピートや横展開や後進育成のしくみを整備し,自主的なリピートや展開につなげていくことが必要である.
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「超実践品質工学の概要とうまく推進するためのポイント」(6ページ)
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